石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。

今週の未紹介LGBTニュース(2018年1月14日)

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広辞苑が「LGBT」など新収録するも定義がヘン

広辞苑にLGBTが登場。しかし、内容がおかしい。 - wezzy|ウェジー

広辞苑第7版で新たに収録された「LGBT」の項目で、トランスジェンダーの人々までが「多数派とは異なる性的指向を持つ人々」と説明されてしまっていると指摘されています。10年ぶりの改訂で性自認と性的指向の区別もつかない誤情報を載せるだなんて、ひどすぎ。恋についての記述も相変わらず異性愛中心とのことで、がっかりです。詳しくは上記リンク先をごらんになってください。

※追記:トランスの人々を「多数派とは異なる性的指向を持つ人々」とすることの何がどう問題なのかピンとこない方には、以下の入門書(レビューはこちら)がおすすめです。カーリル | 日本最大の図書館蔵書検索サイトを使えば、お近くの図書館にあるかどうかも簡単にわかります。

LGBTってなんだろう?--からだの性・こころの性・好きになる性

LGBTってなんだろう?--からだの性・こころの性・好きになる性

ヘイリー・キヨコ(Hayley Kiyoko)が新曲"Curious"のMV発表

Hayley Kiyoko Is Living Her Queer Teenage Dream

米国のシンガー・ソングライター、ヘイリー・キヨコが新曲発表。色っぽいミュージックビデオもいいし、クィアな曲を作ることについてBuzzFeedの記事で本人が語っていることも面白いです。以下、一部分だけ訳してみました。

「こないだ詩を書いてたら、あるライターに『その代名詞は使っちゃだめだよ、ほかの人が歌えなくなるから』とか言われて」と彼女は言う。「で、『悪いけど、わたしは生涯ずっとストレートの歌を歌いつづけてきてて、それで何も問題ないんだけど』って言ったの」

“I was in a writing session the other day, and a writer was like, 'Oh, you shouldn't use that pronoun because other people can't sing to it,’” she says. “And I was like, 'I'm sorry, I've been singing to straight songs my whole life, and I'm just fine.'”

「それが、わたしがメインストリームのポップ音楽で成功しようとしていることの本質なんです。ストレートの人に、『彼女』という代名詞のあるわたしの音楽を歌ってもらうこと」と彼女は言う。「かまうもんか、いい歌なら歌っちゃえ」

“That's the whole point of my trying to achieve success in mainstream pop — to have straight people sing to my music that has a ‘she’ pronoun in it,” she says. “Who cares? If it's a good song, sing to it.”

"Curious"は2018年1月13日から日本でも配信が始まっています。この曲が収録されているアルバム"Expectations"は、2018年3月30日発売予定。


『ル・ポールのドラァグ・レース』タイ版製作発表

Here's Your First Look At "RuPaul's Drag Race Thailand" | NewNowNext

仏カンヌの国際テレビ番組見本市「MIPCOM」で、KantanaGroup Public Co.LtdのバイスプレジデントPiyarat Kaljareuk氏が、リアリティ・コンペティション番組『ル・ポールのドラァグ・レース』のタイ版を製作すると発表しました。ポスターや会場の様子なども公開されています。


これも米国版同様Netflixでやってくれればいいのになー。無理かなー。

ゲイの米フィギュアスケーター、伝統のホワイトハウス訪問を断る

Gay US skater reveals White House fears - BBC News

冬季五輪に出場する初のオープンリー・ゲイの米国人男性選手となったフィギュアスケーターのアダム・リッポン(Adam Rippon)が、BBCの取材で、チームUSAのホワイトハウス訪問に参加する予定はないと発言しました。上記リンク先の動画で、彼はこんなことを言っています。

「ホワイトハウスに行くつもりはありませんよ。わたしのような人は歓迎されないでしょうから、行きません。ある部屋の中に入って行って、自分はそこにいてほしくないと思われていると感じるのがどんなものだか、わたしは知っています」

"I won't go to White House, and I won't go because I don't think somebody like me would be welcome there. I know what it's like to go into a room and feel like you're not wanted there."

