石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

米ドラマ『Doubt』最終回が超好評

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144758_T7I4081 / Disney | ABC Television Group

ラヴァーン・コックス(Laverne Cox)がトランス女性の弁護士キャメロン・ワース役を演じる米ドラマ『Doubt』の最終回が、2017年8月19日に米国で放映されました。Autostraddleが、キャメロンのストーリーラインがすばらしかったと報じています

詳細は以下。

Boob(s On Your) Tube: It’s a Good Week For Queer Happy Endings on “Doubt” and “Stitchers” | Autostraddle

ネタバレ回避のため、最終回のあらすじについての言及は避けます。以下、上記リンク先のリキャップの、もっともよかったところを訳しておきます。

黒人のトランス女性について書かれたおとぎ話はない。かぼちゃを馬車に、ぼろぼろの服を舞踏会用のドレスに変えてくれる妖精の教母さまもいない。いじわるな義理の姉たちなら――現実世界でも、想像の世界でも――たくさんいるのだが、黒人のトランス女性を抱き上げて「ふたりはそれからいつまでも幸せに暮らしました」という結末に連れて行ってくれる魅惑の王子さまの話は、誰も語らない。

でも、『Doubt』はそれをやったのだ。

There aren’t fairy tales written about black trans women. There’s no fairy godmother transforming pumpkins into chariots and tattered clothing into ball gowns. There are a lot of evil stepsisters—both real and imagined—but no one’s telling the story about the Prince Charming who sweeps a black trans woman off her feet and into the happily ever after. No one writes that fairytale.

But Doubt did.

念の為に言っておくと、『Doubt』がここまで褒められているのは、単純にキャメロンの恋が成就したからじゃありませんよ。それがわかるのが、以下のくだり。

おとぎ話の核心は、希望のメッセージである。つまり、ファンタジー作家のニール・ゲイマンが『コララインとボタンの魔女』の題辞で書いたように、「おとぎ話は『本当』ということばでは足りないぐらい本当のことなんだ――ドラゴンが存在するということを教えてくれるからではなく、ドラゴンはやっつけることができるんだと教えてくれるからだ」。

トランス女性たちが直面するドラゴンが、倒すことができるものだということを示してくれる番組があるというのは、大切なことだ。その主な理由は、シスジェンダーの人々にはしばしばそれらのドラゴンが見えないということであるが、トランス女性たちにとっても、こうしたドラゴンは倒せるのだと思い出させてくれるものはやはり必要なのだ。

ひとつのシーズンで、13のエピソードにわたって、『Doubt』はそれをやったのである。

At their core, fairy tales are messages of hope. Or, as Neil Gaiman put it in the epigraph to Coraline, “Fairy tales are more than true – not because they tell us dragons exist, but because they tell us dragons can be beaten.”

It’s important that there are shows that reveal that the dragons that trans women face—mainly because cis people often can’t see those dragons for themselves—but there’s also a need for a reminder to trans women that those dragons can be beaten.

For one season, over 13 episodes, Doubt did that.

このドラマ、DL購入した第1話(英語版)までしか見てなかったんですけど、こうなったら全部見ておかねば……! この作品、日本での放映/配信予定はあるのかなあ。あるといいなあ。

今週の未紹介LGBTニュース(2017年8月20日)

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英映画『God's Own Country』新トレイラー

ヨークシャーの孤独な羊飼いとルーマニア人の季節労働者との恋を描く英映画『God's Own Country』の新しいトレイラーが発表されました。英国での公開は2017年9月1日から。

6月に発表されていた、もうひとつのトレイラーはこちらです。


上半身裸のバイオリニストが『リトル・マーメイド』をゲイなフェアリーテイルに

This shirtless violinist turned The Little Mermaid into the gay fairytale of your dreams

アリエルも王子も男性で、すごく話が早い『リトル・マーメイド』です。


ションダ・ライムズが米ABCと袂を分かちNetflixと契約

Dlisted | Shonda Rhimes Is Breaking Up With ABC To Go Steady With Netflix

米ABCで『グレイズ・アナトミー』や『殺人を無罪にする方法』など数々のドラマをヒットさせてきたクリエイターのションダ・ライムズがABCと袂を分かち、Netflixと契約したというニュース。ションダと言えば、視聴者から番組について「ゲイなシーンが多すぎる」と言われたとき、

『ゲイな』シーンなどありません、『人間の』シーンです。ションダランドの番組にゲイの人間が出てくるシーンがあると今頃気づいたのならあなたはパーティーに遅刻しているし、『ゲイのシーン』などという言い回しを使う人は、遅刻しているだけでなく、そのパーティーに招待されてもいないんですよ。

There are no GAY scenes. There are scenes with people in them. If you are suddenly discovering that Shondaland shows have scenes involving people who are gay, you are LATE TO THE PARTY. If u use the phrase "gay scenes", u are not only LATE to the party but also NOT INVITED to the party.

