BuzzFeedが公開した、有名映画の主要キャラをLGBTの人々に置き換えたポスターのメイキング動画がたいへん面白いです。ポスターとしての完成度の高さもさることながら、映画界の白人シスヘテロ中心主義への批判がピリリと効いてるところがたまりません。
詳細は以下。
This Is What Iconic Movies Would Look Like With LGBT People
動画はこちら。
動画内のキャプションをざっと訳すと、こんな感じになります。
- GLAADによれば、2014年封切りのメジャーな映画114本のうち、
- LGBTのいずれかの自認をもつキャラがいたのは17.5%
- そのうち65%がゲイ男性
- 30%がバイセクシュアル
- 10%がレズビアン
- トランスジェンダーのキャラは皆無
- LGBTのいずれかの自認をもつキャラがいたのは17.5%
- 南カリフォルニア大学の研究によれば、2007~2014年の映画のトップ100作品では、
- 0.1%のキャラがバイセクシュアル
- 0.2%のキャラがゲイ男性
- 0.08%のキャラがレズビアン
- トランスジェンダーのキャラは皆無
- 2014年から2015年の映画、TV、ケーブルTV、またはネット配信の作品に登場した台詞のあるキャラクタ11194人のうち、LGBキャラは2%だけ
- ゲイまたはバイセクシュアルのキャラの約3分の2は男性
- LGBキャラのほとんど(84.2%)が白人
- LGBキャラのほとんどが、小さな役またはカメオでの出演
- LGBT描写が出てくるのはほとんどがコメディで、そのうちいくつかはLGBTキャラをだしにして笑いを取っている
- 南カリフォルニア大学の研究によれば、2007~2014年の映画で、健康的な恋愛関係にあるLGBキャラの描写はまれ
- 19人のLGBキャラのうち、人に隠していない、長期的な交際関係にあるキャラはわずか2人だけだった
- で、トランスジェンダーの恋愛関係は?(まったく描かれていない)
- 映画内での描写に関しては、LGBTの人々であるということは、ほとんど「透明人間(見えない存在)である」ということを意味する
- 子を持つ親として描かれるLGBキャラもいなかった
- LGBTの主役はいったいどこにいるんだ?
元記事では、この動画のほかオリジナルの映画ポスターとLGBTバージョンとの比較画像(並べて見ると、再現度の高さに改めて驚かされます)や、動画出演者のコメントも紹介されていて、読み応えたっぷりです。動画内で『タイタニック』のディカプリオの役をつとめているアナ・ボイデル(Anna Boydell)さんのこちらのコメントなんて「あなたはわたしですか」としか思えませんでした。
「大部分のレズビアン映画では、同性愛者であることはたいてい大変な困難として描かれていて、概してその解決策は男とくっついて終わるということです。同性愛者であることが映画の中で絶対的なスポットライトを浴びるのではなく、それがキャラクタの単なる一部分であって、男性がそのキャラを『レズビアンの苦しみ』から救い出す必要がない映画をぜひ観たいと思います」
“In most lesbian films, being gay is usually a struggle and the resolution is typically ending up with a man. I’d love to see a film where being gay is just one aspect of their character, not the entire spotlight of the film. And where a man doesn’t need to save her from a life of “lesbian struggle”
あたしが最近『キャロル』がすごいと言い続けている(あまりにキャロルキャロル言い続けすぎて、自分がメンフィス*1になった気がしてくるぐらい)(でもまだ当分言うよ)のは、アナさんと同意見だからです。まだまだ変わる必要があると思うわ、映画界。
*1:ほれ、『王家の紋章』の。