石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

米州人権裁判所 、ペルーは警官によるトランス市民虐待への責任があると判断

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2020年4月6日、米州人権裁判所が、ペルーの国家は同国の警察官らが2008年にトランスジェンダーの市民を侮辱し暴行を加えた事件について有責であるとする判断を公表しました。

詳細は以下。

wayka.pe

被害者のアスール・ロハス・マリン(Azul Rojas Marín)氏は、現在トランス女性として生活している人で、事件当時はゲイとして生活していたとのこと。氏は2008年2月25日、逮捕されてカサ・グランデの警察署に拘留され、そこで3人の警官から侮辱され、無理やり服を脱がされ、殴打され、警棒を直腸に押し込まれるなどの拷問を受けたのだそうです。

加害者は誰一人として処罰を受けず、米州人権委員会(la Comisión Interamericana de Derechos Humanos/CIDH) は2018年、ペルーに対し迅速な調査とロハス・マリン氏への損害賠償、公開謝罪などの措置を講じるよう勧告しています。しかしながらペルーはこの勧告に応じず、事件は米州人権裁判所(La Corte Interamericana de Derechos Humanos /Corte IDH)に提出されることとなりました。で、2020年3月12日に全会一致で判決が下され、その判決が4月6日に公開されたというわけです。

米州人権裁判所の通達には、そもそもロハス・マリン氏の逮捕が「理由なく」おこなわれたもので、「差別的動機に基づいており、違法かつ恣意的であった」、ペルーの国家は「法で定められた保証や保護の権利を侵害しておきながら、性的拷問を調査するためのしかるべき手続きをとらずにいた」などと書かれています。なお今回の判決により、ペルー政府はロハス・マリン氏に対する損害賠償の支払い、心理的治療の提供、謝罪などのほか、事件の責任者を調査・処罰すること、トランス市民の人権が侵害されたと認めること、ペルーにおけるトランスの人々の保護を保証するため捜査と司法のプロトコルを作成すること、LGBTIの人々への暴力事例に関するデータを収集するシステムを設計・実施することなどが命じられたとのこと。

不当逮捕で警棒を直腸に突っ込まれて拷問されても、この判決が出るまで12年もかかるとは。BBCで紹介されている、ロハス・マリン氏のコメントが重いわ。

ロハス・マリン氏は「どんな言葉でも今の気持ちは表せない」と述べた。「やっと裁判所がわたしのことばを信じてくれたのです」。

Ms Rojas Marín said she had "no words to describe how I feel". "After all that happened, a court finally believed in my word," she said.