YouTubeチャンネル「FEB」が、男の子同士の恋を描いた短編アニメ『In a Heartbeat』を計9人のお年寄りに見せたときの反応をまとめた動画を発表しました。子供たちのみならず、お年寄りの反応もいいんですよこれがまた。
詳細は以下。
‘In a Heartbeat’ Animators Adorably React to Elders Freaking Out Over Their Film | PRIDE.com
『In a Heartbeat』は、米フロリダ州にあるリングリング・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインの最上級生、エステバン・ブラボ(Esteban Bravo)さんとベス・デイヴィッド(Beth David)さんがYouTubeで発表した3DCGアニメです。内容は「男の子に片思いしている男の子が自分のハートに振り回され、意外な結果を迎える」というもの。まだ作品をごらんになっていないかたは、まず以下をどうぞ。
そして、この作品を見たお年寄りの反応がこちら。
みなさん作品そのものもお気に召したようだし、ゲイの生徒を教えたことのある方や、アニメーターの娘がいて業界の事情に詳しい方もいらしたりして、キッズの反応とはまた違った角度からの見方が出てくるところが面白いですね。ちなみに、この反応を見るベスさんとエステバンさんの動画も、合わせて公開されています。
以下、動画内のお年寄りの反応や意見などをダイジェストでまとめてみました。
作品鑑賞中の発言あれこれ
冒頭場面
- この若者はあの若者が好きなんだな。
- ああ、この子あの子に片思いしてるのね。
ハートがドキドキし始め、ついに主人公の胸から飛び出すシーン
- 彼は彼のことを好いてるとか?
- 彼のハートね。あらまあ!
- ほらね、自分のハートは自分でコントロールできないものなのよ。
偶然手をつないだり、抱き合ってしまったりするシーン
- これ好きだわ。
- どうしてこの動画がネットで流行したのかわかったよ。これはいいね。
校舎の中で、みんなに白眼視される場面
- ああー。他の子たちが見てる。
- ヘイターよ、ヘイター。やめなさいよ!
ハートが壊れる場面
- 目の表情がすごいね。
- だめ!
- かわいそうに。ハートが壊れちゃった。
- おおおおお。(泣く)
ハートが元に戻り、恋が実る場面
- ここで元に戻ったのね。(笑う)
- はー……(無言ですすり泣く)
- 励まされた!
- いい結末だ。
鑑賞直後
- すごくパワフルだった。
- アカデミー賞ものだわ。
- 昔からアニメが好きだったが、これはよくできてる。ハッピーなアニメだ。
- 男の子に恋をしてる男の子がこれを見たら、気分がよくなると思う。これって恐ろしいことじゃないんだと感じるのでは。
- とても正直な話だった。人は何か決めるとき、頭か心のどちらかに左右されるものだけど、幸せになりたかったら心にまかせるべき。
視聴後の質疑応答
問「このテーマが重要なものとして扱われているショートフィルムが人気になったり、称賛されたりしているのを、子供時代または昔にご覧になったことはありますか?」
- いいえ。このアニメみたいな気持ちの小さな男の子はきっといただろうと思います。でも、それはまったく受け入れらないことだったんです。
- 今なら明らかに違うのでしょうが、昔は決して受け入れられなかったと思います。
- 規範から外れたことは肯定的には見られていませんでした。
- (そういう作品があったとしても)称賛されはしなかったでしょうね。昔は「どこか悪いのでは」と思われていました。変態だと思われていたんです。
- そういう恋愛があるということすら理解されていなかったのではないかと思います。そのような関係は、完全に隠されていたんです。
- (昔は)同性愛者は完全にクロゼットの中にいました。10年か15年前、同性愛者の生徒がいて、ひどく取り乱していたんですよ。彼が取り乱していたのは、両親におまえは地獄で焼かれると言われたからでした。当時はカミングアウトしている人が本当に少なかったから、こういうことに対処するのは大変でね。この10年間で良くなったと思います。
- 今の若い世代は、年寄りが受け入れられない、または受け入れたくないと思って心を閉ざしてしまうようなとてもたくさんのことを受容できていると思います。時代が変わったんですよ。
問「作者のベスとエステバンへのメッセージは?」
- すばらしかったです。今後もがんばって。
- すばらしい作品で、わたしは受け入れるよ。わたしはそう若くはないが、受け入れます。
- これを出してくれてよかったです、だって本当に必要なものですからね。わたしたちは愛に変わりはなく、ハートに決断をまかせるべきだということを忘れてはなりません。おふたりに拍手を。
- あなたたちはとても良いことをしたと思います。自分の気持ちを表せず、不安で悲しい思いをしている男の子たちに、その感情は正当なものなんだと伝えたんですからね。とてもポジティブなメッセージが出ていて、すばらしい出来栄えだったと思います。
- ありがとう、ありがとう、ありがとう、世界で実際に起きていることを、こんなにすてきで、愛にあふれていて、思いやりがあって、リアリスティックな見方で描いてくれて。
これらの反応を見た後の、ベスさんとエステバンさんの声
- 人はお年寄りを見ると、年齢を理由に「理解してくれないだろう」とか、「こういう表現に慣れている世代ではない」とか、「ネガティブな反応をするだろう」とか思ってしまいがちですが、この人たちはみんな優しかったです。
- お年寄りは、わたしたちのような人にとって昔はどんなに状況が違っていたかを、また別のレベルで理解できるんです。
- (この作品がヴァイラルになったことで起こった、もっともクレイジーな、またはもっともすごいことは何だったかと訊かれて)これです(笑)。本当にクール。
- (動画のお年寄りにメッセージをと言われて)ありがとうございます。みなさんの反応を見てうれしく思いました。どの反応も大好きです。泣かせてしまった方もいらしてごめんなさい、でも、泣いてくださってありがとう。
なおベスさんとエステバンさんは今後それぞれ別のアニメーション会社で活動していくとのことですが、いつか監督になって、『In a Heartbeat』をもっと大きな作品に広げたいと考えているそうです。その日が来るのが、今から楽しみです。