石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

またしてもパン屋が同性婚のウエディングケーキ拒否 米テキサス州で

Boy's Love, Mr & Mr Gay Wedding Cake Topper by Cake Topper [並行輸入品]

米国テキサス州のパン屋「カーンズ・ベイク・ショップ(Kerns Bake Shop)」が、「宗教的信念」を理由に同性婚のウエディングケーキ製作を拒否し、話題になっています。でもこのお店、言動に矛盾があるみたいんなんですけど?

Texas Christian baker refuses to make wedding cake for gay couple, just like Jesus wanted · PinkNews

ケーキの注文を断られたのは、同州ロングビューのベン・バレンシア(Ben Valencia)さんとルイス・マルモレホ(Luis Marmolejo)さん。これまでにもこの店でケーキを買ったことがあったのに、店の共同経営者のイーディー・デローム(Edie Delorme)氏から「ホモセクシュアルの結婚」のためのケーキは作らないとして拒絶され、「ゴキブリにでもなったかのような」気分にさせられたとバレンシアさんは語っています。

デローム氏によれば、このカップルのウエディングケーキを断ったのはキリスト教の信仰によるものだとのこと。実際、 Fox Newsによれば、氏は最寄りのバプテスト教会の「敬虔な」教会員なのだそうです。しかし、ここで矛盾がひとつ。Pinknewsの指摘によると、このパン屋のFacebookには、ハロウィーン用に焼いたケーキの写真が大量に載せられてるんですよ。おかしいな、バプテストにとってはハロウィーンは異教徒の邪悪な祭りじゃなかったっけ。

実際、両親ともども南部バプテスト連盟の信徒で、教義に対する疑問から1年間ゲイとして暮らしてみた経験をThe Cross in the Closetという本(感想はこちら)にまとめたティモシー・クレクTimothy Kurek)さんは、同書の中で子供の頃の思い出をこう綴っています。

サンタクロースやイースターのウサギの存在を信じることは絶対に許されなかったし、両親はぼくがハロウィーンに衣装を身につけて「トリック・オア・トリート」することを一度たりとも認めなかった。彼らは、あれは「邪悪な」祝日だといい、ぼくは幼すぎて抗議することができなかった。

I was never allowed to believe in Santa Clause or the Easter bunny, and not once on Halloween did my parents allow me to dress up to go trick-or-treating. They said it was an "evil" holiday, and I was too young to protest.

ハロウィーン用のケーキは平気で売る一方、ゲイにはウエディングケーキを売らないというのでは、差別を正当化するために聖書の記述を都合良く選り好みしていると言われても仕方ないのでは。さらにこのパン屋、他にもこんな変なことを言っていたりします。

「もし自分がパン屋に、ホモセクシュアルのパン屋に行って、その店が男性と女性の結婚を祝うケーキを提供したがらなかったとして、彼らがこう言ってもかまいませんよ。『それはわたしたちの価値観にそぐいません』」

“If I went to a baker, a homosexual baker, and they didn’t want to provide a cake for an event that maybe celebrated marriage between a man and a woman, that would be OK for them to say, ‘That’s not in line with our values’.

まず第一に、誰から誰に向かっておこなう差別でも差別は差別です。第二に、同性愛者と異性愛者の間には歴然とした権力差や社会的立場の差があるのに、仮定の話を持ち出して対等ぶるのは卑怯。第三に、同性愛者の側は「自分たちにも差別させろ」と言っているのではなく、「差別をやめろ」と言っているのだから、これは話のすりかえ。ひどいな、まったく。

さて、幸い近所の別のケーキ店「ママ・ティーのケーキとケイタリング("Mama Tee’s Cakes and Catering")」が無料でケーキを焼くと申し出ているそうなので、このカップルはケーキなしの式を挙げずに済みそうです。以下、同店のティー・アレン(Tee Allen)さんのことば。

「人がピンク色だろうと紫だろうと水玉模様だろうと、ゲイだろうとストレートだろうと、わたしは気にしませんよ。ケーキをつくってほしいのなら、その人のためにケーキをつくりますよ」

「わたしたちはみんな人間です。肌の色が何だろうと、(性的指向が)どうであろうと、血の色は誰でも同じです。みんな、人間なんですよ」

“I don’t care if you’re pink, purple, polka-dotted, gay or straight, if you want me to make you a cake, I’m going to make you a cake.

“We’re all humans. We all bleed the same color, no matter what our skin color is or [our sexual orientation]. We all bleed the same color. We’re all people.”

結局、これに尽きますよね。わからない人は死ぬまでわからないんだろうけど。