レキット・ベンキーザのにきび止めクリーム、クレアラシルが2018年3月にリリースしたCMがホモフォビックだとして批判を浴びています。にきびに悩む女子高生のもとに現れる、ゲイっぽいキャラの扱いがひどいんです。
詳細は以下。
Critics Are Calling Clearasil's New Prom-Theme Ad Homophobic | NewNowNext
このCMの動画はこちら。
最初このニュースを斜め読みした時点では「批判? 劣化版ファブ5みたいな、『マジカル・ニグロ』のゲイ版ふうのキャラが美容アドバイスをしてるとか、そういう話?」と思ったんですが、実際のCMは想像の斜め上を行ってました。
このCMはまず、プロムを控えた女子高生が鏡の前で小さな吹き出物を気にして、「これがにきびになったら死んじゃいたい」と言っているところから始まります。次の瞬間、画面は吹き出物ができている皮膚の断面図に。炎症を起こした毛穴の中にはピンク色のスーツを着た小太りのオネエっぽい男性キャラがいて、「誰だってプロムには行きたいでしょ、これ(にきび)があってもね」と嫌味な口調で言い、つま先で毛穴の中をキックしています。
次の瞬間、女子高生は友達からクレアラシルを手渡されます。画面はまた皮膚の断面図になり、クレアラシルの成分に見立てた白いピンポン玉のようなものが「毛穴」になだれ込んでいきます。「にきびは顔の表面に現れる3週間前から形成されている可能性があります」とナレーションが流れる中、ピンクのスーツの人物はピンポン玉に埋まっていき、パニックをきたしてこんな風に叫びます。
クレアラシル? ふつうの洗顔料じゃないわ! どうしてアタシ縮んでるの?
Clearasil? That's not a usual cleanser! Why am I shrinking?
そしてCMの最後では、主人公とその友達がにきびひとつない顔でプロムに参加しているところが映し出され、こんなナレーションが流れます。
クレアラシルの洗顔料は通常の洗顔料より深いところまで届き、にきびがまだ問題になってさえいないうちに処置します。
Clearasil cleansers go deeper than regular clensers to treat pinples before they ever become a problem.
アカンだろ、これは。"cleanse"って、「民族浄化」の「浄化」と同じ単語だよ。「浄化」でゲイ(っぽく見える人物)を消せば問題はなくなります、っていうメッセージはアカンだろ。それはナチスが本当にやったことだし、ISISが今でもやってることだし、米国でだって親からゲイだとみなされた8歳児が殺されたりしてるのに、この無神経さはないだろ。
それにだいたい「女々しい男性=憎むべきにきび」という設定そのものがオフェンシヴだし、ゲイだって彼氏と一緒にプロムに行くこの時代に、「ゲイ(っぽく見える人物)はプロムに行かず、プロムに行く予定の女性に敵意を抱いて嫌がらせをしている」というネガティブなステレオタイプを強調するのはどうなの。CM制作の現場にも、このCMにOKを出した人たちの中にも、これが問題だと気づく人はひとりもいなかったの?
「サヴェージ・ガーデン」のダレン・ヘイズ(Darren Hayes)は、以下のような皮肉でこのCMを批判しています。
Imagine the marketing department brainstorming this @Clearasil commercial. 'Let's make the pimple an extremely gay guy in a pink suit and then we'll kill it so the girls can go to the prom!' hahaha. https://t.co/HBMQg3YrzJ
— Darren Hayes (@darrenhayes) 2018年4月10日
マーケティング部がこのクレアラシルのCMについてブレインストーミングしているところを想像してみて。『にきびをピンクのスーツを着た極端にゲイな男にして、女の子がプロムに行けるようにそいつを殺そう!』ははは。
Imagine the marketing department brainstorming this @Clearasil commercial. 'Let's make the pimple an extremely gay guy in a pink suit and then we'll kill it so the girls can go to the prom!' hahaha.
ひょっとしたらこれ、他社にとってはチャンスかもね。バリラのときにブイトーニがやってみせたように、胸のすくようなカウンター広告を今すかさず出せば、大いに株が上がろうというもの。やりませんか、どこか。