石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。

プライド月間のあのダンサーがカーリー・レイ・ジェプセンのステージに

カット・トゥ・ザ・フィーリング

2018年8月、サンフランシスコの音楽フェスのカーリー・レイ・ジェプセン(Carly Rae Jepsen)のステージに、プロダンサーのマーク・カネムラ(Mark Kanemura)が登場。そう、6月のプライド月間に、カーリーの曲にのせたファビュラスなダンスをTwitterで披露していたあの人です。

詳細は以下。

Carly Rae Jepsen Brings Wig Snatching Viral Dancer to Outside Lands

マーク・カネムラは2005年にダンスオーディション番組『アメリカン・ダンスアイドル』(原題:So You Think You Can Dance)のファイナリストとなり、以降ダンサーとしてレディー・ガガのツアーなどで活躍してきた人。オープンリー・ゲイである彼は2018年6月、レインボーカラーの紙吹雪やヅラを駆使したコミカルなダンスをTwitterで次々に披露し、大いに話題となりました。うち2つだけ、以下に貼ってみます。

上記ツイートに添付されたダンス動画のBGMは、カーリー・レイ・ジェプセンの"Cut to the Feeling"。マークはもともとカーリーのファンであるようで、以前、カーリーのお誕生日を祝うこんなツイートもしています。

そしたら2018年8月10日、マーク・カネムラは、当のカーリー・レイ・ジェプセンの、サンフランシスコス・アウトサイド・ランズ(San Francisco's Outside Lands )音楽フェスティバルのステージに立つことになったんだそうです。曲目はもちろん"Cut to the Feeling"。映像は以下を。

this may be my favorite video from the show... it’s from the perspective of my sister @mtyok23 😭❤️ it makes me emotional to hear her screaming and cheering me on. she’s been there since we were kids seeing me do stuff like this so it meant the world to have her there for this!!! I was INCREDIBLY nervous, excited, and emotional going into this as this song has been such a big part of my past year, lifting me out of such a sadness I was in and helping me to get back into a fun, playful, creative life. It was also the first time I was hearing this song live, performing this live, and meeting Carly! And can we be honest, between the Red Bull I had before this, my extreme nerves and excitement, and my first time hearing this song live, that fan DID NOT stand a chance! 🤣🤣🤣🤣 #CutToTheFeelingFriday #CutToTheFeeling thank you @carlyraejepsen ❤️

Mark Kanemuraさん(@mkik808)がシェアした投稿 -

何度も楽しませてもらったダンス動画シリーズにこんなきれいなオチまでついて、うれしいわ。さすがはゲイ差別するアメリカボーイスカウト連盟のジャンボリーには出ない(大意)と言ったカーリー・レイ・ジェプセン、やることが粋よね。

今週の未紹介LGBTニュース(2018年8月12日)

ヴォーグ

マドンナの60回目の誕生日にLogoが特別企画

Logo Celebrates Madonna’s 60th Birthday With “Drag Race” and Music Video Marathon | NewNowNext

2018年8月16日に、マドンナが60歳の誕生日を迎えます。米国のTVチャンネルLogoがこれを記念し、マドンナにちなんだ番組を大量に放送する予定だとのこと。具体的には、8月15日の11:50PMから16日にかけて、以下のプログラムが放送されるんだそうです。

  1. 『ル・ポールのドラァグ・レース』S8とS9の"the Night of 1000 Madonnas"の回
  2. マドンナのMV(計4時間分)
  3. 16日には『ウィル&グレイス』にマドンナがカレンのいとこの「リズ」として出演した回
  4. 『ル・ポールのドラァグ・レース』S10

日本のTV局もどこかこういう企画をやるところがあるといいのに。マイケルがいなくなり、ホイットニーが旅立ち、プリンスもお星様になった今、ひとりだけ100まで生きそうなマドンナネエさんのお誕生日をたたえましょうよ。


米ドラマ『Pose(原題)』シーズン2は1990年を舞台に

Pose Season 2 Will Time-Jump to the ‘Vogue’ Era

『Pose』の共同クリエイターのライアン・マーフィー(Ryan Murphy)が、同ドラマのシーズン2はシーズン1最終話より1年先の1990年の話になると発表しました。1990年と言えば、マドンナが「Vogue」を発表した年です。このドラマはもともとニューヨークのアンダーグラウンドなダンスカルチャーを描くもので、マドンナは「Vogue」で初めてそのカルチャーをメインストリームの表現に取り込んだ人。そんなわけでVultureが「シーズン2にマドンナ本人が登場する可能性があるのだろうか?」と疑問を呈しているのですが、これ実現したらすごいですねえ。

