石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

『好きだけど好きだから』(ぢたま某、ティーアイネット)感想

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ぢたま 某

ティーアイネット 2000-02
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どこか少女漫画風味の長編漫画

18禁だけどどこか少女漫画風味の長編漫画で、近親愛・異性愛・同性愛(女のコ同士の)が出てきます。ぢたま某さんらしく尿シーンもいくつか入ってますが、『SuperLovePotion』(ティーアイネット)ほど極端な尿漫画というわけではなくて、お話の焦点はあくまでメインキャラ4人の心の揺れ具合にあると思います。ストーリー後半で描かれる、たまきと香穂の心のつながりがよかったです。あと、可愛い絵柄と貧乳描写も。

欲を言うと、前半にもうすこし後半への伏線が張ってあるとよかったかなあ。あかりが突然強くなる経緯がちょっと説明不足だし、たまきの最後の台詞も(ギャグだとしても)唐突すぎて、見ていてやや戸惑ってしまいました。特に後者に関しては、性同一性障害ならともかくレズビアンには何の関係もない単語が突然持ち出されていることに違和感ありまくりです。どこかで香穂かたまきにとってとても大切な場所を伏線として出しておいて、最後にそれを使って締めくくれば、もっと綺麗にお話がまとまっただろうになあ。

でも、冒頭でも書きましたが、後半でのたまきと香穂の関係がとてもいい感じに描かれていたので、すべてオッケーとしてしまいましょう。コミカルでちょっとペーソス入ってて、どことなく『プリティ・タフ』(佐野タカシ、大都社)のふさこと富田林を思わせるような、友情とも愛情ともつかない結びつきなところが面白かったです。特にラブホテルでのシークエンスなんて最高で、楽しく読めました。