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石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

しょぼい嫁姑バトル―ドラマ『スーパーガール』2x17感想

Supergirl 2018 Calendar

メインプロット見るのがますますつらい……

地球から連れ去られそうになったモン=エルが救出される回。スーパーヒーローのドラマのはずだったカーラの物語が、今やただの「ダメ男をめぐる、しょぼい嫁姑流血バトル」と化してしまっています。サンバースのストーリーとの落差が痛々しいです。

これっていったい何の番組だったっけ?

今回のエピソードでは、可愛いモン=エル(クリス・ウッド)が故郷のダクサム星に帰りたがらないのはカーラ/スーパーガール(メリッサ・ブノワ)に毒されたからだと考えたモン=エルの母が、自らクリプトナイトの短剣をふるってカーラの命を狙います。その上、直接攻撃以外の策も弄して、ひたすらカーラを亡き者にせんと暗躍。クリプトナイトやらモン=エルへの気持ちやらで力を削がれたカーラの動きは精彩に欠け、以前のリアクトロン戦やアストラ戦で見られたような迫力やはどこにもありません。見ていてだんだん虚しくなってきましたよあたしゃ。女性のスーパーヒーローが戦うドラマを見ていたはずなのに、なぜこんな2DKの台所の隅で文化包丁片手にもみ合う嫁と姑みたいなものを見せられなければならないんでしょうか。

しかもこのふたりの争いの焦点が、もはや一部で「ピザの上のパイナップル」とまで呼ばれつつあるぐらいコントロヴァーシャルな自己中キャラのモン=エルですからね。こんな男に拘泥し続けているだけでカーラの格が下がるというもの、熨斗つけてさっさとエクスプレス便で送り返しちゃえばいいのに、ダクサムに。

思えばモン=エルのプロットの最大の問題点は、バレンタインデーのエピソード(S2E13)での女性のモノ扱いに関する発言以降、彼の名誉は下がる一方なのに、にもかかわらずヒロインのラブ・インタレストの座にまつりあげられ続けていることだと思います。実際のところ、彼は単なるモノ扱いよりさらに非道なことをして、それを隠していたと後に(S2E16)判明するわけですが、それに対するつぐないは特になく、「(嘘で過去を糊塗して)ただのモン=エルとして生きていたかった」と泣き言を言ったり、「罪悪感を持っている」と口で言ったりしているだけ。これじゃどう見ても甘やかされ切ったフラット・ボーイそのもので、そんな男にカーラがのぼせ上っている(しかもあんな鬼母から守ってやりさえして)という構図は、ロマンスというより不穏な依存関係にしか見えません。なんでこんなことになっちゃったんでしょう。今からじゃもう手遅れかもしれないけど、もう少しいい男に描いてやってよ、モン=エルを。

白状すると最近、以前はあれだけ心躍った『スーパーガール』のオープニングのナレーション冒頭部を聴くだけで「ああ、またあのぐだぐだなモン=エルのストーリーを見なきゃいけないのか」と憂鬱な気持ちになるんですよ、あたし。一時は「フェミニストのスーパーヒーロー」だともてはやされたスーパーガールも、だいぶ方向性が変わってしまったものだと思います。結局この物語におけるフェミニストのスーパーヒーローとはカーラではなく、(シーズン2で消えた)キャット・グラント(キャリスタ・フロックハート)だったのだなあ。あの毒舌と名言が懐かしいわ、帰ってきてよキャット。

サンバースネタは小粒なれど堅調

アレックス(カイラー・リー)とマギー(フロリアナ・リマ)のレズビアンカップル、通称サンバースのサブストーリーは今回もそこそこ堅調。おおまかな流れは、ふたりで仲良くヨガ教室に通うという大変レズビアンっぽい出だしから、マギーの元カノをめぐるトラブルを経て、最終的にふたりの愛と結束がさらに強くなるというものです。元彼女の登場ということで、嫉妬や三角関係が絡んだ安っぽい展開に陥るのではないかと一瞬警戒したのですが、あまりにも違う方向できれいに話が収束していって、むしろ拍子抜けするぐらいでした。ふたりの間のケミストリーも相変わらずいい感じ。

ただねえ、このふたりがラブラブ状態でめでたしめでたしとなった後、「さあここまでは前菜、ここからがメインディッシュです!」的にカーラとモン=エルのいちゃいちゃシーンがトリに出てくるのがどうにも解せないんですよねえ。この番組のロマンスのメインは、むしろサンバースでしょ。

まとめ

先日の2017年GLAAD賞授賞式のレッドカーペットで、メディアでのLGBTQのポジティブな表現がなぜ大切なのかについて、カイラー・リーが熱く語っていましてね。

ここでのカイラーの、「健康的なレズビアンの恋愛関係はメディアではなかなか見られない」「まるでレズビアンは豊かなすばらしい関係を作れないと言われているかのようだ」という指摘は、まったく正しいと思います。が、ここ数回の『スーパーガール』を見るに、この番組ってレズビアンの豊かですばらしい関係こそ描けていても、なぜかヘテロのそれは描けていない(または、そもそも描く気がない?)ような気がします。あまりの落差に見ていてお尻の座りが悪くなるので、できればカーラとモン=エルのロマンスにももう少し説得力や繊細さを加えてやってくれないものかと思うんですけど、無理なのかしら?

おまけ

上記レッドカーペットでのサンバースの、ファンへのあいさつ(と、投げキス)はこちら。

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