なお1990年のマドンナのカッコよさをリアルタイムで見てなかった方は、以下をどうぞ。


コスタリカ最高裁、同性婚禁止を違憲と判断

Costa Rica Supreme Court rules against same-sex marriage ban - BBC News

コスタリカ最高裁が国による同性婚の禁止は違憲と判断し、18か月以内に法改正して同性同士の結婚を認めるよう立法府に命じました。フェルナンド・カスティージョ(Fernando Castillo)裁判官は2018年8月8日の記者会見で、たとえ立法府が法律を改正しなくても、18か月たてば自動的に同性愛の禁止が解除されると説明しています。なお、上に貼ったツイートのプラカードのスペイン語はこんな意味です。

ぼくはぼくの国で彼と結婚するよ

Yo me voy a casar con él en mi país

ゲイのネイティブアメリカン女性がカンザス州予備選で逆転勝利

今秋の米中間選挙に向け、2018年8月7日、米国カンザス州で予備選挙がおこなわれ、第3議会地区の民主党下院議員候補にゲイのネイティブアメリカン女性のシャリス・デイヴィッズ(Sharice Davids)氏が選ばれました。

もし本選で勝てば、デイヴィッズ氏はカンザス州初のオープンリー・ゲイの議員に、そして米国初のネイティブアメリカン女性議員になる可能性があるとのこと。

そういえば今年の中間選挙では女性候補が過去最多になっていて、他の州でもネイティブアメリカン女性やイスラム系女性が下院議員候補に選ばれているんですよね。白人ヘテロ男性による政治がだいぶアレなことになってきて、新しい風が求められているのかも。

サマンサ・ビー、「レインボーのユニコーンに乗ったユニコーンのトランプ」の着ぐるみでショーン・スパイサーをおちょくる

Samantha Bee Crashed Sean Spicer's Book Tour with a Trump Unicorn Rainbow Costume: WATCH - Towleroad Gay News

米国のコメディアンのサマンサ・ビーが、ショーン・スパイサー(Sean Spicer)前米大統領報道官の出版記念パーティーに「レインボーのユニコーンに乗ったユニコーンのトランプ」というややこしい設定の着ぐるみ姿で現れました。実はスパイサーはトランプについて「彼はユニコーンです、虹の上を飛ぶユニコーンの上にまたがっているのです」と形容したことがあり、このことばはスパイサーが今回出した本の中にそのまま収録されているのだそうです。そこでサマンサは、もしそれが本当だったらどんなにアホらしい図になるかを実際にやってみせたというわけ。

だいたいレインボーもユニコーンもLGBTコミュニティを象徴するものなのに、アンチLGBTなトランプをそんな風に形容すること自体がおこがましいわ。それに気づかない(または、気づいてもなおウソをついてる)あたり、スパイサーもさすがはトランプの元側近よね。

『ドラァグ・レース』のコートニー・アクトが11歳のドラァグクイーンにメッセージ

Boy, 11, reveals wearing drag helps him with his confidence - Attitude.co.uk

英国のTV番組『Loose Women(原題)』に出演した11歳のドラァグクイーン、ヴァイオレット・ヴィクセンに、『ル・ポールのドラァグ・レース』シーズン6出演者のコートニー・アクト(Courtney Act )が励ましのメッセージを贈っています。

ヴァイオレット・ヴィクセンは、リオ・ノウクス(Leo Noakes)くんの創り出したドラァグキャラ。お母さんのリアンヌ(Leanne)さんによれば、リオくんは「ぼくは男で、自分が男だということが気に言っていて、ペニスがあるからと言ってドレスを着ちゃいけないってことはない」と言っているのだそうです。誰だって人と違っていていいし、なりたい自分になることで自信がつくというのがリオくんの考えだとのこと。学校でいじめにも遭ったリオくんですが、いじめっ子に対する彼の意見は「誰にも害を与えてなくて、何も悪いことをしていない人を憎むことになんで時間を割くの? いったいいつになったら、受け入れて楽しめるようになるわけ?」だそうです。

コートニー・アクトは、そんな彼を称賛するビデオメッセージを贈っています。要約すると、リオくんはジェンダーを服に当てはめないといけないなんてばからしいということを教えてくれていて、彼の意見は筋が通っているというのがコートニーの意見。あたしもコートニーに賛成だわー。


『Neighbours』にゲイ・ウエディングの場面 豪TV史上初

Neighbours has released a wonderful clip of the first gay wedding on Australian TV · PinkNews

オーストラリアのソープオペラ『Neighbours』が、同国のTV史上初となる男性同士の結婚式の場面を含むトレイラーを公開しました。結婚するのはアーロン・ブレナン(Aaron Brennan)とデイヴィッド・タナカ(David Tanaka)というキャラで、放送は2018年9月3日だそうです。

