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石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャー。

ようこそテリー・ハッチャー……―ドラマ『スーパーガール』2x16感想

ドラマ 百合/レズビアン

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モン=エルの正体(と過去の屑っぷり)、ついに露見

カーラがついにモン=エルの正体を知る回。とある星の王妃役で登場するテリー・ハッチャーと、一瞬だけ出てくるアレックス&マギーのアットホームないちゃいちゃシーンが良かったです。それ以外はぐだぐだ、特にモン=エルのストーリーラインが超ぐだぐだ。

おかえりなさい、ロイス・レイン

前から伏線的に少しずつ出てきていたテリー・ハッチャーが、今回ついにとある星の王妃として地球に降臨。テリー・ハッチャーと言えば『デスパレートな妻たち』のスーザン役が有名ですが、それより何より、90年代のTVシリーズ『新スーパーマン』(Lois & Clark: The New Adventures of Superman)でロイス・レイン役をつとめた女優さんだということを忘れてはなりません。『スーパーガール』はこれまでにも、『新スーパーマン』でクラーク・ケント役だったディーン・ケインをカーラの父親役に、そして80年代の映画『スーパーガール』でスーパーガール役だったヘレン・スレイターをカーラの母親役に当てるなど心憎いキャスティングをしてきていますが、今回のテリー・ハッチャーの起用も大成功だったと思います。

この王妃はある種のヴィランの役回りなのですが、単純に彼女の個人的性格が邪悪だったりねじくれていたりするというわけではありません。基本的に彼女は、時代と場所によっては地球でも主流派となる価値観を持っているだけ。そのことがよく伝わってくる演技だったと思いますし、初めて彼女を見るちびっこ視聴者たちにも、美しく威厳ある(そして怖い)クイーンとして映ったのでは。そうそう、衣装はこんなです。

なお今回のエピソードでは、2016年の米大統領選キャンペーンでさんざん聞かされた某キャッチフレーズをこの王妃様の台詞ごしに皮肉る箇所があり、ベタではあるけど楽しかったです。シーズン中のどこかでやるんじゃないかとは思ってましたが、ここだったんですね。

まばたき禁止、一瞬のサンバース(アレックスとマギーのカップル)

「下着姿のアレックス(カイラー・リー)とマギー(フロリアナ・リマ)が、家のカウチで仲良くくっついてうたた寝している」というすばらしいシチュエーションが序盤に出てきます。マギーはアレックスのお腹に頭を載せていて、どうやらふたりで映画か何か見ている間に寝入ってしまったという設定の模様。でも、正味4秒ぐらいしかないんですよ、このカット。あれこれメモをとりながら小さなタブレットで視聴していたあたしは完璧にこの場面を見逃し、2度目の鑑賞でようやく確認することができました。これからご覧になる方は、くれぐれもご注意を。S2E16でいちばんいいシーンはこれですからね!

冴えわたるモン=エルの屑っぷり

今回のエピソードは、上記のテリー・ハッチャーとサンバース以外の部分はほとんど我慢大会の体をなしています。というのは、基本的にモン=エル(クリス・ウッド)が主体の話であり、しかも彼の屑っぷりがこれまでのエピソードの比ではないからです。あれ見てるだけでストレス過多のあまりノルアドレナリンが分泌されまくって瞳孔が開いちゃうよ。なんであんなのがヒロインのお相手役なんだよ。

フラッシュバックで明かされる過去のモン=エルの姿も、現在の地球の恋愛関係についての『リサーチ』結果を得々として発表する彼の姿も、そして口をとんがらかして自己正当化する姿も、傲慢・身勝手・無責任のお手本のようです。ちなみに、彼が何らかの具体的行動でこれまでの愚行の責任をとったり罪をつぐなったりするような展開は特になし。彼のしていることと言えば、責任から逃れることと、相も変わらずお得意のしおらしげな顔を作って口先でペラペラとカーラに謝って見せることだけです。本当になんでこんなのがヒロインの(略)

モン=エルが目をうるうるさせて「ボクちんダメな奴だけど君さえいれば変われるの、だから捨てないで(大意)」という長口舌を披露しながらカーラ(メリッサ・ブノワ)ににじり寄るクローズアップショットなど、ラブロマンスというよりほとんどホラーにしか見えませんでした。アルコール依存症患者やDV加害者が共依存の相手を操作しようとするときの手口にそっくりですよ、あれ。それでも今回はカーラが一瞬だけ正気にかえってまともな選択をする場面もあるのですが、今後またすぐ元の状態に戻るであろうことを示唆する描写もあり、がっくりしました。こんなトキシックな関係がなぜここまでロマンティサイズされ続けなければならないのか、さっぱり理解できません。

知ってました? スーパーガールって、バットウーマンやワンダーウーマンと一緒に、"MY FIRST BOOK OF GIRL POWER"という幼児向けのガールパワーの絵本にも出ているキャラクタなんですよ。

DC SUPER HEROES: MY FIRST BOOK OF GIRL POWER

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なのに、ドラマ版シーズン2後半のカーラ/スーパーガールときたら、ガールパワーのガの字もなし。もうこの絵本の次の版からはスーパーガールを外して、代わりにサンバースを入れるべきではないかと。

ちなみにエンターテインメント・トゥナイトの独占インタビューで「あなたはキャラメル("Karamel"、カーラとモン=エルのカップルのこと)の恋愛関係のファンですか」と聞かれたメリッサ・ブノワは、イエスとは即答せずにこんな風に答えていました。

いや……ええと、えー……あの、わたしは「カーラが幸せであること」のファンですね。

"I don't...I...I...you know what, I'm a fan of Kara being happy."

意味深だと思うんですよね、この回答。

まとめ

とりあえずテリー・ハッチャーの王妃姿とサンバースのいちゃいちゃを存分に楽しんだら、あとは薄目で流し見するぐらいでちょうどいい回でした。あ、ウィン(ジェレミー・ジョーダン)とライラ(タムジン・マーチャント)のサブストーリーは悪くなかったので、そこは目を開けていても大丈夫。シーズン2の後半はただでさえ迷走気味でしたが、フィナーレまでのあと5話で果たして「カーラが幸せであること」が描けるのか、大変疑問に思っています。

余談

このS2E16は『フラッシュ』とのクロスオーバーでのミュージカルエピソードのとっかかりとなる回ですが、こちらでは歌う場面は出て来ません。ミュージカルのシーンが見たければ、この続きとなる『フラッシュ』のS3E17(本国3月21日放映分)だけ見た方が早いです。トレイラーはこちら。

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