石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

ブルーマングループが米ノースカロライナでの公演中止 HB2への抗議で

Three

米国のパフォーマンス集団、ブルーマングループ(Blue Man Group)が、ノースカロライナ州の州法「HB2」に抗議するため、同州での公演を取りやめると発表しました。

詳細は以下。

Blue Man Group Cancels North Carolina Performances Over Anti-LGBT Law - Towleroad

ブルーマングループは、顔を青く塗って舞台でさまざまなパフォーマンスをするアート集団。東京公演での様子を以下に貼っておきます。。

彼らが反対しているHB2(House Bill 2. "H.B.2とも)というのは、別名「トイレ法」とも言われ、トランスジェンダーの人々が性自認通りのトイレを使うことを認めないとする州法。この州法により、市や郡などの自治体が独自の差別禁止措置でLGBTコミュニティを保護することもできなくなると言われています。米国では最近ミシシッピ州でも「全米最悪の反LGBT法」と呼ばれる州法が成立したばかりで、こうした動きに反対する多くのアーティストたちがこれらの州での公演を中止したり、公演の利益を差別的な法律との戦いに寄付したりすると表明しています。

ブルーマングループは2016年4月22日、公式Facebookで、同グループは「あらゆる人が堂々と力強く生きる権利を大切にして」おり、それゆえ「シャーロットでの公演をキャンセルすることで、ノースカロライナのHB2に抗議するプロのエンターテイナーたちの、長く伸びつつあるリストに加わることにした」と表明しました。チケットはすべて払い戻しが受けられるそうです。

ブルーマングループが言う通り、これらの州に抗議しているエンターテイナーのリストは今のところ長く伸びる一方です。せっかくなので、先日のエントリ「スプリングスティーンだけじゃない! 米国の反LGBT法に対するミュージシャンたちの反応あれこれ(追記あり) - 石壁に百合の花咲く」で作ったリストを改訂し、以下に新しいリストを作ってみました。

ノースカロライナまたはミシシッピでの公演/上演/撮影等をボイコットした人々&団体

  1. ブライアン・アダムス
  2. ブルーマングループ
  3. ボストン
  4. アーニー・ディフランコ
  5. パール・ジャム
  6. トレーシー・モーガン
  7. NBA
  8. ステファン・シュワルツ
  9. シルク・ド・ソレイユ
  10. ブルース・スプリングスティーン
  11. リンゴ・スター
  12. シャロン・ストーン

公演中止はせず、寄付、署名、声明発表などで抗議した人々&団体

  1. グレッグ・アルマン
  2. ジミー・バフェット
    • ノースカロライナ州でのコンサートは中止しない。「忠実なファンたちの楽しみを、今年、愚かさや頑迷さに押し潰させはしない」「将来のコンサートは、このバカな法律がどうなるかによる」(North Carolina | Margaritaville Blog
  3. ブランディ・カーライル
    • ノースカロライナ州でのコンサートは中止しない。「自分は同性愛者で、ファンにも同性愛者が多い。ノースカロライナでのコンサートを中止したら、この法律に傷つけられ、我慢しようとがんばり、一緒に集まれる場所を求めているわたしのファンたちをさらに苦しませることになるだろう」(Brandi Carlile won’t bypass North Carolina over House Bill 2 | News & Observer
  4. デュラン・デュラン
  5. ローラ・ジェーン・グレイス
  6. シンディ・ローパー
  7. マムフォード・アンド・サンズ
  8. Tacocat

その他大企業の動向など

反LGBT法を受けてペイパルがノースカロライナ州での事業計画を取りやめ、ドイツ銀行も同州での拡大計画を凍結するなど、ビジネス面での影響も出始めています。WSJの指摘にもありますが、差別に関する懸念がある州では優秀な人材の確保・維持が難しくなるため、企業にとっては反LGBT法に対して沈黙しているのは悪手なんです。

締め

たぶん、平均的な日本人が考えるよりおおごとになってると思います、現在の事態。こんなひどい法律が作られる一方、差別は社会全体にとってマイナスだという考え方も、日本よりよっぽど強いんじゃないかな米国は。「スプリングスティーンがコンサートをキャンセルしたって」「キャー、ボス、かっこいー」だけで終わっちゃう話じゃないのよこれは。