石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

ゲイカップル襲われ1人死亡 メキシコ・プエブラ州

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2021年7月26日、メキシコ中南部のプエブラ州でゲイカップルが暴力をふるわれ、1人が死亡するという事件が起こりました。動機は物盗りでも喧嘩でもなく、ゲイに対するヘイトだったとみられています。

詳細は以下。

elclosetlgbt.com

亡くなったパトリシオ・B(Patricio «B»)さんと、彼のボーイフレンドのゴンサロ・P(Gonzalo «P»)さんは、どちらかの家を出たところを何者かに襲われたらしいとのこと。警察は地域住民からの「サカポアストラ(Zacapoaxtla)通りとアテシンゴ(Atencingo)通りの交差点に死体が2体ある」という通報を受けて現場を訪れ、被害者ふたりの体の切り傷や殴打痕に気づいて救急要請したのですが、救急車が来た時点でゴンサロさんは亡くなっていたそうです。パトリシオさんは病院に運ばれて、治療を受けています。

Diario Cambioによると、この事件は当初「強盗」「けんか」などとして報道されていたとの由。しかし、真相が明らかになるにつれ、攻撃の動機は被害者らがカップルであったことだと判明したのだそうです。加害者グループはふたりが通りに出てきたのを見かけて嫌がらせを始め、それから身体的暴力に及んだのだそうで、つまりは憎悪犯罪だったと。

なお市民団体によればプエブラでは性的少数者に対する暴行事件が月平均20件発生しており、しかも検察庁の動きが遅くて、犯人が見つかってもなかなか起訴されたり刑務所に送られたりはしていないのだそうです。アクティヴィストらはプエブラの繁華街で正義を求めるデモを行い、捜査の遅れを理由に、検察庁犯罪捜査専門ユニット(la Unidad Especializada de Investigación de Delitos de la Fiscalía)のマルガリータ・アギラル・バスケス(Margarita Aguilar Vázquez)所長の解任を要求したとのこと。

プエブラって「プエブラの戦い」のあった場所だという認識しかなかったけど、そんな恐ろしいところなのかと思ってちょっと調べてみたら、まあ出てくる出てくる。

そんな事件がざっくざく。でもまあ、日本にいたって「女だから」というだけの理由で理不尽に殺されちゃうチームにいる自分としては、プエブラ/メキシコ/LGBT(メキシコ風に表記するならLGBTTTI+)嫌悪『だけ』が怖いとか危険だとかは微塵も思いませんけどね。危険なのは「〇〇(←ここにマイノリティ属性を入れる)は殺してもいい」とか、「マジョリティが加害に走るのは〇〇(←ここにマイノリティ属性を入れる)に落ち度があるからだ」とか、「殺されるのが嫌なら、〇〇(←ここにマイノリティ属性を入れる)はもっとああすべき、こうすべき」とか、そういうことをツルっと言ったり書いたり信じたりしちゃうことと、それを野放しにしちゃうことであって、それはどこの地にもドクダミなみの繁殖力でのさばってると思うんだよね。ちょうど最近読んだ以下の本にそういうテーマがあって、すさまじいまでの恐ろしさと面白さだったので、スペイン語か英語が読める人はぜひどうぞ。(邦訳は出てないと思います)