石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

「ここから立ち去れ」女がゲイカップルを聖水で攻撃 メキシコ・トルカ

十字架

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メキシコシティの約60km西にある都市、トルカ(Toluca)で、教会前でハグしていたゲイカップルが知らない女に聖水をかけられ、「警察を呼ぶ」などと脅されたというニュース。動画はこちら。

@leoperovirgo

Que dificil entender que alguien puede tratarte asi por el hecho de de amar libremente 💔 los buenos somos más; Gracias a las autoridades y gente de la iglesia que decidieron actuar con amor y congruencia 💖🏳️‍🌈

♬ sonido original - Leonardo Hernández

この動画はゲイカップルのひとり、Leonardo Hernándezさんが撮ったもの。Leonardoさんによると、彼が恋人のThomasさんと教会の外にある階段に座ってハグをしていたところ、動画の女に「今すぐ立ち去れ!」と言われて、聖水とみられる水をスプレーでぶっかけられたんだそうです。動画はそのスプレーぶっかけシーンから始まっていて、直後の会話をざっくり訳すとこんな感じ。


女(スプレーをかけ終わった後)「すぐに警察を呼ぶからね!」

ゲイ男性のひとり(どちらかは不明)「ぼくは神とともにあります」

女「いーや、そうは見えませんね」

ゲイ男性のひとり(どちらかは不明)「だから(神とともにあるから)こそ、ここにいるんですが」

通行人(女に)「この人たちは何もしてませんよ、なーんにも。そこで座ってるだけですよ」

Leonardoさん「『悪い』っていうのはものを盗むこと。『悪い』とは、憎むことですよセニョーラ」

セニョーラはこう言われてもまったく態度を変えず、バッグから携帯電話を取り出して警察らしきところに電話をかけ始めます。が、電話の相手からは思ったような反応が引き出せなかったらしく、彼女は途中から話を「『私有地』への不法侵入」にすりかえたり、移民差別を追加したりまでして、なんとか排除に加担させようとしています。かいつまんで訳してみるとこんな。


女(電話の向こうの人物に)「立ち去ろうとしないんですよ……神の家の前にいたがってるんです……なぜ?……ここは私有地ですよ……ここは主の家があるところで、彼らにいてほしくないんです……それじゃあ、あの人たちがここに不道徳な行為をしに入り込んでもいいっていうんですか?……悪魔の所業ですよ……メキシコ人には見えないからきっと移民です、ここの人じゃありません。ここの若者たちに不道徳を教えるために、とこかの堕落した国から来てるんです」

ずいぶんひどいことを言っていますが、その後Leonardoさんが電話口に出ていきさつを説明し、電話の向こうの人物(Leonardoさんによれば警察官だそうです)はあっさりと「それは差別ですね」と応えています。そんなわけで女が狙っていたような「官憲の力を借りてゲイカップルを追い出す」という展開にはまったくならなかったんですが、それにしても聖水とはねえ。しかも、よく見たら十字を切りながらぶっかけてるし。勘弁してくれ。

偶然にもあたしゃ、このニュースを目にしたときスティーヴン・キングの分厚い吸血鬼小説を読んでたところだったんで、「それじゃあ何かい、あたしらは〇ー〇・〇ー〇〇*1なみのヴィランだってわけかい」とのけぞりましたよ。「そのうち『浄化の炎』とか称してゲイタウンを焼き払おうとするんじゃないの、この女」とも思いました。いや、世の中にはまじでレインボーフラッグやゲイバーに放火する人もたくさんいるから、洒落にならないんですよこういうの。通行人が止めに入ってくれたり、警察がすぐに差別だと判断してくれたりして本当によかった、社会にはこういうストッパーが絶対に必要。

*1:ネタバレ平気な方はここをクリック。こんなんと同列扱いにされるだなんて、冗談じゃない。