米国のTVドラマなどでレズビアンやバイセクシュアル女性のキャラが安直に殺され続けていることを皮肉る、「死せるレズビアンの会("Dead Lesbian Society")」のピンバッジが、Autostraddleから発売されました。
詳細は以下。
Bury Your Gays Merch Alert: Dead Lesbian Society Enamel Pins | Autostraddle
「死せるレズビアンの会("Dead Lesbian Society")」というネーミングは、言うまでもなく、映画『いまを生きる』に登場する「死せる詩人の会("Dead Poets Society")」のパロディー。米国のドラマなどであまりに何度も繰り返されている、「女性が好きな女性のキャラを、『衝撃の展開』のためにあっさり殺して使い捨てる」というパターンに対する皮肉です。ちなみに、死せるレズビアン(またはバイセクシュアル/クィア女性の)キャラって、2016年だけで少なくとも25人以上いるんですよ。人口比やキャラの全体数から言っても、殺されすぎでしょ、いくらなんでも。
Autostraddleから今回発売されたエナメルバッジのデザインは、こんな感じ。
左から『The 100』のレクサ、『プリティ・リトル・ライアーズ』のマヤ、『バフィー 〜恋する十字架〜』 のタラ。3個セットで25ドル。あたし、前2者は見ていなかったけど、バフィーは好きだったからタラの死は悲しかったわ。あの展開はひどすぎたわ。ちょっとこのピン、欲しいわ。
元記事のコメント欄では、「このキャラのピンも作って」というリクエストが少なくとも7人分あり、「死せるレズビアンの会」そのもののロゴのピンが欲しいという意見も出ていました。どれもうなずけます。もうあたしら、また何かのドラマで安易にレズビアンキャラが殺されたら、テーブルに飛び乗って"O lesbian! my lesbian! rise up and hear the bells!"と叫び出してもいいぐらいの状況にありますからね。これぐらいの気晴らしのひとつもなければ、やってられませんよまったく。
なお、どうしてこうもレズビアン/バイセクシュアル/クィア女性のキャラが次から次へと殺されているのかについては、「古典的なレズビアン嫌悪(『男性異性愛者ののぞき見趣味の対象として情交を演じるのはいいが、最終的に男抜きで幸せになることは許さん』みたいな)の影響もないわけではないのだろうけど、たぶんそれよりも、『赤毛のアン』でアンがダイアナの書く物語について言っていたことに近いことが起こっているんではないか」とあたしは考えています。以下、村岡花子訳の新潮文庫より引用。
それからダイアナのは、あんまり殺人が多すぎるの。いつも中の人物をどうあつかっていいかわからないもんで、かたっぱしから殺してしまうんですって。
つまり、創り手側の想像力や技術が足りず、レズビアン/バイセクシュアル/クィア女性の人物を「どうあつかっていいかわからない」ために、ここまで死屍累々の惨状になってしまっているというところもかなりあるんじゃないかと思うんですよ。いずれはこうしたキャラを描くためのノウハウも蓄積されてはいくのでしょうが、それまでは当分「死せるレズビアンの会("Dead Lesbian Society")」会員の嘆きは続くのではないかという気がします。通販ページによれば今回出たピンバッジセットは"PACK #01"だそうなので、今後2番3番のパックも出るんじゃないかとちょっと期待しているところです(OITNBのあの人とか、入れるべきじゃない?)。