東京・渋谷区が、同性カップルを「結婚に相当する関係」と認める証明書を発行する条例案を、3月の区議会に提出すると決定しました。アパート入居や病院での面会で、証明書を持つカップルを夫婦と同等に扱うよう求める方針とのこと。
詳細は以下。
渋谷区、同性カップルに証明書 条例案「結婚に相当」 :日本経済新聞
区によると、自治体が同性同士をパートナーとして証明する制度は全国で例がない。同性カップルが、アパート入居や病院での面会を家族ではないとして断られるケースが問題になっていることを踏まえ、区は区民や事業者に、証明書を持つ同性カップルを夫婦と同等に扱うよう協力を求める方針だ。法律上の効力はない。
可決されれば4月1日施行だそうです。
ところで、主要紙がこのニュースを報じたことで、お決まりの「こんな制度を認めると少子化が進む」という反対論がきっと出てくると思います。先手を打って、英国の最近の統計をご紹介しておきましょう。
英国統計局が2014年に実施した調査によれば、英国で同棲またはシビルパートナーシップ登録している同性カップルの7組に1組は子供を扶養しているのだそうです。具体的なカップル数のおよその内訳は、以下の通り。
同棲 | シビルパートナーシップ | 計 | |
---|---|---|---|
扶養中の子あり | 9000組 | 12000組 | 21000組 |
扶養中の子なし | 75000組 | 49000組 | 124000組 |
計 | 84000組 | 61000組 | 145000組 |
英国のシビルパートナーシップは、登録したカップルに対し、税金、年金、社会保障、親権などに関して異性同士の既婚夫婦と同じ法的権利を認める制度です。2004年から導入されました。上の表を見れば、同棲しているだけのカップルより、シビルパートナーシップ制度を利用しているカップルの方が子供がいる率が高いことがわかります。したがって、別に同性カップルを保護する制度が子供の数を減らしたりしてはいないわけ。
さらに言うとこの統計、同性婚している同性カップルはカウントしていないんですよ。イングランドとウェールズで同性婚が可能になったのは2014年3月のことなので、この調査には間に合わなかったんです。次回の調査では同性婚カップルも対象とされるとのことなので、そうなると子供がいる同性カップルの数はさらに増える可能性があります。
ちなみに英国ではレズビアンカップルも異性カップルと同じく、国民健康保険を使って人工授精を受けることができます。本当に子供の数を増やしたいなら、渋谷区の条例を成立させまいとするより、むしろこの証明書に法的効力を持たせたり、同性カップルが人工授精で子供を作れるように働きかけた方が早いんじゃないですかね。
2015年2月19日追記
牧村朝子さんの『百合のリアル』(講談社)では、こんなデータも紹介されてるみたい。わかりやすい!
安倍首相の発言に関連し『同性婚は少子化を加速させるので反対』とのツイートが見受けられるので、
実際に同性婚を法整備した諸外国で出生率がどうなったかのデータを
※「百合のリアル」129Pから pic.twitter.com/nxBl5MPdg1
— SOUL-JAZZ SOLDIERS (@WALLLESS_LILY) 2015, 2月 19