『スーパーガール』のアレックスとマギー、MTVの「2016年ベストTVカップル17組」トップに輝く（ネタバレ）

米TVドラマ『スーパーガール』のレズビアンカップル、アレックスとマギー（シップネームは『サンバース』）が、MTVが選ぶ「2016年ベストTVカップル17組」の第1位に選ばれました。選評がまたいいのよ。

詳細は以下。

The 17 Best TV Couples Of 2016 - MTV

アレックス・ダンバース（カイラー・リー）は、同ドラマの主人公カーラ／スーパーガールの義姉。現在米国で放映中のシーズン2では、彼女が女性刑事マギー・ソーヤー（フロリアナ・リマ）との出会いを機に自分のセクシュアリティに気付き、紆余曲折を経てカミングアウトし、マギーと恋人同士になるところまでが描かれています。アレックスがついに自分の性的指向を把握する、いわば「エウレカ！」の瞬間や、カミングアウトにともなう緊張と葛藤、そして彼女の恋路のローラーコースターっぷりなどがリアルでリアルで、レズビアンの視聴者からは「アレックスはわたしだ」、「自分だけじゃなかったんだ」など共感の声が続出中。なによりすばらしいのは、このドラマが自分の性的指向のことで悩んでいたたくさんのティーンエイジャーの助けになっていることです。うちのブログで紹介した例を、ひとつだけ挙げておきます。

スーパーガール（のアレックス）、またしても少女を助ける。しかも、現実世界で - 石壁に百合の花咲く

MTVの選評は、こんなでした。

今シーズンのアレックスのカミングアウト・ストーリーは、愛と受容のメッセージを輝かしい新たな高みへと押し上げた。この物語が、テレビで今後もっと増えていくであろうLGBTQ描写の先駆者であることは間違いない。しかし、もっとも重要なのは、この話は同じような気持ちを抱いて苦闘している少年少女に、自分たちが支持することができるヒーローと交際関係を提示しているということである。
Alex's coming-out story this season has taken the show's message of love and acceptance to glorious new heights, and it's undoubtedly blazing the trail for more LGBTQ representation on television. But most importantly, it's giving young girls and boys who are struggling with similar feelings a hero, and a relationship, they can champion.

ちなみにベスト17組に選ばれた同性カップルはサンバースだけではなく、アレクとマグナス（『シャドウハンター』）、プッセイとソウソウ（『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』）、エミリーとアリソン（『プリティ・リトル・ライアーズ』）などもリストに入っていました。日本ではまだ「同性愛は『一般人』には不快に思われて当然だから、同性愛を描く表現は人目につかないようにすべきだ」などと唱える人がいるようですが、こうしてみるとその「一般人」って一体誰なんでしょうね？　どのドラマも世界的にヒットしているし、日本でも放映／配信されてるもんね。

2013年にレズビアンのバスケットボール選手、ブリトニー・グライナーがカミングアウトしたとき、10歳の男の子がメディアの大騒ぎに驚いて「どうしてこんなことで大騒ぎしてるの。同性愛者はどこにでもいるよ、ぼくは『プリティ・リトル・ライアーズ』や『Glee』を見て知ってる」と言ったという話を以前紹介しました。今後はこんな風に、たかが同性愛でいちいち動転したり隠せと主張したりしない世代がもっと増えていくんじゃないでしょうか。そのためにも、『スーパーガール』のような繊細かつポジティブな表現は本当に本当に大切だと思います。同ドラマのシーズン2は今、DCコミックス原作の他作品とのコラボレーションのため数週間の休止（hiatus）中なのですが、1月に再開され次第また全力で応援していく所存です。