- 作者: 雁須磨子
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2005/06/15
- メディア: コミック
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ファミレスが舞台の連作集(百合話あり)
ファミリーレストランのウエイトレス「羽柴さん」を主人公とする漫画。レズビアンが登場する第3話「シャンプー台の香り」が、しみじみと切なくてよかったです。それ以外のお話も、「ちょっと変で、それでいてやたらと現実味がある日常風景」を淡々と切り取っていく作風がユニークで、たのしく読めました。
百合話「シャンプー台の香り」について
第3話「シャンプー台の香り」は、羽柴さんとレズビアンの美容師との、束の間のおつきあいの話。「束の間の」と言っても、することはしてるし、そもそも美容師さんによる口説きから初めて身体を重ねるまでのプロセスにすごーくリアル感があって、かつ、色っぽいです。羽柴さんはヘテロなんですが、そりゃ、フラフラっとくるよな、あれなら。
結局いろいろあって美容師さんは振られてしまうんですが、そのあたりの台詞もぐっときます。悲しみが痛気持ち良い、素敵な短編でした。
その他の収録作について
誰にでも覚えがあるような「ちょっとダメで、それゆえいとおしい日常」を、やはり誰にでも覚えがあるファミレスという場を舞台にして淡々と描いていくところが非常に面白かったです。唯一のシリーズ外短編「減るもんじゃあるまいし」も含めて、独特のゆるさと色気がお話の毒をそっと包み込んでいるところもよかった。
まとめ
女性同士のお話である「シャンプー台の香り」のリアル感と痛気持ち良さが素晴らしかったです。その他のお話もどれもじんわりとした滋味があってナイス。おすすめ。