2021年5月29日の午後10時頃、スペイン・バルセロナのバルセロネータ地区にあるビーチで談笑していたゲイ男性らが4人の闖入者に暴力をふるわれ、ひとりが顎の骨や歯を折られました。
事件が起こったのは、ソモロストロ・ビーチ(la playa del Somorrostro)。2組のゲイカップルと1組のヘテロカップルが輪になって座り、何か飲んだり喋ったりしていたところに4人の人物が近づいてきて、ホモフォビックな罵り言葉を叫んだり、唾を吐きかけたり、喉をかき切ると言って脅したりしたあげく、殴りかかってきたのだそうです。ちなみにヘテロカップルは襲撃者のひとりによって押しのけられ、そこからもっぱら4人のゲイたちがボコボコにされたとのこと。ゲイ男性のうちひとりは、殴り倒されて立ち上がろうとしたときに口を蹴られ、下顎骨が折れて歯も数本失ったそうです。他の3人も、挫傷や打撲傷などのけがを負っています。
顎を折られた男性のけがの様子がわかる写真はこちら。
“Si m’aixeques la cella, et tallo el coll”: brutal pallissa homòfoba a la platja del Somorrostro.
— Observatori contra l'homofòbia (@OCL_H) May 30, 2021
L'@OCL_H comdemnem terrible i violenta 2 agressió -multiple- a Barcelona . Activem protocols @MarcSerraSole @BCN_CiutatDrets i ens posem disposició víctimes
https://t.co/1n9lMTRPtN
ちなみに、その場にいた他の人たちは誰も助けようとしなかったとの由。被害者らに助けを求められたあるグループなど、問題に巻き込まれたくないから近寄るなと言いさえしたんですってよ。
なお襲撃者の身元は(少なくとも6月5日の時点で)特定されておらず、ひとりが残していったショルダーバッグがカタルーニャ自治州警察(Mossos d’Esquadra)の手に渡っているとのこと。
……このニュースを読んでぞっとしたのは、ビーチにいた人たちの反応が、タイムリーにも昨日読み終わったばかりのこちらの小説のテーマと直結していたからです。
これはスペインのYA小説で、ホモフォビアではなくいじめをテーマとしたものなんですが、主人公を凄絶な目に遭わせた「怪物」とは結局何だったのかという謎解きと告発の場面の衝撃がすさまじいんです。具体的に言うとKindleの位置No. 2337-2353の、手書き文字のページね。Audible版でも、ここのくだりは何度聞いても鳥肌立ちます。でね、そのページで告発されているものこそが、今回ソモロストロ・ビーチで起きたような、いや世界中どこでも起こっているようなホモフォビックな憎悪犯罪をがっつり下支えしていると思うのよ。この本、残念ながら現時点では邦訳は出ていないようなのですが、映画化が決まっているそうなので、日本でも公開されてたくさんの人が見てくれたらいいなと思っています。