石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

今週の未紹介LGBTニュース(2018年12月16日)

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ケイト・ウィンスレットとシアーシャ・ローナンが恋人役に

Kate Winslet & Saoirse Ronan To Star In ‘Ammonite’ | Deadline

ケイト・ウィンスレット(Kate Winslet)とシアーシャ・ローナン(Saoirse Ronan)が、新作映画『Ammonite(原題)』で、1840年代の女性同士のロマンスを演じるんだそうです。監督は『ゴッズ・オウン・カントリー』のフランシス・リー(Francis Lee)。この映画は英国の実在の古生物学者メアリー・アニング(Mary Anning)の物語だとのことで、だからタイトルがアンモナイトなんですね。撮影は3月開始予定で、リー監督は12月15日に以下のようなツイートをしています。

訳:

しばらくTwitterをお休みします、そろそろ映画を作るので。ゴッズ・オウン・カントリーとわたしをこの2年間にわたって信じられないほどサポートしてくれたすべての人に感謝します。別の映画を作るときが来ました。❤またすぐお会いしましょう……

I'll be taking a break from Twitter for a while as it looks like I'm making a film. Thank you everyone for your incredible support of God's Own Country and me over the last 2 years. It's time to make another one See you soon...

映画『Mapplethorpe(原題)』のトレイラーが公開に

The First Trailer for 'Mapplethorpe' Has Arrived

1989年に亡くなった写真家、ロバート・メイプルソープ(Robert Mapplethorpe)の伝記映画『Mapplethorpe(原題)』のトレイラーが公開されました。

動画はこちら。

メイプルソープを演じるのは『ドクター・フー』のマット・スミス(Matt Smith)で、監督・脚本はオンディ・ティモナー(Ondi Timoner)。公開は2019年3月1日からだそうです。

ジャネル・モネイがグロリア・スタイネムの伝記映画に出演

Janelle Monáe joins cast of Gloria Steinem biopic - PinkNews · PinkNews

グロリア・スタイネム(Gloria Steinem)の伝記映画『The Glorias: A Life on the Road(原題)』に、米国のクィアなミュージシャンで女優のジャネル・モネイ(Janelle Monáe)が出演すると発表されました。ジャネルが演じるのは、70年代にMs. magazineをスタイネムと共同創刊したドロシー・ピットマン・ヒューズ(Dorothy Pitman Hughes)の役だとのこと。他の出演者はジュリアン・ムーア(Julianne Moore)、アリシア・ヴィキャンデル(Alicia Vikander)など。トレイラーはまだか!?

英プロゴルファーが同性愛者としてカミングアウト

LPGA Golfer Mel Reid Comes Out: 'Be Proud of Who You Are' - Athlete Ally

英国の女子プロゴルファー、メル・リード(Mel Reid)が同性愛者としてカミングアウトし、スポーツ界におけるLGBTQの平等実現に取り組む非営利法人Athlete Allyのプロ・アンバサダーになることを表明しました。以下、本人のことば。

キャリアを守るために、そしてより多くのスポンサーを得るために、ずっと自分のセクシュアリティを守ってきました。でも、疑問に思うようになってきたんです。わたしがほんとうの自分でいられないのなら、どうしてこれらの企業がわたしをスポンサーして、わたしにその会社の象徴になってほしいと考えるだろうかと。人はみな世界にひとりだけの存在で、人生は一度きりです、だから最高のバージョンの自分になって、ほんとうの自分にプライドをもたなければ。

I protected my sexuality for a long time because I thought I had to in order to help my career and to get more sponsors. But then I started to wonder why these companies would want to sponsor me and have me represent them if I can’t be my authentic self. There is only one of you in the world and you have one life, so be the best version of yourself and be proud of who you are.

ビリー・ジーン・キング(Billie Jean King)が彼女に声援を送っています。


「ガス室に帰れ」ゲイ男性に女が暴言 ニュージーランド

Gay men told to 'go back to the gas chamber' in New Zealand attack · PinkNews

ニュージーランドの男性、マックス・トゥイーディー(Max Tweedie)さんが2018年12日、友人と一緒にオークランドのカフェにいたところ、ふたりがゲイだからという理由で女性客のひとりから暴言を吐かれたと述べています。その女性はわざわざふたりに近寄ってきて、こんなことを言ったんだそうです。

  • お前らには妻が必要
  • お前らが気持ち悪いせいで、みんなランチを食べる気が失せた
  • 「オカマ("fag")」でいるのは自分に対する嫌がらせだ
  • ガス室に戻れ、そこがお前らの居場所だ

