Netflixが米ボストンのストレート・プライドの「スポンサー候補リスト」に勝手に入れられ、直ちに取り下げなければ法的に訴えると主催者らに通告しました。ストレート・プライドの主催者グループは、「Netflixはヘテロフォビック」と主張しているとのこと。
詳細は以下。
このストレート・プライド(『異性愛者のプライド』)のイベントは2019年8月31日に米国マサチューセッツ州ボストンで開催されることになっています。主催者の「スーパー・ハッピー・ファン・アメリカ(Super Happy Fun America)」という団体は、男性メンバーだけで構成されていて、極右や白人ナショナリスト団体とつながりがあると指摘されているところ。彼らによれば、異性愛者は米国で「もっとも残酷に抑圧されている」コミュニティで、だからプライド・パレードが必要なんだそうです。このボストンのストレート・プライドにはこれまで多くの人から批判が寄せられており、日本語記事なら以下あたりがわかりやすいかと思います。
さて、この「スーパー・ハッピー・ファン・アメリカ」からスポンサー候補扱いされたNetflixは、同イベントに関するあらゆるマテリアルから「直ちに」Netflixのロゴを取り除かなければ法的に訴えるとする書面を送付したとのこと。文面の一部はこんなだそうです。
「わたしたちは弱い者いじめをする人たちを恐れたりしません。当社の法務部はここにいて(here)、クィア(queer)で、あなたがたに対し、関わるな(steer clear)と言っています」
«You should know that we’re unafraid of bullies. Our legal department is here, it’s queer, and it’s telling you to steer clear»
手紙の全文と、それに対する「スーパー・ハッピー・ファン・アメリカ」の見解は以下で読めます。
“Super Happy Fun America” - the organizers of the Boston “Straight Pride Parade” have apparently received a cease and desist letter from Netflix over apparently claiming that Netflix supports them.
— Ford Fischer (@FordFischer) 2019年7月17日
The group says Netflix “is a heterophobic company steeped in hatred and bigotry.” pic.twitter.com/eIIsoTsBBd
Netflixが(1)主催者らがあたかもNetflixがこのイベントに関与しているかのような誤情報を広めていること、(2)ロゴの無断使用でNetflixの知的財産権を侵害していることなどを問題視しているのに対し、「スーパー・ハッピー・ファン・アメリカ」の言い分ときたら、
- 「Netflixは憎悪と偏見に足を踏み入れたヘテロフォビックな企業」
- 「Netflixは周縁に追いやられた人々を権力で脅すことに何の良心の呵責も感じていない」
などなど。話が噛み合ってないこと、この上なし。だいたいあれだけ多様性推しのNetflixのロゴをこういうイベントの宣伝目的で勝手に使って怒られないとか、その上なぜかスポンサーにまでなってもらえるとか思っていたのだとしたら、それこそが彼らの特権由来の鈍感さを示していると思うんですけど、言っても無駄なんでしょうねきっと……。
ちなみに、既にNetflix以外にもいくつかの企業がスポンサー候補を断ってはいるんですよ。でもストレート・プライド主催者らの見解を見てみたら、「ステート・ストリート(信託銀行)は礼儀正しく我々の申し出を断った。来年は考え直してくれるかも!」などと書かれていて、ああやっぱりなぜ断られたかについてはひとつもわかっていないのねと思いました。Netflixがガツンと断ったのは正しかったと思うわ。こんなのに懐かれたらあとあと大変だわ。