「オリンピック選手としての発言の場を与えられている以上、正しいと思うことを弁護し、間違っていて不当だと思うことにははっきり反対することが本当に大切だと思います」

"Given this platform, you know, of being an Olympic athlete, I think it's really important that we stand up for what we believe in, and we speak out against things that we think are wrong and unjust."

アダム・リッポンはこんな人。冬季五輪、応援するわ!

Very stable genius 2018

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😈 On to the long program tomorrow! #uschamps18

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ビリー・ジーン・キングがマーガレット・コート・アリーナを改名すべきと表明

Billie Jean King calls for Margaret Court arena to be renamed · PinkNews

豪女子テニス選手が同性婚に反対し、トランスジェンダーを悪魔呼ばわり。ナブラチロワが真っ向批判 - 石壁に百合の花咲くの続報。マーガレット・コートの相次ぐホモフォビックな発言を受け、ビリー・ジーン・キング(Billie Jean King)が、コートにちなんで名づけられた「マーガレット・コート・アリーナ」を改名すべきだと言っているそうです。

「もし今わたしが現役選手だったなら、あそこではプレイしないことでしょう」と彼女は言った。「個人的には、もう彼女の名を冠するべきではないと思っています」

“If I were playing today, I would not play on it,” she said. “I personally don’t think she should have her name anymore.”

キングは公共の施設に名前を冠する人は寛容で、インクルーシヴで、だれでも歓迎する人であることが大切だと述べ、コートのホモフォビアには「心と魂を本当に深く傷つけられた」と言っているそうです。

マーガレット・コート(Margaret Court)は、オーストラリアの同性婚に関する議論で、何度もホモフォビック&トランスフォビックな意見を発表しています。レズビアンは若い子を誘惑しようとしているだとか、トランスジェンダーの人々は悪魔だとか言ったという話は先日紹介しましたが、そのほかにもこんなことを言っていたみたいです。

「彼ら(訳注:同性婚賛成派のこと)が結婚を欲しがるのは、結婚を破壊したいからです」

「これは結婚の問題ではないのです。キリスト教の学校に悪影響が出ます、言論の自由に悪影響が出ます」

「(同性婚を認めれば)母の日もなくなり、父の日もなくなり、イースターもなくなり、クリスマスもなくなります」

“They want marriage because they want to destroy it.

“It’s not about marriage. It will affect Christian schools, it will affect freedom of speech. “There will be no Mother’s Day, there will be no Father’s Day, there will be no Easter, there will be no Christmas.”

今のところ母の日も父の日もイースターもクリスマスもなくなってませんけどね、オーストラリア。

米裁判所、トランスの従業員をアウティングすることは言論の自由と認めず

Court denies car dealership's motion that outing trans employee was 'free speech'

米テキサス州オースティンの自動車ディーラー「ロジャー・ビーズリー・ミツビシ(Roger Beasley Mitsubishi)」の元従業員Bradley Rudkin氏が、性自認が原因でいやがらせを受けて予告なく解雇されたとして起こした訴訟で、アメリカ合衆国下級判事のAndrew W. Austin氏は、このディーラーがRudkin氏がトランスジェンダーであることをアウティングしたことは言論の自由に属さないとする判断を下しました。

ロジャー・ビーズリー・ミツビシは、Rudkin氏がトランスジェンダーであることは「社会に関係のある問題( a matter of 'public concern')」であるため、自分たちのしたことは言論の自由の範囲内にあるとして訴えを取り下げるよう求めていたのだそうです。しかしながら、判事はRudkin氏のプライバシーを侵害することは州法が規定する「社会に関係のある問題」には該当しないと述べたとのこと。

調べたところ、この「ロジャー・ビーズリー・ミツビシ(Roger Beasley Mitsubishi)」は、三菱自動車の米国の子会社ミツビシ・モーターズ・ノース・アメリカ・インク(MMNA)の正規ディーラーであるようです。三菱って90年代に北米工場でセクハラをはびこらせて3400万ドル払う羽目になった会社なんだけど、トランスに対するハラスメントはまだ野放しにしてたわけ?

