オーストラリア発の、トランスジェンダーのテディベアと人間の男の子が主人公の絵本がむちゃくちゃかわいいです。Kickstarterで2015年8月8日から資金集めが始まったこの作品、なんと1週間かからずに目標額(約96万円)を突破しています。
詳細は以下。
This beautiful children’s book with a trans teddy is incredibly moving · PinkNews
この絵本の題名は、Introducing Teddy: being yourself and being a good friend(直訳すると、『テディベアのしょうかい:ほんとうのじぶんでいること、そしてしんゆうでいること』)。男の子だと思われているけどほんとうは女の子のテディベア「ティリー」(男性名は『トーマス』)と、人間の男の子「エロール」の友情物語で、32ページのフルカラー作品です。もうね、 Kickstarterに掲載されているこんな抜粋文だけで目から変な汁が出て来ます。
テディベアは、こころの中ではじぶんが男の子ではなく、女の子だとわかっています。ともだちはわかってくれるかなあ? トーマスじゃなくて、ティリーってよんでくれるかなあ?
Teddy knows in her heart that she is a girl, not a boy. Will her friends understand? Will they call her Tilly instead of Thomas?
絵柄はこんな感じ。
この本の著者はオーストラリア人のジェシカ・ウォルトン(Jessica Walton)さんで、絵はイラストレーターのドゥーガル・マクファーソン(Dougal MacPherson)さんが担当しています。ジェシカさんがこのお話を書こうと思い立ったのは、自分自身のお父さんがトランスジェンダーで、現在「ティナ」さんという名前で暮らす女性だから。ティナさんは今、ジェシカさんの息子であるエロールくんをかわいがる良きおばあちゃんとなっています。でも、エロールくんの本棚には、トランスジェンダーのキャラクタが出てくる絵本が1冊もありません。そもそもほとんど市販されていないからです。ジェシカさんは、まずエロールくんに読んでもらいたくて、この本を書こうと決めたのだそうです。
トランスジェンダーの祖父母、両親、おじおば、きょうだい、いとこや友達がいる家族はもっとたくさんいるはずです。そうした家族は、トランスジェンダーの登場人物がいる優しくてポジティブな物語を気に入ることでしょう。
We felt that there must be more families out there with transgender grandparents, parents, aunts and uncles, siblings, cousins and friends who would appreciate a gentle, positive story with a transgender character.
これには完全に同意。それに、現在家族や友達にオープンリー・トランスジェンダーの人がいない子どもでも、こういう絵本に親しんでおくのはとてもいいことなんじゃないかと。性別違和を持つ人と知り合ったり、あるいは自分に性別違和があると気づいたりしたとき、「ティリーと同じだ」と思えば理解しやすいんじゃないかな?
目標額を達成したとは言え、本作品のクラウドファンディングはまだ受け付け中です。初版400冊が完売したら、増刷したり電子書籍を出したりする計画もあるとのこと。「出資してみようかな」とお思いの方は、ぜひ以下のページをどうぞ。
追記(2015年10月29日)
この本、2016年にハードカバーで発売されるらしいです。日本のAmazonでも予約が始まってます。
Introducing Teddy: A Gentle Story About Gender and Friendship
- 作者: Jessica Walton,Dougal Macpherson
- 出版社/メーカー: Bloomsbury Childrens Books
- 発売日: 2016/05/31
- メディア: ハードカバー
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