以下のツイートによると、トゥイーディーさんはこのハラスメントの記録が残るよう、警察に通報するつもりだとのこと。やったれやったれ、どんどんやったれ。


トランス女性殺さる 全身に32か所の傷 マレーシア

Transgender woman beaten to death in Klang - Nation | The Star Online

2018年12月13日午前7時頃、マレーシアの都市クランのホテルの前で、32歳のトランスジェンダー女性が意識を失った状態で発見されました。救急車で病院に搬送されたのち、10時47分ごろ死亡が確認され、検死によって死因は頭蓋骨の骨折と脳内出血だったとわかりました。彼女は全身に計32か所の傷を負っており、亡くなった前の日の夜に鈍器を持った複数の男に襲われたとみられています。なおマレーシアでは201年にもトランス女性が遺体で発見されていて、この遺体は臀部を銃で撃たれていた上に、右手の指が4本切り落とされていて、頭部にもひどい傷があったとそうです。

マレーシアって今年9月、女性同性愛でむち打ち刑を実施したところですよね。トランスジェンダーの人々にとっても、地上でもっとも生きやすい場所だというわけではなさそう。

警察が難民キャンプのLGBT+マーチ参加者を殴打し拘禁 ケニア

LGBT+ activists attacked on peaceful march in Kenya refugee camp · PinkNews

ケニア・カクマの難民キャンプで2018年12月11に開かれた平和的なLGBT+マーチで、警察がアクティヴィストらに暴力をふるい、拘禁しました。これにより約30人のアクティヴィストがけがをし、国連はケニアの性的少数者の難民をナイロビのセーフハウスに移動させると発表しました

Refugee Flag Kakumaのメンバーは、最初に襲いかかってきたのは地域の人々で、その次が警察だったと話しているとのこと。

カクマの難民キャンプは、2018年6月に初めてプライド・フェスティバルを開催し、200人以上の参加者を集めたばかりでした。詳しくは以下を。

そのわずか半年後にこれかよ。「難民はただでさえ大変なんだからLGBTであることなんて黙っとけ」と言う人もいるかもしれないけど、十分な食料もないのにゲイだという理由で仕事を失ったという報告もある中、ヘイトをやめろと主張するのはあたりまえのことでは。

トランス女性殺害容疑で牧師を逮捕 米デトロイト

Detroit pastor charged with transgender woman's murder

トランス女性射殺さる トランスへの暴力反対訴えた3年後 米デトロイト - 今週の未紹介LGBTニュース(2018年12月9日) - 石壁に百合の花咲く」の続報。ウェイン州検察庁は2018年12月10日、46歳のアルバート・ウェザー(Albert Weathers)牧師を殺人容疑で起訴しました。

被害者のトランスジェンダー女性、キアナ・マテル(Keanna Mattel)さん(これはステージネームで、本名はケリー・ストウ/ Kelly Stoughさん)は、2018年12月7日、ミシガン州デトロイトのパーマー・パーク付近で殺害されました。検察は、ストウさんがトランスジェンダーであることが殺害の一因となっていたとして、ウェザー容疑者を殺人および重罪への関与における銃器使用(open murder and use of a firearm in commission of a felony)の罪に問うています。

ライアン・マーフィーのドラマ『Pose』出演者のIndya Mooreが以下のツイートで言ってることに尽きるわ。


同性愛者の知人がひとりいるだけで同性婚への支持率が上がる(米研究)

People with gay and lesbian acquaintances tend to support same-sex marriage | Penn State University

米国ペンシルベニア大学の研究で、2006年から2010年にかけて人々の同性婚に対する意見がどう変化したかを調べた結果、ゲイやレズビアンの知人がひとりでもいるかいないかで大きな差がみられたんだそうです。LGの知人がいる人と、そのような知人がまったくいない人の中で、同性婚に賛成すると答えた人の割合は以下のようになったとのこと。

調査年度 知人あり 知人なし
2006 45% 22%
2010 61% 18%

同研究を手掛けたダニエル・デラポスタ(Daniel DellaPosta)助教授は、ゲイやレズビアンは「店や地下鉄の中で見かける、外集団の人」だと考えるぐらい同性愛者との接点が少ない人の場合、同性愛者を見かけてもネガティブなステレオタイプを強化するような特徴にばかり注目してしまう可能性があると話しています。反面、顔も名前も知っていて、立ち話のひとつもするぐらいの同性愛者の知人がいれば、その人を個人として扱わなければならなくなり、自分の内なる偏見を見直さざるを得なくなるのだとのこと。

なお、デラポスタ氏はこの現象を接触効果(contact effect)という概念で説明していますが、接触がステレオタイプや偏見にもたらす影響については1950年代以来たくさんの研究があり、以下の本の説明がわかりやすいと思います。ご興味がおありの方は、ぜひ。

ステレオタイプの社会心理学―偏見の解消に向けて (セレクション社会心理学)

ステレオタイプの社会心理学―偏見の解消に向けて (セレクション社会心理学)