米国コロラド州の反LGBTQ団体「Focus on the Family」が本拠地としている書店が新型コロナのアウトブレイク拠点として州のデータベースに掲載されました。同団体は教会と名乗って免税措置を受けるかたわら、同性愛は「死や病気」を引き起こすなどと主張してきたところです。
詳細は以下。
「Focus on the Family」は福音主義の、または原理主義のキリスト教グループで、結婚は男女間だけのものだとか、トランスジェンダーの人は「イエスとのつながりを絶たれて」いるとか、男色行為は死や病気の元だとかいう主張をしてきたところ。AIDSは同性愛や両性愛のアイデンティティーが原因で引き起こされるもので、政府は感染対策として「禁欲プログラム」に税金を使うべきだなんてことも言っていたようです。
で、この「Focus on the Family」が2020年8月26日、コロラド州が公開しているCovid-19アウトブレイク個所のリスト入りを果たしたんでした。州の公式Webサイトからダウンロードできるxlsファイルによると、8月20日の時点で書店スタッフ3名の陽性が確認され、さらに未判定ながら陽性の可能性があるとみられるスタッフも1人いたのだそうです。あらまあ、一体何の「アイデンティティー」が原因で病気になったのかしらね? ひょっとしてトランプ賛美者のアイデンティティー?
とまあ、嫌味はさておき、これが同団体が「病気は道徳的退廃に対する天罰」みたいな古典的な偏見を見直すきっかけになるといいですね。せっかく本屋さんなんだから、ソンタグの『暗喩としての病い エイズとその隠喩』(感染症が猛威をふるっている今改めて読むと、よりいっそう面白い本です)でも大量に仕入れて、読書会のひとつもやればいいのに。
- 作者:S.ソンタグ
- 発売日: 2012/09/11
- メディア: 単行本