- 作者: 南房 秀久,島田フミカネ,上田梯子
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2010/06/30
- メディア: 文庫
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擬音語連発のキャラ萌え小説。視点のおっさん臭さも難
人気アニメ『ストライクウィッチーズ』のノベライゼーション第4巻。シリーズ最終巻で、「今回は完全オリジナルストーリー」とのこと。キャラ萌え小説としての色彩が強く、アニメ版を観ていないとついて行きにくい内容だと思います。擬音語連発で文体が子供っぽく感じられるわりに、性的なことに対するまなざしがおっさん臭いところも今ひとつ。
キャラ萌え主体で内容薄し
キャラクタたちは可愛らしいし、ほのぼのとした面白みがあることはあるのですが、あくまでも「キャラ萌え主体の二次創作」といった立ち位置の本だと思います。ひたすらキャラたちがキャッキャするのみで、ストーリーそのものは相当ぬるめなので、アニメ版で既にキャラたちの大ファンとなっている方以外にはおすすめしません。
やっぱり擬音語連発
今回も安直な擬音語がとても多いです。例を挙げます。
ガゴン!
ガッシャン!
ストライカーユニットを支えていたフックが外れると同時に、エンジンが点火。
ブワン、ブルルルルルルーッ!
張り詰める弦。
絞まる首。
やがて。
プチプチ!
ビ~ン!
窒息寸前。
まるで国語の成績のよろしくない小中学生が授業中にノートの片隅に書いた「自称・小説」のようです。おそらくこの小説の想定読者層がそのあたりだということなのでしょう。大人が読むにはあまり向かない文章だと思います。
視点がおっさん臭いです
間接キスがどうしたとか胸が当たってどうしたとかいう、「一応微百合っぽさを狙ったんだろうなー」的な場面もあることはあるんですよ。でも、全体的に、性的なことへの視点がおっさん臭いんですよこの1冊。水着とブラではサイズの概念が違うことすらわかっていなさそうなところ、女体というとおっぱいと尻にばかり執着しているところ、そしてジジイたちのセクハラ発言&セクハラ行為が何か面白おかしいこととして描写されているところなどが、どうしようもなくオヤジ臭いです。前述の通り文体は完全に子供向けなのに、内容はおっさんめいたコテコテ男性ジェンダー臭がただようというこのアンバランスさに、脳みそがついて行きませんでした。
まとめ
- アニメ版のファンで、
- キャラ萌え小説を探していて、
- オノマトペ多用の子供っぽい文体に耐えられ、
- おっさん臭い(=少しも少女たちの話っぽくない)微エロ描写も平気
と4拍子揃った方にしかおすすめできない1冊だと思います。ここまで男性ジェンダー臭が漂っていると、百合として読むのもちょっと無理だわー。以前にも書きましたが、『ストライクウィッチーズ』のノベライゼーションなら、ヤマグチノボル氏によるスオムスいらん子中隊シリーズの方がおすすめです。