石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

今週の未紹介LGBTニュース(2018年6月3日)

Transgender Pride Flag多目的スカーフ、ショール、ラップ、テーブルクロス

ジェンダークィアの生徒、反LGBTQな教育長官をトランス・プライドのマントでお出迎え

Student wears transgender flag for Betsy DeVos visit | MLive.com

第11代アメリカ合衆国教育長官ベッツィ・デヴォス(Betsy DeVos)はアンチLGBTQな人。「神の王国を進歩させる」ために公立教育を利用すると話しており、同性婚を覆そうとしている団体や、同性カップルの養子縁組に反対している基金に寄付していることでも知られています。オバマ政権が作った、トランスジェンダーの生徒を守るためのガイダンスを廃止したのもこの人。

そのベッツィ・デヴォスが自分の通うグランド・ラピッズ・パブリック・ミュージアム・スクール(Grand Rapids Public Museum School)を訪問すると知り、ジェンダークィア(性別二元論にあてはまらない性自認を持つ人)の8年生のTorin Hodgmanさん(14)は特別なマントを身に着けて出迎えることにしました。トランス・プライドの旗を改造して作ったマントです。

Hodgmanさんはこのマントを作っただけでなく、「教育長官はLGBT生徒や性自認についてクエスチョニングな生徒たちにとって学校が安全な学びの場であることを保証するため、何をしていますか」という質問も用意していたのだそうですが、それを問う機会はなかったとのこと。でもすごいよ、この行動力。尊敬する。

『クィア・アイ』のAJ・ブラウンが彼氏と結婚

Queer Eye’s AJ has married his long-term boyfriend · PinkNews

Netflixのリブート版『クィア・アイ』S1第4話「ゲイらしく生きるか生きないか」で変身したゲイ男性AJ・ブラウン(AJ Brown)さんが、番組にも登場していたボーイフレンドのAndre(アンドレ)さんと結婚したというニュース。

クィア・アイ公式Twitterでもふたりの写真が紹介されています。

おめでとうございます。しかしこの番組、ついこないだにもS1E1のトム・ジャクソン(Tom Jackson)さんが結婚したばかりよね? すごいな成婚率。

MNEK、多様性を祝うMV“Colour”(ft. Hailee Steinfeld)をリリース

MNEK's 'Colour' Featuring Hailee Steinfeld is Here to Light Up Pride Month: WATCH - Towleroad

英国のシンガーソングライター、MNEKが、文字通りカラフルでステキなミュージックビデオ“Colour”(ft. Hailee Steinfeld)をリリースしました。1番で男性同士の、2番で女性同士のカップルが出てきます。


トランプの演説を聞くだけで白人はよりレイシストになる(米研究)

Yes, Donald Trump Is Making White People More Hateful | The Nation

マサチューセッツ大学アマースト校のブライアン・F・シャフナー(Brian F. Schaffner)氏の研究(Follow the Racist?The Consequences of Expressions of Elite Prejudice forMass Rhetoric)により、白人はトランプ大統領の差別的な発言に接すると、ラテン系や黒人やイスラム教徒などについてネガティブな見解を披露する傾向が強まるという結果が得られたそうです。この「トランプ効果」は、クリントン支持者にも見られたとのこと。

以下、シャフナー氏の見解です。

いくつかの心理学の研究で、人は他者集団について話すよう求められたとき、仲間の行動をまねる傾向があるということが示されています。人間は何らかの集団について誰かが侮辱的なことを言うのを耳にすると、自分で自分にこういうんです。「ああ、私がこれを言ってもいいんだ、この人がこれを言ったんだからOKに違いない」。ここではこれと同じようなことが起こっているのだと思います。

There have been several psychological studies showing that people tend to take cues from their peers when they’re asked to talk about other groups. When they hear somebody saying something offensive about some group, then they basically say to themselves, ‘Oh, I can say that because this other person said it, so it must be OK.’ And I think something similar is going on here.

これって多分、トランプが大統領選で勝った直後にヘイト事件が増加したことにも関係しているのでは。詳しくは以下リンク先をどうぞ。

トランプ勝利後10日間で約900件のヘイト事件が勃発 - 石壁に百合の花咲く

ヘイトスピーチに対してNOを言わなければならないのは、この「ああ、私がこれを言ってもいいんだ」という心理から侮辱や攻撃の連鎖・拡大が起こるのを食い止める必要があるからだと思います。日本にとっても全然対岸の火事じゃないよこれは。

バイセクシュアル女性がパートナーから虐待される率はヘテロ女性の約2倍

Bisexual women are twice as likely to be abused by their partner

イギリス国家統計局の、イングランドとウェールズの16歳から59歳の女性を対象とした調査(報告書はこちら:Women most at risk of experiencing partner abuse in England and Wales - Office for National Statistics)により、バイセクシュアル女性はヘテロ女性の約2倍、パートナーから虐待を受けているという結果が得られたそうです。この調査によれば、バイセクシュアル女性の10.9%が過去12か月の間にパートナーからなんらかの虐待を受けていたのに対し、ヘテロ女性では6.0%だったとのこと。もっとひどいのがパートナーから性的暴行を受けた人の割合で、バイセクシュアル女性のそれはヘテロ女性の約5倍だったそうです(前者が1.9%、後者は0.4%)。なぜこんなことが?

香港、シビルパートナーシップの権利を認めず

Hong Kong Court Overturns Civil Partnership Rights | NewNowNext

ニュージーランドで2014年に同性婚した香港の公務員、Angus Leung Chun-kwongさんが、パートナーのScott Paul Adamsさんに配偶者としてのベネフィットが認められないのは不当であるとして起こしていた裁判で敗れたというニュース。

香港って2017年に同性パートナーにも「配偶者ビザ」を認めたばかりなのに、一歩進んでまた一歩下がっちゃったんでしょうか。

Angus Leung Chun-kwongさんは抗告し、「自分たちは特別扱いを求めているのではなく、単にフェアに、尊厳をもって生きたいと思っているだけ」だと声明を出しているそうです。