トレイラーはこちら。


キャメロン・エスポジートとリア・ブッチャーが別離を発表

Cameron Esposito and Rhea Butcher Are Parting Ways | NewNowNext

レズビアンのコメディアン同士の既婚カップル、キャメロン・エスポジート(Cameron Esposito)とリア・ブッチャー(Rhea Butcher)が、「別々の人生を歩むため、しばらく別れる」とTwitterで発表しました。

このカップルはふたりで組んだ仕事もいろいろしていたので、ちょっとびっくり。でもまあ、こういうこともあらあな。

Back to Back [Explicit]

Back to Back [Explicit]

リトアニアのLGBTQ団体オフィスに放火

Lithuanian LGBTQ Rights Group's Office Set on Fire | NewNowNext

リトアニアのLGBTQグループ「Lithuania Gay League」の玄関ドアに2018年8月10日、何者かが可燃性の物質をかけて火をつけました。

警察はこの事件をヘイトクライムとして捜査していないそうですが、同団体のEglė Kuktoraitėさんは、LGLの窓にはレインボーフラッグがあり、オフィスの近くにレインボーの横断歩道もあるので、行き当たりばったりの犯行ではありえないと話しています。

ちなみにリトアニアというのは、ゲイは屍姦者や小児性愛者と同じぐらい悪いとして「ゲイはリトアニアから出ていくべきだ」と言ったペトラス・グラジュリス(Petras Gražulis)が国会議員をやっているところです。

ゲイポルノ男優がウエストハリウッドでヘイトクライムの的に

Men.com and Raging Stallion Performer Wesley Woods Assaulted in Anti-Gay Hate Crime: VIDEO - Towleroad Gay News

ゲイポルノ男優ウェスリー・ウッズ(Wesley Woods)が米国カリフォルニア州ウエストハリウッドで親友と一緒にいたところ、3人の白人から殴打されてけがをしたと話しています。唇と鼻に生々しい傷が残る顔で、彼は以下のようなビデオメッセージを発表しました。

一部訳:

敵はきみを不安にさせたがってる、敵はきみをノーマル(正常)の概念に無理やり押し込みたがってる。ぼくも、きみも、いや人間は誰だって、「ノーマル(正常)」なんかじゃない。人は皆本当の自分でありたいと思いながら、与えられたものを使って、できるかぎり最高の人生を送ってるんだ。隠れるな、自分の居場所を求めて戦え、いつだって自分自身でいろ。

The enemy wants u to be afraid, they want to force you into their idea of normal. I am not, you aren’t, none of us are— “normal.” We live this life the best we can w/ what we’ve been given in hopes of being our true self. Do not hide, fight for your space to exist & ALWAYS be YOU

念のために言っておくと、日本人の多くになぜか支持されている「ノーマルとは異性愛(者)のこと。LGBTはノーマルではない」という考え方は間違いですからね。英語でもスペイン語でもフランス語でも、"normal"という語に「異性愛(者)」という意味はありません。そもそもこの語の語源となるラテン語の"normalis"にも、「異性愛(者)」という意味はありません。この語の意味はあくまで「正常な、健康な、標準の」etc.です。

そして、なぜ現代日本で「異性が好きな人のことを『ノーマル』というのだ」と誤解している人が多いのかというと、19世紀末に西洋の精神医学から出てきた「シスジェンダーの異性愛者(シスヘテロ)こそが『正常で健康で標準的(ノーマル)』なのであり、この枠に入れない者は病気である」という発想が、ねじれたかたちで残ってしまっているから。この「シスヘテロ=ノーマル」説にはつまるところ科学的根拠はなく、この説は性的少数者を「治療」と称して虐待したり、刑務所に送り込んだり、殺したりするのに利用されただけでした。現在、医学・心理学・精神保健のプロフェッショナルの機関で「シスヘテロ=ノーマル」という考え方を支持しているところはありません。少なくとも英語圏で今、そんな人殺しの自己正当化を平気で口に出せるのは、19~20世紀にさんざん行われたようなLGBTの人々への迫害を今でも続けたがっている人だけです。そう、「ノーマルではないから」とゲイタウンでゲイを殴って、上の動画のウッズさんのような怪我をさせるような人だけ。

多数派のセクシュアリティを「ノーマル」と呼ぶのはそれだけ危なっかしいこと(だいたい何を『ノーマル』とし何を『ノーマルでない』とするかを決める権力を誰が持っているかという視座も必要よね)なので、外国語がわからない・辞書をひくつもりもない・古い(19世紀の)知識をアップデートするのも面倒くさいとお考えの日本の性的マジョリティのみなさまにおかれましては、せめて「異性愛(者)」という無害な日本語表現を覚えて、それをお使いになってくださればよろしいのにと思います。「ぽけもんではのーまるはわるいいみのことばではありません!」とかなんとか言い張っても無駄ですよ、ことばには文脈ってものがあるんですから。