……と切り返した人。TVよりさらに制約が少ないNetflixでどんな番組を作ってくれるのか楽しみです。

余命宣告されたおじいちゃん、レズビアンの孫娘のプロポーズに動画で協力

Dying grandpa helped granddaughter propose to girlfriend in beautiful video · PinkNews

余命3ヶ月と診断されたおじいちゃんが、レズビアンの孫娘サラさんが恋人のメガンさんにプロポーズするのを助けようと、メガンさんあてのビデオメッセージを作ったというニュース。サラさんはノートPCでこの動画をメガンさんに見せ、返事はイエスだったとのこと。ふたりは2017年10月に結婚するそうです。

「男には全然欲情しないの?」ロンドンの男性事業主、レズビアンの事業主に失礼な質問を連発

Lesbian entrepreneur with start up company asks for tech advice but receives sleazy messages · PinkNews

テクノロジー企業を立ち上げた18歳のレズビアンが、Facebookののスタートアップ企業のグループで活動している男性事業主にビジネス上のアドバイスを求めてコンタクトを取ったところ、ビジネスの話はそっちのけで年齢や恋人、性的指向のことばかり根掘り葉掘り聞かれたというニュース。実際のやりとりは以下の画像をどうぞ。

「年齢は?」「独身?」「彼氏は手伝ってくれないの?」「(彼女がレズビアンだと知って)それじゃ男には全然欲情しないの?」とまあ、ぶしつけな男がレズビアンにぶつける質問がフルセットで揃ってますね。どこもこんなもんか。

2017年のウガンダ・プライドが大臣の脅しで中止に

Uganda Pride cancelled last minute after threats from Government Minister

ウガンダでは2016年のパレードで警察が参加者に暴力をふるい、投獄しています。開催間近だった「プライド・ウガンダ2017」についても、同国の行動倫理規範省(Minister of Ethics & Integrity) のサミュエル・ロコド(Samuel Lokodo)大臣から開催予定地を大量の警察官で取り囲むなどの形で脅しをかけられたため、主催者が中止を発表したとのこと。

米ミシガンのゲイカップルが不審火で家と犬猫を失う 警察はヘイトクライム疑いで捜査

Michigan Gay Couple Lose Home, Dogs and Cats in Possible Hate Crime Arson Attack - Towleroad

2017年8月10日、米ミシガン州のゲイカップル、ニッキー・ジョリー(Nikki Joly)さんとクリス・ムーア(Chris Moorさん)の住む家が火事で焼け、ふたりの愛犬2匹と愛猫3匹が亡くなったというニュース。燃焼促進剤が使われた形跡があること、ジョリーさんが著名なLGBTアクティヴィストであることなどから、警察はヘイトクライムの可能性を視野にいれて捜査しているそうです。

ホモフォーブは放火が好きだからねえ。実例は以下を。

英ゲイ男性が路上で暴力をふるわれ意識不明の重体に

Gay man attacked and left for dead after going out to make new friends

25歳のゲイ男性カール・ジョンソン(Carl Johnson)さんが2017年8月19日、イングランドのロッチデールにあるバーを出た後4人の男女から暴力をふるわれ、頭蓋骨を折るなどして意識不明の重体に陥っているというニュース。カールさんのきょうだいのマーク(Mark)さんは、カールさんが「話し方や身振りで明らかにゲイだとわかる」ことから、セクシュアリティが原因で標的にされたのだと述べています。

性差別でGoogleを首になった男、自分を「迫害される50年代のゲイ」になぞらえて被害者ぶりさらに炎上

Twitter drags former Google employee for comparing being conservative to being gay in the 50s

