石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

学生劇を学校が中止に 理由はゲイのキャラクター 米・オハイオ州

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米国オハイオ州のヒルズボロ・ハイスクール(Hillsboro High School)が、学生たちが上演する予定だった劇、"She Kills Monsters"を中止にしてしまいました。理由は、ゲイのキャラクターがいるから。劇の関係者らはあきらめず、上演費用をまかなうためのクラウドファンディングを始めています。

詳細は以下。

www.jrlcharts.com

このお芝居"She Kills Monsters"はドラメディーで、ある女性キャラクターに女性の恋人がいたことがわかる場面があるのだそうです。生徒たちは上演に向けて何週間も練習していましたが、2021年10月21日、学校側は彼らに対し、同性愛者のキャラがいるため上演を中止すると通達。劇関係者の生徒とその親たちによると、この通達は地元の聖職者や保護者らが劇の内容のことで監督と対面してから1週間後のことだったそうです。

ちなみにトム・デイヴィス(Tim Davis)学区教育長はメディアに対し、上演取りやめの理由はゲイキャラの存在だとは明言せず、劇の中に「冒涜的な言葉」、「ホモフォビックな侮辱語」、「性的な風刺と生々しい暴力」などが含まれていることが原因だとしているとの由。これ、上演費用調達のためのクラウドファンディングのページと合わせて読むと非常に面白いですね。ファンドレイザーで、かつ"She Kills Monsters"出演者の保護者であるLaura Pickering-Polstraさんは、以下のように教育長の説明に反論しています。

  • 「ホモフォビックな侮辱語」は、10月18日までにもう取り除かれていた
  • 「性的な風刺」は、これまで同校で上演されてきた「イントゥ・ザ・ウッズ」や「オクラホマ!」などでは問題視されていない
  • 「冒涜的な言葉」に該当する“ass”、“hell”、“damn”も、これまでの上演作では問題視されていない
  • "She Kills Monsters"にお芝居としての剣劇はあっても、「生々しい暴力」はない

結局何もかも、「視界すべてがヘテロウォッシングされていないと気に入らない」とか「同じことをヘテロがやるのはかまわんが、ゲイがやるのは許さん」とかいうたぐいのめちゃくちゃ陳腐なホモフォビア*1であるようにしか見えませんな。ホモフォビックなのは劇中のことばじゃなくて、学校と学校区だろ。

しかし、オハイオかー。TVドラマ『glee』(2009)の舞台がオハイオ州でしたよね、たしか。いみじくも劇中でキャラのひとりが「ここはオハイオでNYじゃないんだ、NY以外の、フライにしてない野菜を食べる人がいるような街でもない」と形容したぐらい保守的な中西部の州を舞台にして、そこからストライクバックするマイノリティー(ゲイ含む)たちの姿を描いたからこそヒットしたドラマだと思うんですが、現実は2021年の今、フィクションよりさらに後ずさっているのかも。"She Kills Monsters"関係者らは現在、学校以外の場所で夏に上演することを目指しているとのことですが、せめてこちらは実現してほしいです。