石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

「ポケモンは子どもをゲイにする」 米キリスト教会が主張

ポケモンプラモコレクション ファーストシリーズ 19  ピカチュウ (ポケットモンスター)

米国アトランタのメガチャーチ(巨大教会)「クレド・ダラー・ミニストリー」(Credo Dollar Ministry)が、ポケモンは1985年から1990年代にかけてティーンエイジャーを性的に「逸脱させ」、同性愛を「選ばせた」と主張しています。

詳細は以下。

Pokémon turned kids gay, claims church | Gay Star News

Christ Newsによれば、同教会の主張では「非常に多くの」ポケモンキャラ(例:ビードル)が男根の形を模しており、ティーンエイジャーに「このタイプの形状を楽しむようにと押し付けている」のだそうです。

同教会の考えでは、「ヒトカゲ」は「登場している間じゅうちんこ(原文では"queue"、『しっぽ』とも『ちんこ』とも訳せます)を愛撫しつづけて」おり、「ミュウ」は「第3の性と言われるものの完璧な描写」なんだそうですよ。また「フシギダネ」は女性の胸に奇妙な単語を添えて表したもので、男性が女性の身体に感じるナチュラルな魅力に疑問を投げかけているのだそうです。さらに言うと、そもそもサトシとタケシの関係が「同性愛のアジェンダ」の手がかりなのだとこの教会は主張しています。

仮に百億歩ぐらい譲ってポケモンのキャラクターデザインが男根の「形状を楽しむように押し付け」るものであったと考えてみたところで、巷に氾濫するヘテロ創作物の「異性同士の恋愛・セックスを楽しめ」という圧力の方がよっぽど大きいと思うんですけどね。それにだいたい、たかがビードル(芋虫風のモンスターです)の形を「男根だ! ゲイのアジェンダだ!」と糾弾してたら、現実のアゲハチョウだのスズメガだのの幼虫はどうなるわけ。あれも「ゲイのアジェンダ」? まさか。早い話が、問題はポケモンのデザインにあるのではなく、単なる細長いものを見たとたん「男根だ」と考えて恐怖心をつのらせる側、つまりホモフォーブの頭の中にこそあるんじゃないですか。

それからもうひとつ、ポケモンユーザーには女の子だっているのに、そこは完全に無視されているところが大笑い。この教会の理屈で言えば、ポケモンは思春期の女子(レズビアン予備軍含む)を異性愛に導いた功労者ってことになるんじゃないの? そういう視点がまったくないあたり、典型的なホモフォビアとミソジニーの佃煮ですよねこの説。やだやだ。

なお、このクレド・ダラー・ミニストリーというのは、「神が正しいことだと言ったから」という理由で、6500万ドル(約78億円)もする自家用ジェット機を買うためのクラウドファンディングを始め、世界中から300ドルずつ寄付するよう主張して顰蹙をかった教会。現在はもうこのクラウドファンディングは取り下げられているようですが、ポケモンを仮想敵にして叩く前に、強欲の大罪について少しは考えてみた方がいいんじゃないの?