石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

テネシー州のヘテロ学生、「異性愛者のプライド」を誇示してハラスメントに鋭意邁進

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米テネシー州の高校で、ヘテロ学生たちが「異性愛者のプライド」と書いたポスターを手にLGBT生徒の周囲をうろついたり、GSA(ゲイ・ストレート同盟)のポスターを汚損したりしています。きっかけは、あるホモフォビックな保護者による発言でした。

詳細は以下。

Students Boast “Straight Pride” After Parent Calls Gay Kids “Future Isis Members Of America” / Queerty

GSA(ゲイ・ストレート同盟)とは、学校を差別のない場所にするため、性的少数者の生徒と異性愛者の生徒が協力し合って活動する課外クラブ。プライド月間のポスターを作ったり、「沈黙の日」(day of silence)や「カミングアウト・デイ」などLGBTQへの認識を高めるためのイベントを企画したりします。『LGBTQってなに?』(ケリー・ヒューゲル著、上田勢子訳、明石書店)によれば、2001年から2011年の10年間でアメリカの中学や高校に約1600のGSAが作られ、毎年およそ2万人の生徒がGSAの活動に参加しているとのことです。

そのGSAが、2016年1月、テネシー州ウィンチェスターのフランクリン・カウンティ・ハイスクール(Franklin County High School)にも新しく設置されました。すると、このことを快く思わなかった保護者で自営業者のジョン・ウィンフリー(John Wimley)氏が、Facebookでこんな意見を発表したのだそうです。

「おい、フランクリン郡よ、一緒に禁止してこのたわごとを止めないと、気がついたらこの郡にゃ F.I.M.A. (アメリカの将来のISISメンバー)がいたってことになるぞ。#頼むから学校に神を」

“OK F.C. [Franklin County] if we do not ban [SIC] together and stop this B.S. the next thing you know they will have a F.I.M.A. (Future ISIS Members of America) #PutGodInSchoolsPlease,”

「正しいことのために立ち上がるべき時だ!!!!!!!!!!!!!!!」

“Time to Stand Up for what is RIGHT!!!!!!!!!!!!!!!”

つまりウィンフリー氏の頭の中では、LGBTQ生徒はISIS予備軍だという一大ファンタジーが展開されているらしいんですね。ゲイが大嫌いだという点では、むしろウィンフリー氏こそISISの人たちと気が合いそうなのにね。

上記の書き込みには、ホモフォビアとイスラモフォビアのつくだ煮のような方々が飛びつき、「ゲイどもには神の子たちに罪なライフスタイルを押しい付ける(訳注:原文では"forcing"と書くべきところが"forceing"という間違った綴りになっています)権利はない」だの、「愛だのハグだのキスだの性的なことだのは家で私的にやろー(原文では"Let's"と書くべきところが"Lets"という間違った綴りになっています)」だのというコメントをつけています。どうやら、彼らが理解できていないのは、綴り字だけではなさそう。

これに対し、GSAはウィンフリー氏の経営する自動車整備会社のボイコットを呼びかけました。しかしバックラッシュはおさまらず、何人かの生徒が「異性愛者のプライド」と書いたポスターを掲げて学校をうろうろしたり、GSAのポスターに「ゲイお断り」「ホモ野郎」などと落書きしたりしているとのこと。

その「異性愛者のプライド」のポスター(もとはチラシとして壁に貼られていたようです)というのはこちら。

GSAのポスターに禁止マークをつけるのが「異性愛者のプライド」? 他に誇るものはないの? と思ったところ、Queertyのコメント欄にこんな的確な意見がありました。

「LGBTのプライドのクラブ」の意味:我々は存在しています、社会に参加して人間として扱われたいと思っています。

「異性愛者のプライドのクラブ」の意味:我々はホ〇どもを憎んでいて、やつらを平等に扱いたくないと思っている。

“LGBT Pride Club” Meaning: We exist, we would like to take part in society and be treated as people. “Straight Pride Club” Meaning: We hate Fa**ots, and we don’t want to treat them as equals.

少なくとも、ゲイ・プライド・パレードに嫉妬して「ヘテロ・プライド・パレードはないのか」と駄々をこねたり、エドモントン・オイラーズは異性愛者のプライドのテープもスティックに巻かなければ平等ではないと言い出したりする人にとっての「プライド」は、まあそんなもんでしょうね。もしも自分が異性愛者だったら、こんなもんを「『異性愛者の』プライド」と称されるのは大迷惑なので羽交い締めで止めに行くか、もしくは毎日意地でも「ストレートだけど、偏狭じゃない」Tシャツを着て学校に通うかするところだけど、フランクリン・カウンティ・ハイスクールのヘテロの皆さんは果たしてどうするのかしら。頑張れ、GSAの若者たちよ。