「女性はコーディングに向かない」などの偏見を社内文書で主張したためGoogleを解雇されたジェイムズ・ダモア(James Damore)氏が、自分はまるで「1950年代のゲイのようだ」、「保守派はクロゼットに隠れて本当の自分を隠さなければならない」などと発言したため、さらに猛烈な反発をくらっているというニュース。以下、Twitterでの批判をちょっと訳してみます。

訳:「Googleが保守派を電気ショック療法にかけて化学的去勢をしてるとは知らなかった。もし本当ならおおごとだ」。

訳:「アラン・チューリングは、有名で影響力のあるコンピュータ科学者だったけど、50年代にゲイだったために強制的に化学的去勢をされたよ」。

訳:「はいはいおっしゃる通り、1950年代のゲイはみんな16万ドルの年収をもらっていて、(職場では)ランチを作ってくれる係がいて、レゴで遊べたよね」。※皮肉ですよ、念のため。

訳:「Googleを解雇された技術者が、Google社内で保守派であることを1950年代のゲイになぞらえたときのわたし」。

他者の人権を蹂躙して批判された人が「自分こそが被害者であり差別されているのだ」と言い出すのは洋の東西を問わずよくあることですが、ダモア氏はひょっとしたら50年代のゲイが具体的にどんな目に遭っていたのか知りもせず、自己憐憫のためだけに安直にゲイの話を持ち出してるんじゃないのかしら。今なお命の危険にさらされているあたしら同性愛者を、勝手にダシにしてるんじゃねえよ。

米アーティストがディズニーキャラのトランス風イラストを発表

1000ピース ジグソーパズル ディズニー It's Magic! 世界最小1000ピース(29.7x42cm)

ディズニー映画のキャラクタを性別移行させたイラストをInstagramで発表している米アートディレクター「トランス・ディズニー(Trans Disney)」氏が、なぜこのような作品を創り始めたのかについて語っています。

詳細は以下。

I Show What Disney Characters Would Look Like As Transgender, Because They Are Equally Great | Bored Panda

まずはInstagramから、氏の作品のいくつかをどうぞ。イラストのみならず、作品の内容をふまえたキャプションもおもしろいですよ。

Honestly, the only Beast I can think of is the one judging you by the body you want for yourself.

Trans Disneyさん(@trans.disney)がシェアした投稿 -

You're only a liar if you don't open about your sexuality, and the gender you think will make you, YOU.

Trans Disneyさん(@trans.disney)がシェアした投稿 -

トランス・ディズニー氏がこのようなアートを創り始めたのは、子供の頃から見てきたディズニー映画が、愛や自由や変身についての物語であるにもかかわらず、トランスジェンダーのキャラクタがひとりもいないと気づいたから。それで「もっとも有名な映画の数々が、トランスジェンダーの物語として語られたがっていたらどうなるだろう?」という問いのもとに、これらの作品を生み出したのだそうです。

ディズニーキャラをゲイの文脈でとらえなおしたアートならこれまでいくつか例があったと思いますが(例1例2)、トランスジェンダーのアートは初めて見た気がします。いいぞもっとやれ。

Netflix以外からウォシャウスキー姉妹に『Sense8』シーズン3制作の申し入れ

Sense8: Season 1 (A Netflix Original Series Soundtrack)

先日打ち切りが決定した後、ファンからの要望で2時間の完結編が作られることになったNetflixオリジナルドラマ『Sense8』。「うちで続きを作らせてほしい」という申し出を、意外な企業が公開書簡のかたちで発表しました。

詳細は以下。

An unlikely source has offered to produce a new season of Sense8 · PinkNews

今回名乗りを上げたのは、「xHamster」というポルノサイト。役員のアレックス・ホーキンス(Alex Hawkins)氏が同社のブログで、『Sense8』クリエイターのウォシャウスキー姉妹に宛てた以下のような公開書簡を発表しています。

これが異例のことだとはわかっていますが、私どもは『Sense8』を復活させたいのです――xHamsterで。ここで当社が申し上げているのは、パロディーやそれ以下のもののことではありません。シリーズの事実上の復活のことです。

打ち切りのことを目にして以来、何か当社にできることはあるのだろうかと考え続けておりました。Netflixが完結編を作ることは嬉しく思っていますが、あなたがたが物語を完結させてしまう前に、もうひとつの選択肢をご考慮いただけたらと思いました――つまり、xHamsterにこのシリーズを制作させるという選択肢をです。

“We know it’s unconventional, but we want to bring it back — on xHamster. We’re not talking about a parody, or something less than, but an actual revival of the series.

