石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

トランスジェンダーの児童は混乱しているわけでも、自分を偽っているわけでもない(米研究)

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米国ワシントン大の研究で、トランスジェンダーの子供は、ジェンダー関連の心理テストでトランスでない子供と同じぐらい一貫性のある回答を示すことがわかりました。彼らは混乱したり異性のふりをしたりしているわけではない、と研究者は主張しています。

詳細は以下。

Transgender Kids Are Not Confused Or Pretending, Study Finds

この研究は、トランスジェンダーの子供たちに関する米国初の大規模長期研究「トランス・ユース・プロジェクト」(Trans Youth Project)の一環としておこなわれたもの。5歳から12歳の計32人のトランスジェンダーの子供たちを対象に、IATテスト(潜在的連合テスト)などを含む複数の調査をおこなった結果、彼らはシスジェンダー(トランスジェンダーではない、の意)の対照群と同じぐらい一貫した性同一性を持っているとわかったとのことです。

IATテストとは、自分では意識することができない、心の中の潜在的な態度を測定するためのテスト。コンピュータが表示するキーワードを2つのカテゴリのどちらかに分類させ、回答時の反応速度を調べるというもので、人種偏見についての研究などでよく使われます。ハーバード大学の以下のWebサイトでは、日本語で実際にこのIATテストを何種か受けてみることができますよ。

こうした調査の結果、トランスジェンダーの子供たちは5歳の若さでもシスジェンダーの子供たちと変わらない反応を示すとわかったとのことです。つまり、自分のジェンダーについて、トランス・ガールならシス・ガールと同じ潜在的態度を持っているとわかったわけ。

「われわれの研究結果は、トランスジェンダーの子供たちは混乱しているわけでも、遅れているわけでも、不定形のジェンダー反応を示しているわけでも、演技しているわけでもないという意見を支持するものである」と、「サイコロジカル・サイエンス」に発表されるこの研究論文は述べている。「これらの結果は、発達の初期段階にあるトランスジェンダーの若者は、同じジェンダーのシスジェンダーの子供たちとほとんど区別がつかないということを裏付ける証拠を示す」

“Our results support the notion that transgender children are not confused, delayed, showing gender-atypical responding, pretending, or oppositional,” says the study being published in Psychological Science. “These results provide evidence that, early in development, transgender youths are nearly indistinguishable from cisgender children of the same gender identity.”

論文の筆頭著者クリスティーナ・オルソン(Kristina Olson)教授は、BuzzFeedに対し以下のように話しているそうです。

「わたしたちはこれは重要なことだと考えています。というのは、トランスジェンダーの子供について、異性のふりをしているのだとか、意地を張っているのだとか、本当は自分が女の子だとは思っていないのだなどといった意見が世間ではたくさん聞かれるからです。これらの研究結果は、トランスジェンダーとは彼らが言っているようなものではないことを示しています……子供たちの本当の姿なんです。そのうち通り抜けてしまう一時的な局面などではないんです」

“We think this matters, because a lot of the public discussion about transgender kids say these kids are pretending, these kids are being obstinate, or these kids don’t really think they are a girl, for example. These results suggest this isn’t something they are saying … This is who they are. This isn’t a phase that they are going through at the moment.”

確かにこの知見はきわめて重要であり、広く世に伝わってほしいと思います。「トランスジェンダーの児童が学校で本人の主張するジェンダー通りに生活することを認められました」なんてニュースが流れるたびに、はてなブックマークで、Twitterで、あるいはブログで、「誰でも子供の頃はこういう時期がある(から、そんな措置は不要)」だの「ただの中二病だろ」だのと知ったかぶって水を差そうとする人、必ずいますからね。少しぐらい勉強してから物を言え、何なら自分でIATテストを受けてみて、結果がごまかせるかどうか試してみろと言いたいです。