石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

『咲-Saki-(4)』(小林立、 スクウェア・エニックス)感想

咲-Saki- 4巻 (デジタル版ヤングガンガンコミックス)

百合の花乱れ咲き。何このパラダイス

女子高生麻雀バトル漫画、第4巻。県予選での和vs透華の対決がメイン。咲と和以外に、一と透華、桃子とゆみなどの組み合わせでも百合の花が乱れ咲いています。

4巻の百合いろいろ

まず咲と和。「一緒に全国に行こう!!」の指切り(回想シーン)で始まり、最後に恋人つなぎで終わるという様式美がいい感じ。この接触度の変化が、すなわちふたりの関係の進展具合のメタファーなわけですね。麻雀中に互いを思う気持ちの描写もぬかりなく、しかも時々エロく、安定のメインカップルぶり。

次、一と透華。一に掛けられた手錠が透華との絆の象徴であることは以前からわかっていたことですが、この巻ではそれがさらにはっきり強調されています。しかも2度も。特に2度目の方の一のいじらしさがたまりません。

最後、ダークホースの桃子とゆみがとにかく凄かったです。桃子の「存在感がない」という設定からここまでの愛と思慕とラブラブデート展開を引き出すとは! 見開き2ページを使って描かれるふたりの待ち合わせシーンは、もはやレジェンドの域に達しているかと。

上記のすべてのカップルに共通しているのが、パートナーとの出会いがキャラたちに重要な変化をもたらしていること。咲は和に出会って麻雀が好きになり、家族と暮らす夢を追えるようになりました。一は「手品」をやめ、透華に尽くすと決意。桃子は先輩と出会って自分の殻を破り、前向きに行動し始めています。こうした変化がそれぞれの人物像の魅力を高め、パートナーとの関係性にも奥行きを与えているわけです。うまいなーもう。

その他

百合部分のみならず、闘牌シーンもよかったです。「のどっち」として一段階上の力を見せつける和と、そんな和に魅せられつつ嗜虐的な欲望をそそられていく透華、という構図にゾクゾクさせられっぱなし。透華はこの巻では解説役兼1種の咬ませ犬役という役どころなのですが、さらなる変化を予想させる伏線もあり、そこにもちょっと期待。

まとめ

1巻を読んだ時点ではもっと友情寄りのストーリーになるのかと思っていましたが、完璧に間違ってましたね。まさかここまで濃厚な百合展開になるとは。メインプロットたる麻雀での戦いも、サブプロットたる各カップルの恋愛(と言い切っちゃうよもう)も充実し、かつそれぞれがしっかりと絡み合う、読みごたえある巻でした。

咲 Saki (4) (ヤングガンガンコミックス)

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