石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

スプリングスティーンだけじゃない! 米国の反LGBT法に対するミュージシャンたちの反応あれこれ(追記あり)

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※2016年4月16日追記:アーニー・ディフランコのコメントを追加しました。

米国ノースカロライナ州ミシシッピ州で成立した反LGBT法に対し、ミュージシャンたちがさまざまな反応を見せています。抗議のためにこれらの州でのコンサートを中止する人あり、逆に抗議のためコンサートをする人もあり。彼らの声をまとめてみました。

なお、これらの反LGBT法(と呼ばれている新法)の内容や問題点については、以下をどうぞ。

コンサート中止を発表したミュージシャンたち

  1. ブルース・スプリングスティーン(The Official Bruce Springsteen Website
    • ノースカロライナ州でのコンサートを中止
      • 「俺と俺のバンドが、自由を得るため戦う人々に連帯を示す時が来た」
      • 「世の中にはロックコンサートより大事なことがあり、偏見や石頭との戦いもそのひとつなんだ」
  2. ブライアン・アダムス(Bryan Adams - Mississippi has passed anti-LGBT ‘Religious... | Facebook
    • ミシシッピ州でのコンサートを中止
      • 「このきわめて差別的な法律の撤廃のため、わたしの声を用いて、LGBTの友人たちと連帯する」
      • 「願わくばミシシッピ州が自ら間違いを正し、再び多くのファンたちの前で演奏できますように」
  3. リンゴ・スター(Ringo Starr - Ringo Starr Cancels His June 18th All Starr... | Facebook
    • ノースカロライナ州でのコンサートを中止
      • 「この地域のファンたちをがっかりさせて申し訳ない。しかしわたしたちはこの憎悪に反対の態度をとらねばならない」
  4. アーニー・ディフランコ(Ani DiFranco cancels North Carolina | News & Observer
    • ノースカロライナ州でのフェスティバル出場をキャンセル
      • 「今日わたしはこの不正な法律を非難しているコミュニティや友達、家族、そして同胞たちと腕を組んで立っている。ダーハムに行くことを楽しみにしていたが、良心に照らして、今回そうすることはできない」

コンサートは中止しないと発表したミュージシャンたち

  1. シンディ・ローパー(Cyndi Lauper Will Fight Anti LGBT Laws in Her Own Way | TMZ.com
    • ノースカロライナ州でのコンサートは中止しない
      • コンサートでの自分の利益を全額HB2(『反LGBT法』と呼ばれている問題の法律のこと。トランスジェンダーの人々に出生証明書の性別通りのトイレを使うよう強制するもので、差別的だとして批判されています)との戦いに寄付する
      • (スプリングスティーンのやり方に不満があるというわけではなく)「自分にできる最良のことは、コンサートの1日をHB2撤廃のためフルに役立てることだと思う」
  2. ブランディ・カーライル(Brandi Carlile won’t bypass North Carolina over House Bill 2 | News & Observer
    • ノースカロライナ州でのコンサートは中止しない
      • 「自分は同性愛者で、ファンにも同性愛者が多い。ノースカロライナでのコンサートを中止したら、この法律に傷つけられ、我慢しようとがんばり、一緒に集まれる場所を求めているわたしのファンたちをさらに苦しませることになるだろう」
      • 「この件についてはわたしたち全員にするべき役目があり、ブルースはみごとにそれをやっていて、尊敬する。自分は自分なりのつつましいやり方で、音楽による抗議を目の当たりにしたいと思う」
  3. ローラ・ジェーン・グレイス(This Is Why A Popular Trans Musician Is Performing In North Carolina Despite Boycotts Over Anti-LGBT Law - BuzzFeed News)※注:ローラはトランスジェンダーであることを公表しているパンクロッカーです。
    • ノースカロライナ州でのコンサートは中止しない
      • コンサートを「抗議の一形態」として開催し、会場ではジェンダー・ニュートラルなトイレを使うよう全員に呼びかける
      • 「HB2があるからこそ、かえってノースカロライナでのコンサートに意欲を燃やしている」
      • ブルースやブライアンによるボイコットは本当に「称賛すべき」(commemorable)。だが、ノースカロライナに住んでいるトランスの人々は州をボイコットすることはできないし、(スプリングスティーンとは違って)自分がコンサートを中止しても誰も気にも留めない
  4. グレッグ・アルマン(Gregg Allman - For over 45 years, I’ve been fortunate to... | Facebook
    • ノースカロライナ州でのコンサートを4月13日に実施
      • 「この困難な時に、わたしたちの音楽で人々が団結できるようにと望んでいる。わたしたちの心は、人々の意見に耳を傾けてこの誤りを正すようマクロリー知事に促しているLGBTコミュニティと共にある」
  5. ジミー・バフェット(North Carolina | Margaritaville Blog
    • ノースカロライナ州でのコンサートは中止しない
      • 「コンサートのチケットは、知事がこのバカな法案にサインするよりずっと前に予約が始まり、売り切れている。忠実なファンたちの楽しみを、今年、愚かさや頑迷さに押し潰させはしない」
      • 「ノースカロライナでの将来的なコンサートについては、完全に、このバカな法律が撤廃されるか否かによる」

感想:どっちのやり方もアリだよね

すべての声明を一通り読んでみて、コンサートを中止するもしないもどっちもアリだと思いました。大事なのは差別的な法律にはっきり抗議することと、この法律に苦しめられていたり、撤廃を求めて戦ったりしているファンたちに連帯の意を示すことであって、足並み揃えてみんながみんなボイコットしたり寄付したりすることじゃないよね。各人がもっとも効果があると判断した抗議方法をとれば、それでいいのだと思います。