“Ever since we read about the cancellation, we’ve been wondering if there was something we could do. While we’re happy that Netflix is picking up the series for a conclusion, before you wrap up the story, we wanted you to consider another option — letting xHamster produce the series.”

同氏によればxHamsterは「性に関する言論と、規範的でないセクシュアリティの権利に関して長らく戦い続けて」おり、抑圧的なアンチLGBTQ法に反対を唱えるよう視聴者に働きかけてもいるとのこと。自分たちが「ありそうもない」プラットフォームであることは理解しているが、5年前にはNetflixがオリジナルドラマを作るというアイディアさえ笑われていたのだから一考してほしいと氏は訴えています。ちなみにPinkNewsによれば、ウォシャウスキー姉妹からの返事はまだないそうです。

いちファンとして漠然と「どこかNetflix以外からのオファーはないのかしら」と思ってはいましたが、アダルトサイトからとは予想外だったわ……! ちなみにシーズン2以降の脚本と監督をひとりで担当しているラナ・ウォシャウスキーは最近Facebookライブで、Netflixの意向がどうあれシーズン3全体の脚本を書き続けていると発言しているのだそうで、ひょっとしたら今後、「わが社で作ってほしい」というオファーはこれ以外にも出てくるのかも。

ちなみにxHamsterというのは"tranny"や"shemale"などトランスジェンダーの人々を指す侮辱的な呼称(参考:What Are Appropriate Labels & Terms For Transgender People?)を冠したエロ動画を山ほど配信しているサイトなので、いくら公開書簡に立派なことが書いてあっても、結局この申し出は実現しないんじゃないかという気はします。少なくとも自分は、トランスジェンダーの人々を当事者の嫌がる名前で呼んで金儲けをしているサイトで『sense8』を見るのは嫌だわ。ウォシャウスキー姉妹からの返事が気になるところです。

よくぞここまで軌道修正―ドラマ『オーファン・ブラック 暴走遺伝子』シーズン4感想

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話の枝葉をみごとに整理

タチアナ・マズラニーが10人以上のクローン姉妹(レズビアン含む)を演じるスリリングなSFドラマ。迷走気味だったS3から一転、話の枝葉がうまく刈り込まれているし、手ごわい敵も驚きの展開もあり、よくぞここまで軌道修正したものだと拍手を送りたくなりました。

対立軸が明確に

このS4でうまいなと思ったのは、主人公たちと敵対する組織・ネオリューションの中に「クローン派VSボット派」という新たな対立軸を設けることで、複数のヴィランの立場やドラマ上の欲求をわかりやすくしたこと。このあたりの構成は、次から次へと謎の陰謀をほのめかしたあげく説明台詞で強引にまとめて終わった前シーズンより格段によくなっています。また、今シーズンでのこのボットという技術のおぞましさは、やりすぎ感もある反面、新たな悪役・エヴィ(ジェサリン・ウォンリム)の邪悪さや恐ろしさを印象づけることに成功してもいると思いました。ロボットの「ボット」じゃないのよ、これ。YouTubeで"bot fly"で検索すれば何のことだか一発でわかるはずですが、サムネイルですら嫌悪感をもよおす人が多いと思うので、おすすめはしません。ともかく、この新技術をお話の新たな駆動力とし、ネオリューション内の派閥争いを明確に打ち出したのは正解だったと思います。

レズビアン・ロマンスの行方

S3の結末でデルフィーヌ(エブリンヌ・ブロシュ)を襲ったクリフハンガー展開の行き着く先が多少なりとも示されるのは、なんとS4(全10話)も7話になってから。そこでの暗示がある程度確定的になるのは、第9話のラストシーンからです。穿った見方をするならば、「コシマとデルフィーヌの同性カップルのファンたちの視聴率目当てで、そこまで鼻先にニンジンをぶらさげ続けた」という解釈も可能かもしれません。ただし、「結局あの時デルフィーヌに起こったことの黒幕は誰だったのか」という謎が今シーズン全体の謎と直結しているため、シーズンフィナーレまで見た時点で、この構成には思わず納得せざるを得ませんでした。もしS4E1の時点で「実はあのときこうなってました」と全部明かしたら、3話ぐらいでシーズン4が終わっちゃうもんね。やっぱり構成がうまいわ、このシーズン。