『フレンズ』がNetflixに登場。90年代のホモフォビアやトランスジェンダーやミソジニーに視聴者がショックを受ける

Friends came to Netflix and everyone is shocked at the homophobia, transphobia and misogyny · PinkNews

1994年から2004年にわたって放映され、世界中で人気を博した米ドラマ『フレンズ』がNetflixで配信され、今の目で見るとあれこれ問題だと話題になっているというニュース。PinkNewsによれば、Twitterで以下のような声が上がっていたのだそうです。

  • (チャンドラーというキャラが、トランスジェンダーの親を『チャールズ』と男性名で呼び続けているとして)「なぜチャンドラーにお母さんがふたりいるのかが話に出てこない」「チャンドラーはホモフォーブでトランスフォーブなせいで、彼女を『父親』と呼び続けているの?」
  • (ロスというキャラがバービー人形で遊んでいた息子を叱り、男性ナニーがゲイだと考えたエピソードについて)「ロスは失礼でホモフォビックで問題が多くて大嫌い」
  • (シーズン8まで見た人の意見)「全員人間のくずで、ひどい友達。何よりもまず、この番組はずっと、ホモフォビックでミソジニスティックであることで笑いを取ってる」
  • (全般について)「実質的に『フレンズ』のエピソードはみんなホモフォビックなジョークを売りにしてる、90年代は野蛮だったんだ」

ちょっと補足しておくと、チャンドラーの親はトランスジェンダーではなくドラァグまたはトランスヴェスタイトだという見方もあるし、『フレンズ』はあの時代にもう子供のいるレズビアンキャラを登場させるなどの先進的な取り組みをしたことが評価されているドラマでもあるんですよ。ただ、それでもなお約20年後の感覚で思い出補正なしに見ると、あちこちひっかかるところがあるということなんだと思います。早い話が、田宮二郎版の『白い巨塔』(1978)を今見るとあまりにもインフォームド・コンセントがなさすぎて怖く感じられるのと同じことなんじゃないですかね、これって。

アルコールは暴力的ヘイトクライムの重大な要因(英研究)

Alcohol is a massive factor in violent homophobic attacks, study finds · PinkNews

カーディフ大学の研究者らが、Criminal Behaviour and Mental Health誌に発表した‘Injury resulting from targeted violence: An emergency department perspective’という論文で、ホモフォビックな暴力とアルコールの間には密接なつながりがあると述べたというニュース。

この研究によると、英国で救急治療を求めた124人のうち偏見によるヘイトクライムに遭ったと述べている人は18.5%で、そのうち90%が、アルコールが攻撃の要因になっていたと話したのだそうです。偏見にもとづく暴力を受けた被害者らの発言によれば、酒を飲んでいなかった加害者はわずか2人で、あとはみな酒の影響下にあったとのこと。同大学のジョナサン・シェパード(Jonathan Shepherd)教授は、酒に酔うことが人種偏見やホモフォビックな偏見に火をつける役割を果たしている可能性があると述べているそうです。

酒は理性をつかさどる大脳新皮質を麻痺させるから、こうなるのも当然といえば当然かも。夜な夜なSNSで差別的な暴言を書き込んでいる人の何割かも、実は酔っぱらってるんじゃないかとあたしは思ってます。

「プロジェクト22」のカップルのひとりが末期がん公表

Lesbian Couple With Plan To Marry In 24 Countries Gets Heartbreaking Diagnosis | NewNowNext

