石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

映画『ストーンウォール』のホワイトウォッシングを皮肉るパロディー動画:題して『ストーンウォールっぽい』

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ローランド・エメリッヒの映画『ストーンウォール』のパロディー版トレイラーがYouTubeで人気を博しています。同映画が有色人種やトランスの功績をシスジェンダー白人男性「ダニー」に横取りさせていると皮肉るもので、なかなかの力作。

まずは動画をどうぞ。

動画内のコピーをいくつか訳してみると、こんな感じです。

どんな運動や不正義にも、歴史が動く瞬間があった。そして、人の功績を横取りする白人男性も……

「よくもまたこんなことができるもんだね」―ミス・メイジャー(実際にストーンウォールにいた人)

「ダニーっていったい誰だよ!?」―みんな

実話にインスパイアされ、ハリウッドにぶち壊された物語

レズビアンは1人。ひょっとして2人?

そして反乱を始めた有色人種のトランス女性は……

シルビア・リベラ(映像なし)
ミス・メイジャー(映像なし)(リメイクされたら出るのかも?)

そして最後に出てくるタイトルは『ストーンウォールっぽい』("STONEWALL-ISH")。これは本当のストーンウォールとは違うよという皮肉ですね。

YouTubeを見ると、8月14日現在で公式トレイラーが圧倒的に不評(評者の3分の2ぐらいが『低く評価』)なのに対し、こちらのパロディー版は9割以上から高く評価されています。公式トレイラーから読み取れるホワイトウォッシング("whitewashing"、有色人種の役を白人に演じさせるなど、何でも白人寄りにしてしまうこと)やトランス消去("trans erasure"、トランスジェンダーやトランスセクシュアルの人々を無視し、いないものとして扱うこと)の気配に、それだけ多くの人が怒っているということなのでしょう。

余談ですけど、この映画に関して、「そんなに何でも白人男の手柄にしたいんなら、もうどんな有色人種の運動もこいつがリーダーだったってことにすれば?」と皮肉るコラ画像も既にいろいろ作られているようです。

マーチン・ルーサー・キングJr.、サパティスタ解放戦線、ローザ・パークス、ブラック・パンサーの運動のすべてで、ダニーがしゃしゃり出て主役顔してたりとか。

セサール・チャベス(メキシコ系米国人の労働運動指導者)のサクラメントへの行進にもダニーが関与。

アメリカインディアンのアルカトラズ島占拠事件にもダニーが。わはは。

公開まであと1ヶ月と少し。果たして映画『ストーンウォール』はこの汚名を注げるのか!?