石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

スペイン郵便局、初のLGBTI切手発行

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プライドの日(6月28日)を祝して、スペイン郵便局が初めてレインボーカラーの切手の発売を開始しました。額面は1ユーロで、スペインのストーンウォール・インにあたるベゴーニャ横丁*1(Pasaje Begoña)への敬意を示すことばが入っています。

詳細は以下。

elpais.com

6月28日が性的少数者のプライドの日、そして6月がプライド月間として世界的に祝われるのようになったのは、1969年6月28日に米国ニューヨーク市のゲイバー「ストーンウォール・イン」で起こった「ストーンウォールの反乱」がきっかけ。実はこれとよく似たことが、1971年のスペイン・アンダルシア州マラガ県トレモリーノスのベゴーニャ横丁でも起こっていたんです。

ベゴーニャ横丁(Pasaje Begoña)というのは、同性愛が処罰の対象だった1960年代のスペインで、性的少数者のオアシスとして栄えていた飲み屋街。ジョン・レノンなど著名人も足を運んでいたこの小道はまた、スペインのLGBTIの権利運動の発祥地でもあります。しかしながら1971年6月24日、フランコ政権下の警察が自動小銃を手にこのベゴーニャ横丁に踏み込み、300人以上が拘留されてしまいました。当局はさらに、23店のバーに閉鎖を命じ、店の持ち主らには「風紀紊乱」の疑いで最大2万ペセタの罰金を科したのだそうです。

この事件は国内外で「水晶の夜」「スペインのストーンウォール」などと呼ばれ、ベゴーニャ横丁はこれ以来「灰色の、忘れられた場所」にされてしまったとのこと。もっとも、そこにいた人々は決してこの場所を忘れたりしなかったのだそうですが。

2019年になって、議会はベゴーニャ横丁を「歴史的記憶の場所・LGBTIの権利と自由の発祥地(Lugar de Memoria Histórica y cuna de los Derechos y Libertades LGTBI)」とするという法案を承認しました。そして2020年、スペインの郵便局から以下のような切手が発売されたというわけ。

レインボーカラーの切手の一番下に「ベゴーニャ横丁(トレモリーノス)/LGBTIの権利の生まれた場所」と書かれているのが見て取れます。郵便局はさらに、郵便ポストやワゴン車などもこの色にするんだそうです。

恥を忍んで告白すると、自分はストーンウォールは知っていても、ベゴーニャ横丁で起こったことについてはこの切手のニュースを読むまで何ひとつ知りませんでした。スペイン語を勉強しなかったら、一生知らないままだったかも。自分が性的少数者の歴史を知ってるだなんて思っちゃイカン、まだまだ勉強だわ、と改めて思いましたよ。

*1:「ベゴーニャ通り」「ベゴーニャ小路」みたいな訳でもいいかも。