石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

新たな「ストレート・プライド」企画が勃発 米カリフォルニア州

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米国マサチューセッツ州ボストンで開催予定の「ストレート・プライド」(異性愛者のプライド)が論議を呼ぶ中、カリフォルニア州でも別個のグループが「ストレート・プライド」の開催許可を求めているそうです。

詳細は以下。

www.latimes.com

このグループ、「全国ストレート・プライド連合("National Straight Pride Coalition")」は、カリフォルニア州モデストで2019年8月24日に「ストレート・プライド」を開く許可を申請しているとのこと。以下、LA Timesより引用。

「私たちはたくさんのことを奨励しています。つまり、異性愛、男らしさ、女らしさ、赤ちゃん、中でも特に生まれてこなかった赤ちゃん、男性と女性と子供で構成された核家族、我が国を偉大にするすべてのものを奨励しています」と、主催者のダン・グランドマンは話している。彼はサン・レアンドロのカイロプラクター兼ハーブセラピストで、これまでに少なくとも連邦上院選で5回落選している。

“We’re promoting many different things: heterosexuality, masculinity, femininity, babies, born and especially unborn, the nuclear family of men, women and children — everything that made our country great,” said organizer Don Grundmann, a San Leandro-based chiropractor and herbalist with at least five unsuccessful U.S. Senate runs under his belt.

なおLA Timesによると、グランドマン氏の主義には上記のほか、米国国税庁と連邦準備制度と米国教育省の廃止、連邦所得税の廃止、子供へのワクチン投与の禁止などがあるとのこと。ということは、早い話が氏のグループはキリスト教保守の価値観*1を「ストレート(異性愛者)の」プライドだということにして宣伝しようとしているってことなのでは。ちなみにグランドマン氏、こんな発言もしているのだそうです。

「米国全土にわたしたちのメッセージを広げたいと思っています。特に今は2020年の選挙を控えた時期ですから」

“We’re looking to spread our message across the country, especially in time for the 2020 election cycle,” he said.

なるほど、とにかくトランプのメイクアメリカグレイトアゲインが「ストレート(異性愛者)の」主張だってことになってるんですね、この人の中では。

LGBTプライド・イベントが「誰かの権利を奪う(あるいは抑圧する)」ことを目的として開催されたことは一度もありません。逆にシスヘテロの人々に向かって、「あなた以外の人が平等な権利を持つということは、あなたの権利が減らされるってことじゃない。権利はパイじゃない」などと訴えてきたのがLGBTイベント。でも、このカリフォルニア州のストレート・プライドが、果たして非ヘテロや女性や子供や「男・女・子供」の組み合わせで家族を作らない人々等々の権利を制限せよという主張なしに開催できるものかどうかは疑わしいと自分は思います。ひょっとしたら、ここで先ほどのパイのたとえを流用して「LGBTピープル以外が『プライド・イベント』を開催する権利を持つということは、LGBTピープルの権利が減らされるっていうことじゃない」と唱えたくなる人もいるかもしれません。でも、「ストレート・プライド」の主張が中絶禁止や、宗教の自由回復法の促進や、宗教的な理由による予防接種拒否の促進だったりした場合、それは即座に人々の権利を、そして生命や安全をただちにおびやかすことになるんです。パイのたとえをそのまま当てはめられる話じゃないと思うんですよ、これ。

*1:ワクチンと宗教との関係については、このあたりが参考になるかと:Religion and vaccine refusal are linked. We have to talk about it. - Vox