
- 作者: 佐藤夕子,深見真
- 出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ
- 発売日: 2009/12/11
- メディア: コミック
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アクションも狂気も健在、番外編もよかったです
人気バイオレンス・アクション小説『ヤングガン・カルナバル』のコミック版第3巻。ストーリーは、ダニエラ編に突入したところ。激しいバイオレンス描写に加えて、敵味方両方の狂気をきっちり描いていくところが面白いです。レズビアニズム要素もたっぷりで、特にオリジナル番外編でのカノコのエロ妄想にウケました。
バイオレンス描写について
「グルカナイフが腕を貫通するの図」なんてのがナチュラルに出てきて楽しいです。まるで鶏肉を切り分ける包丁のようだ、とか思いました。もちろんグロくなりすぎないようにという配慮はされているのですが、あいかわらず人が人の肉体を破壊することの重みやコワさから目をそむけないバイオレンス描写だなあと思います。
狂気について
山神鬼一やアリサや風樹ももちろん狂っているのですが、よく考えたらそれと同じくらい塵八や弓華の側も狂ってるんですよね。塵八の
という独白(pp. 100 - 101)もその現れですし、弓華が涼しい顔でカッコよく詐欺集団の幹部を殺しちゃうところ(pp. 140 - 141)なんかも、よく考えてみればやっぱり狂ってる。狂気や暴力性というのは実は一枚のコインの裏表のようなもので、そこでアリサや風樹の側につくか塵八側につくかというのはある意味、運でしかないのかもと思ったりしました。ダニエラ救出などを見ればわかる通り、もちろん塵八サイドは正義に乗っ取って行動しているわけですが、その正義の根っこにただの単純なヒーロー物語とは違う昏いマグマが煮えたぎっていて、そこが非常に面白いです。どんな残酷な殺し方をしても飽き足りない
オリジナル番外編について
コミック版オリジナルの番外編は、学校のプールでの弓華・伶・カノコのエピソード。カノコのエロ妄想がたいへんなことになっています。それでいてカノコらしいけなげさやいいじらしさがしっかり描かれているところもナイス。また、百合物にしては珍しく、愛撫される側の欲望にはっきり焦点が当てられているところもよかったです。せっかく女性同士のお話なのに「愛撫される側=女役=性に積極的なのはダメ!」みたいなステレオタイプから脱却していないんじゃ、興ざめですもんね。
なお、カノコのドキドキが実は弓華の興奮(p. 156)や妄想(pp. 131 - 136)と鏡のように呼応しているところも味わい深かったです。なんだかんだ言って、お似合いカップルなんじゃないでしょうかこのふたり。早くつき合ってしまえ。
まとめ
凄味のある暴力シーンもエロありのレズビアニズムもヤングガンらしくて、楽しく読めました。4巻も楽しみです。