接点がほとんどないこともあり、今シーズンでのコシマとデルフィーヌの相互交流は比較的薄口です。が、少なくとも前シーズンのいまいちなシナリオでの三角関係より、今シーズンでの傷心のコシマの表情の方が、女性同士のラブロマンスとしてよっぽど力強かったことは確か。少なくとも最終シーズンであるシーズン5までの希望もつながったし、あたしとしては特に不満はないですね。

気になったところ

前述のボットの描写にも通じる話なのですが、ちょっと安直なグロ描写が多すぎる気がします。たとえば妊婦の〇〇、白鳥の〇〇、〇〇の赤ちゃん、そして眼球に〇を〇〇場面など、画面を必要以上にショッキングにしようとしているかのような印象を受けました。残酷描写そのものがいけないとは露ほども思いませんが(『スキャナーズ』の頭部爆発も『オーメン』の首チョンパも、『オペラ座/血の喝采』のアレやアレも別にいいと思うの)、「とりあえず視覚的にどぎつくしておけば視聴者は驚くだろ」的なチープさは話の興趣を削ぐと思います。エグい描写を入れるなら入れるで、『ブレイキング・バッド』のラズベリー・スラッシー製造過程に負けないぐらいインパクトのある文脈を用意して、もっと凄みのある見せ方にしてほしいところ。

もう一つ気になったのが、Netflixの字幕翻訳の質の低さです。『オーファン・ブラック』の日本語DVDはシーズン2までしか出ておらず、それ以降のシーズンを日本語で見るには目下Netflixに頼るしかないのですが、このS4はどうも翻訳の質がよくない気がします。原語で"lesbian"と言っているところを逐一「レズ」と訳す鈍感さや(これって英語で"black"と言っているのを全部『ク〇ンボ』と訳すようなものですよ)、ことわざを直訳して日本語として意味が通らない台詞にしてしまっているところ、固有名詞の"Batcave"(バットケイヴ、バットマンの秘密基地のこと)をなぜか「コウモリの巣」としてせっかくのジョークを台無しにしているところ(コミック店の地下だからこそ『バットマンの』秘密基地だとふざける場面のはずなんですよ)など、素人目で見てもどうかと思いました。Netflixにはもう少しローカライゼーションにお金をかけてほしいなあ。その分使用料が上がってもいいから。

その他

  • 話がだいぶ複雑化してきた今、改めてサラ(タチアナ・マズラニー)を中心に据えて物語を進めていったのはよかったと思います。おかげで新たなLEDAクローンのキャラを動かす余地もできてましたしね。ただその分ヘレナ(タチアナ・マズラニー)の出番が少なかったのはちょっと残念でしたが、これはその分シーズン5でヘレナ中心のエピソードが出てくるということなのか?
  • アリソン(タチアナ・マズラニー)とドニー(クリスチャン・ブルーン)のヘンドリクス夫妻は今回も最高でした。これだけ登場人物が多いタイトなシナリオの中、アリソンのミュージカルシーンもドニーの笑わせどころもちゃんと盛り込んであるのがすごい。
  • 前シーズンではちょい役にも見えたクリスタル(タチアナ・マズラニー)のキャラクター造形がどんどん深くなっていくところもよかった。タチアナの天才的演技に加え、メイクや衣装の芸の細かさが楽しかったです。

まとめ

半ば「ファイナル・シーズンであるシーズン5に追いつくため」という義務感で見始めたシーズンでしたが、終わって見れば「面白かった」の一言でした。謎の陰謀の大安売りでわけがわからなくなりかけていたストーリーをよくぞここまで整理し、求心力を取り戻したものだと思います。デルフィーヌがらみのストーリーラインも、なんだかんだ言ってよかった。本国では今、シーズン5の最終話が終わった(2017年8月12日放映)ばかりなんですが、こうなってみると最後まで見てこのドラマにさよならをしなければならないのがつらいなあ。でも続きが気になるから、もう北米版ブルーレイ(2017年9月14日発売)買って一気に見ちゃおうかなあ。

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米長寿昼ドラ『ザ・ヤング・アンド・ザ・レストレス』に初の同性愛展開 バックラッシュに女優がナイスな切り返し

The Young and the Restless: Celebrating 10,000 Episodes: Cast & Creators Live at the Paley Center by Jeanne Cooper

