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石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャー。

ヴィーガン・アイスクリームのお味はいかに?―ドラマ『スーパーガール』2x10感想

ドラマ 百合/レズビアン

ポスター A4 スーパーガール 光沢プリント

サンバースさえよければすべてよし。なんだけど……

刑務所から消えたライブワイヤーがカーラと再び対面。見どころはライブワイヤーとカーラの間に生じたある種の連帯と、サンバースのとある賭け。ガーディアンの増長がまたしても鼻につく中、モン=エルの無邪気な大型犬のような善良さがまぶしかったです。

ただの使いまわしかと思いきや

単純に以前出てきたヴィランを使いまわす回かと思いきや、そうでもないところが気が利いてました。あたしのお気に入りは、終盤でライブワイヤー(ブリット・モーガン)がカーラ/スーパーガール(メリッサ・ブノワ)に向かって放つ、「次は女の子だけで("just us girls")」云々というちょっとひねった捨て台詞です。悪役であることは変わらないにしても、この先たまたま利害が一致してスーパーガールと共闘したりしないのかしら、ライブワイヤー。

今週のサンバース

サンバース(カーラの義姉アレックスと女性刑事マギーのレズビアンカップル)の関係は目下、順風満帆。ある出来事について、ふたりで「マギーが勝ったら今夜はマギーの家でヴィーガン・アイスクリームを食べる。アレックスが勝ったらアレックスの家で過ごす」という賭けをしているくだりがかわいらしく、かつあまりにレズビアンっぽくて爆笑しました。

米国では俗に「レズビアンにはベジタリアンが多い」と言われてましてね。以前からずっとレズビアンの自覚があったマギーがヴィーガン用アイスを好む一方、まだベイビー・ゲイなアレックスは「ひどい味("gross")」と言っているという対比はベタでありつつ笑えましたし、それに何より、サンバースがもうどちらかの家で一緒に夜を過ごして当たり前の間柄だということが、この会話でさらりと示されているところが心憎かったです。別にくんずほぐれつのベッドシーンを入れなくても大人のレズビアンの関係は書けるのだということが、よくわかります。

そうそう、この賭けが結局ふたり一緒にヴィーガン・アイスクリームを食べるというところに落ち着いたのは、おそらく偶然ではないと思います。同じ食べ物を分かち合うという行為は、親密さやつながりの象徴であるとともに、セックスの暗喩にもなりえますから。しかも、ここでふたりが食べるのはレズビアン御用達のヴィーガン食品なんですからね。ごちそうさま。

今週の男子ズ

ガーディアンことジェームズ・オルセン(メカード・ブルックス)のヒーロー願望/ヒーロー気取りっぷりがまたしても強調され始めていることにうんざりしました。いつまでやるんですか、このネタ。百歩譲って仮にこれが男性視聴者が自己投影しやすいキャラを作るための方策だったとしても、設定や台詞に粗がありすぎると思うんですが。

粗の具体例としては、たとえば、ウィン(ジェレミー・ジョーダン)が「サポート役はもう嫌だ(大意)」という理由でガーディアン側に回ることの意味不明さが挙げられます。彼はガーディアンとの活動時も結局補佐役を務めているのですから、やっていることはカーラのサポート時とほとんど変わらないはず。なのに、カーラのサポートはもう嫌で、ガーディアンのサポートならいいわけ? なぜ?

また、チーム・ガーディアンがカーラの反対を押し切って活動を続ける理由が「助けたいから」一本槍であるところもどうかと思いました。彼らが実際にやっているのは、(1)「助ける」と称して別にカーラに頼まれてもいない(それどころかむしろ本気で嫌がられている)危険なことに手を出して、(2)そのくせ感謝や称賛が返ってこないことに腹を立てるということであり、その陰にはどことなく、『ブレイキング・バッド』でウォルターを怪物化するに至らしめた行動原理に相通じるものが潜んでいるように感じられます。早い話が、どんなに「助けたい」と連呼したところで、マチスモに後押しされた虚栄と独善の気配がカバーし切れていないんですよ。これなら、メガンが故郷でとった行動の方が、よっぽどヒロイックだわ。

ちなみに先ほど英語とスペイン語の二ヶ国語でざっとTwitterを検索してみたところ、どちらの言語圏でもガーディアンのストーリーラインはかなり不評なようでした。この先にあっと驚く新展開でも用意されているのならともかく、そうでないのなら、公式は少しガーディアンの描き方を見直した方がいいのでは。

モン=エル犬説

公式が第1シーズンの流れをぶった切ってまで始めたモン=エル(クリス・ウッド)とカーラのヘテロロマンスは、一応とろ火で進行中。サンバースのラブストーリーと比べると展開がぎこちないことこの上ないのですが、とりあえずモン=エルは無害なでっかいゴールデンレトリバーのようなものだと思っておけばそこそこ楽しく見ていられると気づきました。善意に満ち満ちていて、「マテ」が苦手で、アジリティ競技の最中でもおやつが目に入るとついついそっちに走っていってしまう、そんなゴールデンレトリバーね。彼が今後カーラとくっつこうとくっつかなかろうと、今の善良さとひたむきささえ保ち続けてくれれば、もうそれでいいや。

まとめ

サンバースさえよければすべてよし。ヴィーガン・アイスクリームの暗喩は最高……と言って済ませたいところですが、ガーディアンのストーリーラインは本当にうっとうしいので、早いとこ何とかしてほしいです。今後も彼をスーパーガールと共に戦わせるのであれば、せめてあの増上慢の鼻をどこかで一度へし折ってくれないと、あたしゃ納得しませんよ。ヒーロー志望のキャラならモン=エルがいれば済むし、実力と自己イメージがまるで釣り合っていないガーディアンにこれ以上でかい顔をさせる必要はないでしょ、もう。

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