サッカー米国女子代表のメーガン・ラピノー(Megan Rapinoe、『メガン』『ミーガン』、『ラピーノ』とも表記)選手がW杯がらみでトランプ政権を批判し続け、大きな話題となっています。このニュースはわりと日本語化されてるから、詳しくはこの辺を見てください。
「私たちはスポーツ選手です。サッカー選手です。女性アスリートです。でも私たちは、もっともっとそれ以上の存在です。そして、あなたも、もっとそれ以上の存在です」
— BuzzFeed Japan News (@BFJNews) 11 de julio de 2019
【New】「このチームには、ピンクの髪もタトゥーもゲイもいる」 女子W杯で頂点に立った選手が訴えること https://t.co/bvXIjKLFX5
— BBC News Japan (@bbcnewsjapan) 2019年7月11日
一連の騒動を見ていて思ったのは、まず、「政権=国家=絶対服従しなければならないもの」と思い込んでる(または、そういうことにしたがってる)人は意外と多いんだなということ。民主主義が嫌いで、絶対君主制が大好きなんでしょうね。でも米国は民主主義国のはずなので、彼ら彼女らがラピノーに向かって「国が気に入らなければ出ていけ」と言うのはヘン。まず自分たちが率先して、大好きな絶対君主制の国に亡命してみせるのが筋というものだと思うんですけど。
もうひとつ思ったのが、「トランプ政権を批判してホワイトハウス訪問を拒否したアスリートはこれまでにもたくさんいたのに、なぜメーガン・ラピノーに関してだけこんなに大騒ぎするの?」ということ。2018年の冬季五輪のときだって、フィギュアスケートのアダム・リッポン(Adam Rippon)、フリースタイルスキーのガス・ケンワージー(Gus Kenworthy)とデイヴィッド・ワイズ(David Wise)、アルペンスキーのリンゼイ・ボン(Lindsey Vonn)、リュージュのエリン・ハームリン(Erin Hamlin)、スノーボードのクロエ・キム(Chloe Kim)、クロスカントリースキーのジェシー・ディギンズ(Jessie Diggins)等々がホワイトハウスからの招待を断ってたでしょ。で、アメリカオリンピック委員会で20年以上スポークスパーソンをつとめた人が、こんなにたくさんのアスリートが招待を断るのを始めて見たとまで言ってたでしょ。詳しくは以下を。
あと、アダム・リッポンやガス・ケンワージーは、アンチLGBTなマイク・ペンス米副大統領のこともたびたび痛烈に批判してますよね。詳しくは以下を。
- 「マイク・ペンスが? 受け入れられない」アダム・リッポン、ペンスの五輪代表団団長就任を批判 - 石壁に百合の花咲く
- 「ペンスと握手できないね」ガス・ケンワージー、親指骨折で怪我の功名 - 石壁に百合の花咲く
これまでこういうニュースに無反応でいたのに、ラピノーの話にだけ飛びついてご意見を開陳し始める人が多いっていうのは、要するに、マイノリティを狙った暴力が山ほどある中で、先日のロンドンバス内同性カップル殴打事件だけが異様に大騒ぎされた理由と同じだと思います。つまり、「シスジェンダーのブロンド*1白人レズビアンの話だから」飛びついているだけで、アスリートたちがなぜトランプ政権を批判しているのかとか、なぜそこにバックラッシュが起こっているのかとかには実はほとんど興味ないんでしょ、みなさん? ラピノー叩きの尻馬にだけ急に乗っかって「自分も一言言ってやる」と息巻いてらっしゃる方々が、己の無知と偏見を無残にさらけ出すだけで終わってしまわないよう、せいぜいお気をおつけになってくださるといいのですが。
*1:今はピンク色に染めてますけど。