石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

カンザス州地裁、同性カップルからの里子取り上げを「魔女狩り」と非難

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カンザス州ジョンソン郡の地裁判事が2013年、同州の子供・家庭局(DCF)がレズビアンカップルから生後16ヶ月の里子を奪ったことを強く非難し、DCFからこの子の親権を剥奪していたことがわかりました。

詳細は以下。

Johnson County judge: Kansas agency conducted ‘witch hunt’ against lesbian foster parents | The Kansas City Star

2015年12月4日に公開された情報によれば、DCF(Department for Children and Families)はこのレズビアンカップルが生後3日から育てていた子どもを取り上げ、もともとこの子を引き取りたがっていなかった家庭の養子にしようとしたのだそうです。

Eメールの記録からは、DCFの職員たちが同カップルの里親としてのライセンスを無効にしたいと考え、そのためにこのカップルに精神的な問題があるという証拠を欲しがっていたことが読み取れるとのこと。

DCFは実際に精神科医の意見を求めたのですが、問題ないと言われたため、今度はこのカップルの家を調査。それでも特に子供の安全に問題があるとは言えなかったため、結局、彼女たちのひとりが福祉詐欺を働いたということを理由にして里親ライセンスを無効にしようとしたのだそうです。

ジョンソン郡地方裁判所のキャスリーン・スローン(Kathleen Sloan)判事は、DCFが暴行や窃盗などの罪で服役したことのある元麻薬中毒患者には養子をむかえる権利を認めていることを指摘し、このカップルの里親ライセンスを無効とするのは不当と判断。判決文で以下のように述べました。

「要するにDCFは、彼女たちが信頼し合った関係にある同性愛者の女性だという理由で(中略)一種の『魔女狩り』をおこない、ネガティブな情報を手に入れるために(中略)協同して意図的に努力したのである」

“In essence, DCF conducted a ‘witch hunt’ and made a concerted, purposeful effort … to obtain negative information … because they are homosexual women in a committed relationship,”

同性カップルが子どもを取り上げられそうになった話は、最近ユタ州でもありましたよね。詳しくは以下を。

そして、このような同性カップル家庭への差別は他にもいろいろあるみたいです。以下、「ウィチタ・イーグル」で紹介されていた例。全部カンザス州です。

  • ウィチタ在住のTesa HinesさんとLisa Hinesさん。里親制度からの養子縁組(foster to adopt)を希望して11ヶ月育てていた赤ちゃんを、DCFに取り上げられる。赤ちゃんは、既に13人子どもがいるJonathan SchummとAllison Schumm夫妻の養子に。Schumm夫妻はその後、児童への悪質な暴行、虐待などで逮捕されて刑務所へ。
  • ダービー在住のAimee Kozushkoさんとその妻。9ヶ月のときから4歳まで育ててきた里子との養子縁組が認められたという電話がDCFから来たと思いきや、30分後に再びDCFから電話が入り、「先ほどの電話は間違いで、その子は州外の血のつながった親戚宅に移す」と告げられた。里子はその親戚と会ったことは一度もなく、セラピストの意見とは正反対の措置だった。
  • ウィチタ在住のMindy Kufahlさんとその同性パートナー。16歳のレズビアンの里子を半年間養育していたが、DCFは少女の性的指向を「性的アクティングアウト」とみなし、同性同士の里親がそれを助長しているとして問題視。里子はその後、施設に入れられた。

なんというか、こう。

アンチゲイな人たちって、しょっちゅう「子供」をダシにして同性愛者や同性カップルを非難している(『子供が生まれない関係は認めない』とかなんとかいうアレね)わりに、別に子供の幸福のこととか何も考えてなくない……? スローン裁判長が言うところの、「魔女狩り」がしたいだけなんじゃない?

たぶんこういうのは氷山の一角であって、これから判例が積み重ねられていろいろ変わっていくんじゃないかとは思うんですが、見てると気が重いですねやっぱり。うーむ。