米国ペンシルベニア州で挙式1か月前にウエディングケーキの注文をキャンセルされたレズビアンカップルに、NYのケーキ店が救いの手を差し伸べました。しかも、無償で。
詳細は以下。
このカップルのひとり、デシリー・ホワイト(Desirie White)さんのFacebook投稿によると、ことの発端はこうです。まずデシリーさんは、恋人のジェス・ダウド(Jess Dowd)さんとの結婚式のケーキを、「O Taste and See Delight」というケーキ店に6月初旬に注文していました。彼女は店主と話すときジェスさんのことを「ジェシカ」と呼び、女性代名詞を使っていたので、ふたりが同性カップルであることは最初からわかっていたはず。にもかかわらず同店は、挙式1か月前になってから、「聖書に示された神に対する忠節と、宗教的信条」を理由にケーキを焼くのを拒否すると連絡してきたのだそうです。
なんで1か月前なのよ。嫌なら最初から断りゃいいじゃんね。と思ったら、デシリーさんから同店への返信でも、きっちりそのことが指摘されてました。以下、冒頭部分だけ引用して訳してみます。
残念ですね、あなたの良心や判断が、3500年以上前に書かれて何度も書き直された本に依拠しているだなんて。貴店がわざわざ結婚式の1か月前まで待ってからこの通知をしてきたことに、ものすごく腹を立てています。
It is a shame that your conscience and your decisions rely on a book written over 3500 years ago and rewritten multiple times. I am extremely upset you
waited one month before our wedding to tell us this.
そして、腹を立てたのはデシリーさんだけではありませんでした。以下、この一件を知ったNYのケーキ店「Peace, Love, and Cupcakes」の店主、レベッカ・ライリー(Rebecca Riley)さんのFacebook投稿より引用して拙訳。
どこからどう話しても言い尽くせないぐらい、この件で激怒しまくっています。おふたりに無料でケーキをつくって配達することを申し入れたいと思います。調べたところ、たったの2時間52分で行ける距離でした。
I can not begin to tell you all how furious this makes me. 🤬🤬🤬 I would like to offer to make and deliver their wedding cake free of charge. I looked and we are only 2 hours and 52 minutes away.
問題は、デシリーさんのFacebookアカウントは友達しかコメントできない設定であるため、レベッカさんから直接連絡する方法がなかった(Facebookメッセージも、友達になっていない人からのものは見つけにくい仕様になっている)ということ。そこで上記書き込みの続きで「彼女の知り合いや、知り合いの知り合いの人がいたら連絡を」と呼びかけたところ、無事デシリーさんとコンタクトを取ることができたのだそうです。
syracuse.comによると、ふたりで「完璧なウエディングケーキ」について話し合ったのち、レベッカさんは今、たくさんのレシピを試しているところだとのこと。
「捨てる神あれば拾う神あり」とは言うけれど、こういう出来事は何度も何度も繰り返し起こっていて、そのたびに「拾う神」がテニスのラリー並みに拾い続けてますよね。うちで紹介したニュースだと、以下あたりがそれに該当しますけど。
- オレゴン州のベイカリー「同性婚のウエディングケーキなど作らん!」→有名パティシエ「私がただで作ってあげましょう」 - みやきち日記
- ウエディングケーキ注文を断られた同性カップルを有名ケーキ・アーティストが支援 米テネシー州 - 石壁に百合の花咲く
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LGBT(QIA+)ニュースをたくさん読んでるとしんどい話が多くて時々めげそうになりますが(ちなみに今日紹介しようかと思って結局やめたしんどいニュースはこちら)、そんなときこういう「拾う神」のことを思い出すと、もうちょっとだけ踏ん張れそうな気がします。そうそう、今回の件が話題になって、デシリーさんとジェスさんを支援したいと思った人たちから「Peace, Love, and Cupcakes」宛てに寄付が届き(ケーキは無償なのに)、同店はそのお金をACR Health(HIV/AIDSなどを罹患している人々への支援サービスや、性的少数者の若者とその家族・アライのためのプログラムなどを提供している非営利団体)に寄付したんだそうですよ。こうやって「何かしたい」と考えてさっと寄付などをする個人個人もまた、「拾う神」だと自分は思ってます。