欧州の同性カップル、世界中の同性婚可能国全部で結婚するプロジェクトを計画 - 今週の未紹介LGBTニュース(2017年8月27日) - 石壁に百合の花咲くの続報。このカップルのひとり、Julian P. Boomさんが末期がんの診断を受けたことが発表されました。以下、パートナーのFleur Pieretsさんの2017年12月16日のFacebookより。

わたしの美しい妻が、生涯の恋人が、死にかけています。一週間前、ジュリアンが食事がとれず倒れたため、フランスで医師の診察を受けました。いくつかのスキャン検査を受けた後、彼女の頭と心臓の周りにおびただしい数の腫瘍があるとわかりました。医師によれば、彼女がしゃべったり物を覚えていたりできるのはあと3か月で、それから昏睡状態に陥るそうです。

My beautiful wife, the love of my life is dying. A week ago we called the doctor in France because Julian couldn’t hold her food and had fainted. After running some scans, it turns out that she has numerous tumors in her head and around her heart. The doctors are giving her 3 more months in which she will lose her capacity to speak and to remember things, until she will slip into a coma.

翌日のFacebookポストによると、この発表に対し多くのすばらしいコメントやメールが寄せられたとのこと。もう自分では読めないBoomさんのため、Pieretsさんは彼女の意識があるときに読んで聞かせてあげているとのことです。

Grindrでゲイを狙って強盗していた男に懲役15年

Man Who Used Grindr To Rob And Assault Gay Men Gets 15 Years In Prison | NewNowNext

テキサス州ダラスで出会い系アプリのGrindrを使ってゲイをひっかけ、暴力的な手段で金品を奪っていたグループの一員が懲役15年の刑を言い渡されました。この男、ナイジェル・ガレット(Nigel Garrett, 21)らは3週間で4軒の家に入り込み、ホモフォビックな罵言を浴びせながら被害者らを縛り上げたり、暴行を加えたり、銃を突き付けたりして、強盗をはたらいていたとのこと。ガレット以外の3人にもすでに有罪判決が下されており、あとは刑期の確定を待つだけだそうです。

レイキャビクでホモフォビックな暴力 若い男性がけが

Young man assaulted for being gay - GayIceland

アイスランドのレイキャビクで2018年1月6日、ゲイ男性Úlfar Viktor Björnssonさんが見知らぬ男から路上で暴力をふるわれ、流血のけがを負ったというニュース。男はBjörnssonさんにおまえはゲイかと訊き、Björnssonさんがそうだと答えると顔面にパンチを食らわせて歩み去ったのだそうです。

上記リンク先で、アイスランドではホモフォビアはよくあることなのかという質問に対し、Björnssonさんはこう答えています。

「ホモフォビアは存在していますが、それは微妙で、あまり公然と目に見えるものではありません。だからあまりにもたくさんの人々が、2018年のアイスランドでそんなことが起こるはずはないと思っているのでしょう。わたしたちはこうしたことに関してはもっと進歩していて、その人が何者であるかが理由でぶちのめされたりしないということになっています。わたしたちは大きな進歩をとげてきましたが、それでも平等は実現されていません。残念ながら、平等を手に入れるためにはまだまだ長い道のりを進まなければなりません。人々は今もなお暴力をふるわれているのに、わたしたちはまだ、沈黙のうちに偏見の花を咲かしめる傍観者として行動しているのです」

“It exists, but it is often subtle and not overtly visible. That’s why so many people seem to believe that such things don’t occur in Iceland in the year 2018. We are supposed to be more advanced in these matters than for it to happen that people are struck down for being who they are. We have come a very long way but equality is still not a fact, and I’m sorry to say that we still have a long way to go to achieve that. People are still being assaulted and we are still acting as bystanders that let prejudice blossom in silence.”

「差別に抗議などせず黙って社会が変わるのを待て」とか言って抗議者の口を塞ごうとする人はどこにでもいるものだけれど、それを放っておくと「沈黙のうちに偏見の花を咲かしめる」ことになるというのもまた万国共通。黙らず先に進みましょう。