1973年から続いている米国のソープオペラ『ザ・ヤング・アンド・ザ・レストレス』で、初めて同性同士の恋愛関係が描かれました。保守派からの反発に対し、このカップルの片方を演じているキャムリン・グライムス(Camryn Grimes)が素敵な返しを見せています。

詳細は以下。

‘Y&R’ Spoilers: Actress Camryn Grimes Responds To A Fan Upset Over Mariah And Tessa Same-Sex Relationship

ことのおこりは同番組の2017年8月3月放映分で、マライア(キャムリン・グライムス)とテッサ(ケイト・フェアバンクス)というふたりの女性キャラの友情に「新たな側面」が描かれたことにありました。ネタバレしてしまうと、このふたりのキスシーンがあったんですよ。ちなみにこの瞬間まで、『ザ・ヤング・アンド・ザ・レストレス』は、米国で今放映されている昼ドラの中でLGBTQキャラがひとりもいない唯一の番組だったとのこと。

この展開はファンの間でたちまち議論を呼び、ボイコットを呼びかける人もいれば、Twitterでキャムリン・グライムスにこんな意見を投げかける人も登場しました。

訳:「『ザ・ヤング・アンド・ザ・レストレス』の脚本家があなたたちをレズビアンカップルとしてくっつければ、あなたの『ザ・ヤング・アンド・ザ・レストレス』での出番はもう終わりだ」。つまり、ソープオペラではレズビアンのストーリーラインはうまくいかないから、キャラがすぐ殺されてしまって、おまえの仕事はなくなるぞと言いたいわけ。

これに対してキャムリン・グライムスが淡々とつけているレスがいいんですよ。

訳:「この20年間ずっとやってきて、死んだのは1回だけ……だから、思い切ってやってみます」。

これにはちょっと補足説明が必要かも。キャムリン・グライムスは10歳のとき(1997年)からキャシーという子供の役でこの番組に出ていて、そのキャシーが2005年に死んだ後もキャシーの幽霊役で出演し続けてきた人なんです。さらに2014年には、「キャシーは実は双子でした」という強引なシナリオにより、キャシーの双子のきょうだいマライアとして復活。以後ずっとマライア役を演じてきたというわけで、なるほど、これなら今さらキャラが死ぬことなんか怖くないよね。ぜひとも「殺しても死なないレズビアンキャラ」として、昼ドラ界に君臨していただきたいと思います。

『スーパーガール』S3にマギーのホモフォビックな父登場 配役は『24』のカルロス・バーナード

24 Season 7
24 Season 7 / friskytuna

『24 -TWENTY FOUR-』のトニー・アルメイダ役で知られる米俳優カルロス・バーナードが、『スーパーガール』S3でマギー・ソウヤーの父親役を演じるそうです。そう、マギーのあのホモフォビックなお父さんが、ついにドラマ内に登場するの。

詳細は以下。

"Supergirl" Casts Maggie Sawyer's Homophobic Father For Season 3 | NewNowNext

『スーパーガール』は、DCコミックスを原作とするスーパーヒーロー物のTVドラマ。シーズン2では主人公スーパーガール/カーラ(メリッサ・ブノワ)の義姉アレックス(カイラー・リー)と女性刑事マギー・ソウヤー(フロリアナ・リマ)とのラブロマンスが描かれ、大いに話題になりました。このシーズン2で、マギーはティーンエイジャー時代にアウティングによって親にレズビアンであることを知られ、家を追い出されて、以後大変な苦労をしたと語っています。そのマギーを追い出した父親役を、新シーズンでカルロス・バーナードがやるわけ。

今年5月ぐらいの時点で、シーズン3ではマギーはレギュラーキャラとはならないことが報じられており、多くのファンをがっかりさせていたのですが、してみるとちゃんとマギーさんがらみのエピソードは作られるみたいですね。フロリアナ・リマによればこの役はもともとワンシーズン限りの予定だったのだそうで(そのためS3でレギュラーとして演じるにはフロリアナのスケジュールの都合がつかなかったということみたい)、そのキャラをS3に呼び戻し、さらなる掘り下げを実現させてしまったサンバース(アレックスとマギーのカップリング)人気おそるべし。ホモフォビックな父と非ヘテロの娘の対立シーンというと、『グレイズ・アナトミー』のカリーとお父さんの名場面が即座に脳裏に浮かびますが、あれに負けないぐらい充実した回になるといいなと思います。

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