石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

軽妙なバレンタインデー・エピソード―ドラマ『スーパーガール』02x13感想

Supergirl Vol. 1: Reign of the Cyborg Supermen (Rebirth)

テンポがよくて見どころたくさん

バレンタインエピソード。前回のあのモタモタ感はどこへやら、テンポがよくてスリルも笑いどころもある、よくまとまった話でした。狂言回しのゲストキャラが醸し出す祝祭感が楽しいし、マギーの殺し文句もウィルの遅い春も、モン=エルの子犬っぷりもいいよ!

ほどよいドタバタ感とまとまり感

今回のあらすじは、五次元から現れた素っ頓狂な新キャラ、ミクシズペトリック*1(ピーター・ガディオット)がカーラ(メリッサ・ブノワ)に求婚し、物体を瞬間移動させる特殊能力で大騒ぎを起こすというもの。全体のトーンはディズニーのドタバタコメディーまたは『うる星やつら』風で、バレンタインデーというお祭り騒ぎによく合うにぎやかな話だったと思います。何より肝心なのは、話のつじつまが合っていたこと。前回や前々回みたいに、深刻な状況でキャラが呑気に別の話を始めたりしないの。細かい伏線も、小気味よく回収されてくの。現代の世相に合った話題もさりげなく織り込まれていましたし、アクションにも迫力があり、たぶんここ数話の中でもっともよくまとまっていた回だと思います。

今週のサンバース(アレックスとマギーの百合カップル)

今回のサンバースのプロットは、バレンタインデー嫌いのマギー(フロリアナ・リマ)とこの日をロマンチックに祝いたいアレックス(カイラー・リー)の間で喧嘩が起こり、最終的に仲直りをするというもの。大筋はベタと言えばベタですが、細かい部分がいちいち気が利いていて、最後まで楽しく見ることができました。

マギーの「あんな作り物のホリデーなんて!」というありがちな憎まれ口の陰にある過去は、世界中の多くの古傷持ちのレズビアン視聴者たちの紅涙を絞ったはず。そして、アレックスがたとえ陳腐でも恋人とバレンタインデーを祝いたいと願う理由も同様。結局、レズビアンだとどうしてもティーンエイジャー時代を異性愛規範によって叩き潰されてしまいがちで、その余波がマギーとアレックスとでそれぞれ違う方向に現れていたというだけのことなんですよね。だから最後にマギーが仲直りのために用意したシチュエーションには深く納得させられましたし、そこでの殺し文句の連発にはハートを撃ち抜かれすぎて死ぬかと思いました。ほか、アレックスの挙げるマギーの好きなもの4点など、キャラの新たな側面を積極的に見せていく部分もナイス。

唯一の不満は、サンバースが中心の回だと事前に宣伝されていたわりに、彼女たちの登場シーンが全部で5分にも満たなかったということです。エピソードの口火を切るのもトリを飾るのも結局カーラとモン=エル(クリス・ウッド)のヘテロロマンスでしたし、これではサンバースをダシにしてヘテロセントリックな話の視聴率を吊り上げようとしたようにしか見えません。サンバースの人気(実際、放映日には#Sanvers#HAPPY SANVERS VALENTINEがTwitterでトレンド入りしていたようです)にあやかりたいのはわかりますが、CWはもう少し広報の仕方を考え直した方がいいのでは。

ウィルにようやく春が!!

新キャラの異星人・ライラ(タムジン・マーチャント)が強くて個性豊かでいいなと思ったら、どうやら彼女はウィル(ジェレミー・ジョーダン)の新たな恋の相手になる模様。ウィルのライラへの接し方は、前回(S2E12)描かれたメタロ(フレデリック・シュミット)の排外主義と好対照をなしており、今後このテーマでもウィルの出番が多くなるのではないかと期待しています。ウィルのかっこよさはこういうところで描けばいいと思うんだよね、ガーディアンが誰かを殴ったり蹴ったりするのを手伝わせるんじゃなくて。

モン=エル、ふたたび犬化

ろくな葛藤もないままわざとらしい足踏み状態を延々続けていたカーラとモン=エルの恋が、今回ようやく(本当にようやく!)大きく前進しています。たぶん、バレンタインデー・エピソードでこの展開を描くという決定事項が先にあって、その帳尻合わせのためにこうも長きにわたって2人をモタモタさせてきたのでしょうね。

実は先週から「カーラに惚れられていると気付いたモン=エルが自信満々な俺様キャラになりやがったりしたらどうしよう」とひそかに危惧していたのですが、とりあえず今のところ彼はファンの間で「銀河の子犬ちゃん("galaxy puppy")」と呼ばれるあの善良キャラのイメージをそこそこ保ち続けています。そんなわけで、これまでの説得力のなさすぎる牛歩展開こそ残念ではあったものの、今回の「帳尻合わせ」自体はそこそこうまく作ってあったと感じました。(ただ、モン=エルの過去のダクサム星でのふるまいに関する発言には正直いただけないものがあるので、そのあたりに今後何らかのフォローアップが必要になってきそうな気はします)

まとめ

ホリデー・エピソードらしいにぎやかな雰囲気の中、久々にほころびのないシナリオが楽しめ、サンバースのラブラブっぷりも(時間は短かったけれど)見られて満足。カーラとモン=エルの冗漫なヘテロロマンスにようやく一区切りついたのもありがたいところ。でも、レズビアン要素で視聴者を釣っておいて男女の恋愛模様を延々見せつけるのはこれきりにしてくださいよCW。同じ異性愛なら、今後はカラメル(カーラとモン=エルのカップルのこと)よりウィルとライラのストーリーラインを掘り下げて欲しいわ。こっちの恋には試練も葛藤もあり、より多くの人にとってrelatableなものになりそうですから。

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*1:綴りは"Mxyzptlk"。カタカナ表記は他の書き方もいろいろありうると思います。