石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

今週の未紹介LGBTニュース(2017年12月24日)


『ザ・ヴォイスUK』コンテスタント、クリス・ウィーヴァーのドラァグパフォーマンスが超ファビュラス

‘Voice’ contestant Chris Weaver’s drag performance has everyone talking / LGBTQ Nation

音楽オーディション番組『ザ・ヴォイス』UK版のコンテスタント、クリス・ウィーヴァー(Chris Weaver)が、2017年のシーズン最終回で素晴らしいドラァグパフォーマンスを見せたというニュース。動画は以下。

“Bang Bang(My Baby Shot Me Down)”に始まってジェシー・Jの“Bang Bang”につなぎ、しかも背景は『シカゴ』の「セルブロック・タンゴ」風というのがいいですねえ。途中からジェシー・J本人も参加しているし、シーズンフィナーレにふさわしい豪華なパフォーマンスだと思います。

「ゲイがなければ番組もなしだ」BBCスター&クリエイターらがロシアとの契約拒絶

BBC star rejects big TV deal in Russia after being told he would have to remove gay character

ロシアがBBCのシットコム『ミセス・ブラウンズ・ボーイズ』のライセンス契約にあたり、同番組のゲイキャラを取り除きたがったため、番組のスターのブレンダン・オキャロル(Brendan O’Carroll)らが「ゲイがなければ番組もなしだ」と契約を断ったというニュース。

『ミセス・ブラウンズ・ボーイズ』はラジオ・タイムズの投票で「21世紀最高の英国のシットコム」に選ばれている人気作で、登場人物の中にローリーというゲイ男性がいるのだそうです。これまでにもルーマニアなどこのキャラの登場場面をカットしたがった国はあったものの、結局カットはさせずに来たとのこと。しかし、ロシアの場合「ゲイはなしだ、絶対にゲイはなし」と言われたため、多額のライセンス料を蹴って契約拒否することになったんだそうです。

今どき英米のエンタテイメントはどんどんインクルーシヴになりつつあるから、アンチゲイな国は今後こうやって娯楽の鎖国化が進んで行くのかもね。

テイラー・スウィフトの新アプリがホモフォーブとトランプ支持者の巣窟に

Taylor Swfit's new app is now overrun by homophobes and Trump voters

テイラー・スウィフト(Taylor Swift)が2017年12月14日にローンチしたアプリ、「Taylor Swift: The Swift Life」が早くもホモフォーブとトランプ支持者であふれかえっているというニュース。

今App Storeで確認したところ、このアプリはテイラーの「限定画像、動画、ニュース」などが見られるほか、チャットルームや投稿、メッセージなどでユーザー間の交流もできるというものらしいです。で、その「交流」がこんなことになっているらしいのね。

画像左の文章訳:「共和党員とトランプ支持者は、ほかの全ての人とおなじぐらいここにいる権利があるんだ。トランプに投票した人がいる。共和党に投票しても、トランプには票を入れなかった人もいる。彼らはトランプの信念に賛成していないかもしれないが、少なくともトランプは我が軍を支持しているんだ。悪いが誰にでも望む相手に投票する権利が……」。

画像右の文章訳:「ゲイとレズビアンとバイセクシュアルは認めない」。

なお、テイラー・スウィフトは2016年の米大統領戦でトランプとヒラリーどちらを支持するか明らかにせず、ウィメンズ・マーチにも参加しなかった人です。文化の盗用などでも批判を受けています。彼女がGLAADメディア賞のプレゼンターをつとめたときには、「偽のLGBT権利支持者」「ゲイコミュニティを広告に使うな」という声も出てました。

ホモフォビックな本を職場で配って解雇された米元消防署長が敗訴

Judge rules against fire chief who distributed homophobic book likening homosexuality to beastiality – PinkNews

米消防署長、著書で同性愛を「性倒錯」と呼び停職処分に - 石壁に百合の花咲くの続報。同性愛を「性倒錯」「獣姦と同じ」などとする本を自費出版して職場で配り、停職となった後解雇されていたアトランタの元消防署長が、2017年12月20日、この解雇を不当とする訴訟で敗訴しました。

この元署長、ケルヴィン・コクラン(Kelvin Cochran)氏は、問題の本はクリスチャン向けに書いたものであると主張していましたが、連邦第一審裁判所のレイ・マーティン・メイ(Leigh Martin May)判事は、職場の管理者が本をばらまき、少なくとも3人の被雇用者に対しては頼まれてもいないのに本を渡したのだから、原告のしたことを表現の自由、結社の自由、信教の自由などでは擁護できないとする判断を示したとのこと。職場の上司が部下にヘイト本を押し付けることまで「表現の自由」とされてしまったら有害きわまりないので、まともな判決が出てよかったです。

豪シドニーのガソリンスタンドでゲイ男性がホモフォビックな罵倒を受ける

Sydney gay man films homophobic attack at petrol station

シドニーのパフォーマー、ブレンダン・デ・ラ・ヘイ(Brendan de la Hay)氏が、ガソリンスタンドで男にホモフォビックな罵倒をぶつけられたとして、そのときの動画を公開しています。

動画はこちら。

”gay c**t”とか“fucking fag”とか、ひどい罵言が目白押し。公共の場でこれだよ。デ・ラ・ヘイ氏は警察に通報し、この件について次のようにコメントしているとのこと。

で……聞きたいんだけど……ぼくらは実際のところどこまで進歩したんだろうね?

戦うことをやめちゃいけない。(プライド・)マーチをやめちゃいけない。

So… I ask you… how far have we REALLY come?

‘Don’t stop fighting. Don’t stop marching.’

日本には「オーストラリアが同性婚を容認!!」みたいなニュースは入ってきても、こういう細かいヘイト事件ってほとんど報道されないでしょう。だから余計に「ゲイはもう差別されていないのに、なぜまだ権利運動なんかしてるんだ。さては特権狙いだな!」みたいな明後日の方向の誤解をする人が出てくるってこともあるんじゃないかと思います。実際はまだまだこんなもんなので、戦いもマーチも当然必要。

性的指向を理由にゲイ男性を骨折させた男に懲役刑

London: Man jailed for breaking man's leg because he was gay

英国トッテナムで2017年7月16日、友人と歩いていたゲイ男性に殴る蹴るの暴力をふるい、足を折るなどの大怪我をさせたとして、29歳のKamil Wladyslaw Sniosという男が懲役10年の刑を言い渡されました。Shinosは這って逃げようとする被害者を何度も蹴った後、友達に見せびらかす「記念の品」として箱入りタバコを奪い取り、警察に逮捕されたときにはホモフォビックな発言を繰り返していたそうです。