石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

薬局ががん患者にトランス差別 消費者庁に訴え チリ

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チリのトランス女性のがん患者が、薬局チェーンのファルマシア・クルス・ベルデ(Farmacia Cruz Verde)で店員から不適切な対応をされたとして国家消費者庁(SERNAC)に苦情を提出しました。

詳細は以下。

www.movilh.cl

この女性は55歳の血液がん患者で、名前は頭文字で"A.D.O.S"とだけ報じられています。彼女は2020年9月16日に吐き気とめまいのため首都サンティアゴの私立病院、クリニカ・ラス・コンデス(Clínica Las Condes)の腫瘍科に入院し、その翌日、院内にある同薬局の支店で差別的な扱いを受けたと主張しています。

まず同薬局の店員は、彼女が新型コロナの医学的ハイリスク群であるにもかかわらず、他の客より先に対応することを拒否したのだそうです。そのときこの女性はパジャマとガウンとスリッパ姿という明らかに入院患者の恰好をしていて、健康状態の説明もし、他の客らは彼女を優先させることに同意していたのに、です。

その上この店員は、彼女を「セニョール」と呼んで男性扱いし、拳で問題を解決すると言って脅したり、顔立ちが女らしくないだの、化粧をしていないだの、世の中には髪が長い男もいるだのと言って嘲笑したりもしたのだそうです。

A.D.O.Sさんはその日のうちに国家消費者庁(SERNAC)に苦情を提出し、チリのLGBTI団体Liberación Homosexual (Movilh)は法的措置について調べているところだとのこと。

Covid-19の流行が、脆弱な(vulnerable)状況に置かれた社会集団の人々によりひどい打撃を与えているということは、以前からあちこちで報じられています。うちのブログでもこれまでこんなニュースを紹介しましたっけ。

www.ishiyuri.com

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でもこんな、医療面であきらかにハイリスクな状態にある人が院内薬局で差別されるだなんて、打撃の中でも最悪の部類だと言えるのでは。

A.D.O.Sさんは消費者庁に提出した苦情で、同薬局では店員のみならず店長からも女性であることを否定されたと説明し、1行あけて「心を折られました、死にたいです」と書いています。苦情を出した目的は、受けた苦痛に対する謝罪・賠償と、従業員への戒告処分、そしてジェンダーの多様性についての研修の実施にあるそうです。どれも正当な要求であり、ファルマシア・クルス・ベルデには一日も早くこの求めに応じる義務があると思います。