石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

計6人の遺体を発見 トロントゲイ連続殺人事件

Toronto Police K9
Toronto Police K9 / Elsa Blaine

容疑者自宅で男性を監禁 バラバラ死体も見つかる トロントゲイ連続殺人事件 - 石壁に百合の花咲くの続報。2018年2月8日、警察は、容疑者に関係のある場所のプランターから少なくとも6人分の遺体を発見したと発表しました。

詳細は以下。

Toronto police: remains of 6 found in serial killer probe

この事件の容疑者、ブルース・マッカーサー(Bruce McArthur)は、66歳の自営の造園業者。トロントのゲイ・ビレッジ付近で姿を消したゲイ男性のAndrew KinsmanさんとSelim Esenさんを殺害した疑いで、2018年1月18日に逮捕されています。2018年2月5日の時点で、警察は同容疑者がKinsmanさんらを含め少なくとも5人の男性を殺害したと考えていると発表していました。この5人はすべてトロントのゲイ・コミュニティから姿を消しており、氏名、年齢、失踪時期は以下の通りです。

  • Andrew Kinsman, 49(2017年6月)
  • Selim Esen, 44(2017年4月)
  • Majeed Kayhan, 58(2012年)
  • Soroush Mahmudi, 50(2015年)
  • Dean Lisowick, 47(2016年5月から2017年7月の間)

警察はこれまで、マッカーサー容疑者が仕事用の倉庫として使っていた家のプランターから、少なくとも3人の人間のバラバラにされた遺骨などを発見していました。そして2月8日、捜査主任のハンク・イディンガ(Hank Idsinga)部長刑事が、プランターから少なくとも6人分の遺体が見つかり、その中には上記のAndrew Kinsmanさんのものも含まれていたと発表したのだそうです。

遺体が発見された家の様子はこちら。

警察は既にこの家の内部やガレージを捜査し終えており、これから芝生の一部を剥いで発掘にかかるとのこと。凍り付いた土を柔らかくするため、テントとヒーターが設置されたそうです。

同容疑者は仕事用のバンで街を流したり、出会いアプリを使ったりして被害者を物色していたと言われています。出会いアプリのプロフィールには、自分は年下好きで人見知りするが実はロマンティックな人間であると書かれていたそうです。また彼は、飼っている猫や、子供や、孫や、サンタクロースの扮装をした自分の写真をFacebookに載せたりもしていたとのこと。ちなみに外見はこんな人。

夜道で自分の前を歩く女性が足を速めると「俺を犯罪者扱いした」と怒り出す人たちに問いたいんだけど、あなたたち、この写真の人とカナダの街中ですれ違って「あっ! この人は危険なシリアルキラーかも!」って気づくわけ? 気づかないよね。たとえ本名がわかっても、Facebookで見つかるのが猫やら孫やらサンタコスプレやらの平和な写真(写真の一部はHeavyで見られます)じゃ、判別なんてつきっこない。ちなみにCBC Newsによると、警察がマッカーサー容疑者と性交渉を持ったことがある(そして今も生きている)男性3人に事情聴取したところ、3人が3人とも、性行為で何か不安になるような(uncomfortable)ことがあったために彼とのつきあいをやめたと言ったそうです。ある人がどんな人であるかなんて、そこまでいかなければなかなかわかりにくいもので、おかしいと気づいたときにはもう遅かった人もいるということなのだと自分は思います。

せめて警察がもっと迅速に動いていたら、この事件でここまでの被害者が出ることはなかったかもしれません。以下、トロントのゲイ男性を狙った連続殺人事件について | トロントのハッテン車窓からより引用します。

逮捕直後、一部のメディアはBruce容疑者を「彼が連続殺人犯だなんて誰も予想が出来なかった」と祭り上げた。しかし、逮捕後すぐに容疑者と失踪者の間に多くのリンクがあると明らかになっていった。まず、Bruce容疑者には鉄パイプで人を殴って重傷を負わせたという前科があり、それが理由でゲイタウンを含むトロントダウンタウンの一部に行くことや男性セックスワーカーと関わりを持つことを禁じられていたという。また、Bruce容疑者は2010年に失踪したSkandaraj Navaratnamと恋愛関係にあったようで、二人はFacebook上でも友達で、共通の友人もその事実を知っていたとわかった。

こうした情報が広がると共に、コミュニティ内からトロント市警に対する批判も強まった。2010年からゲイコミュニティ内で連続殺人が起きているかもしれないという声が上がっていたのにも関わらず、どうして2017年まで本格的な捜査が始まらなかったのか。今まで失踪した男性たちの多くが有色人種で、白人のAndrew Kinsmanが失踪してやっとトロント市警が真剣に対応したのはどうしてなのか。わかりやすいリンクがあったにも関わらず、2018年までBruce容疑者を逮捕できなかったのはなぜか。そして、もっとトロント市警が早く動いていれば、ここまで多くの犠牲者が出ずに済んだのではないか。

NewNowNextによるとトロント市警は捜査員12名、鑑識チーム、警察犬部隊など「前例がない」ほどのリソースを投入して捜査を進めているとのことですが、それでも遅きに失したとの叱責は免れ得ないことでしょう。早く一連の失踪事件の全貌が明らかになり*1、トロントのゲイコミュニティが枕を高くして眠れる日が来ますように。