ゲイフレンドリーなはずの英ブライトンでホモフォビックな事件頻発

英国のゲイフレンドリーな街ランキングではかならず上位に入る(例1例2)ブライトンで、ホモフォビックな暴力や脅迫が立て続けに起こっています。以下、列挙。

キングスロードのケバブ屋で男性2人を殴打 あごの骨を折る重傷

Police hunt for thugs who broke man’s jaw in Brighton homophobic attack · PinkNews

2018年6月7日、ブライトンのキングスロードにある持ち帰り料理店「シーサイド・ケバブ」で、3人の男が21歳と22歳の男性ふたりに対し「同性愛に関する軽蔑的な発言」("derogatory comments about homosexuality")をしました。3人は21歳男性を殴打してあごの骨を折り、顔面に縫わなければならないほどの切り傷を負わせたほか、22歳の男性の顔にも軽いけがをさせたとのこと。サセックス署は容疑者らはロンドンから来たと考えており、防犯カメラの映像を公開して情報を求めています。

子連れの女らがゲイとみなした男性を罵倒 ワインの瓶を後頭部に叩きつける

Asda shopper smashed over head with bottle of wine in homophobic attack | The Argus

2018年8月4日、ブライトン・イベントから帰る途中だったオーウェン・サイアド(Owen Syred, 52)さんをゲイだと考えた子連れの女ふたりが、「太ったオカマ」「太った変態」などと言ってサイアドさんをののしり、スーパーの中までつきまとって暴れ、ワインの瓶を頭に投げつけました。サイアドさんはこのため左耳が聴こえなくなったと言っています。

電車内のブライトン・プライド参加者を刺すと脅した男を逮捕

Exclusive: Man threatens to stab ‘ungodly’ Brighton Pride attendees in horrific anti-gay tirade · PinkNews

2018年8月5日、ブライトン・プライドから帰る人々で満員の電車内で男が車内のゲイを全員刺し殺すと発言し、鉄道警察に逮捕されました。男は「オカマをオカマと呼んでなぜ悪い」「おまえらは恥だ」「くたばれ」などと言い連ねたのち、ゲイは殺されて当然だから、今からナイフを取り出しておまえらを刺す、刺してから正当防衛と主張するなどと叫んでいたとのこと。

男と同じ車両に乗り合わせ、Twitterに上記動画を投稿をしたジャーナリストのベンジャミン・バターワース(Benjamin Butterworth)さんは、PinkNewsに対し以下のようにコメントしています。

「ブライトン・プライドはとても楽しかったし、ブリトニーを見ながら過ごした夜を台無しにするのはとても難しいです」と彼は語った。

「でも、わたしは間違いなく怖かったし、ほとんど泣きそうになりました。人はよく、『どうしてまだプライド・イベントが必要なの?』と訊くものですが、

プライドを祝った後、ゲイは殺されて当然なんだと言われることなく電車に乗って家に帰ることすらできないというのは、問題があるってことなんですよ」

“I had a great time at Brighton Pride and it’s pretty hard to ruin a night spent watching Britney,” he said.

“But I was definitely scared, almost crying.

“When you can’t even get the train home from celebrating Pride without being told you deserve to be killed for being gay, there’s a problem.”

ここで言う「ブリトニー」とは、今年のブライトン・プライドに出演していたブリトニー・スピアーズのことです。彼女が来ることもあってか、今年のパレードには30万人以上の人が集まったと言われています。ひょっとして、ゲイがたくさん集まるところにはホモフォーブもたくさん集まるってことなの?

ギャグ動画「もしシス男優が、トランスが監督する映画のシス男性役オーディションを受けたら」

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PRIDEが、もしシスとトランスが反転した世界だったら映画のキャスティングはどうなるかを描いたギャグ動画を発表しました。

動画はこちら。

この動画の主人公は、シスジェンダーの(性別違和のない)男性俳優です。この世界ではシスジェンダーの人々はマイノリティで、シスのキャラクタが出てくる映画は貴重だという設定になっています。そんな貴重なシスジェンダー男性の役に応募した彼に、トランスジェンダーの監督ふたりはこんな対応をしています。

  • 男性主人公を本人のジェンダーとは異なる代名詞(『彼女』)で呼ぶ
    • それについて抗議されて、「あなたの性的指向は理解しています」と返事し、性的指向とジェンダー・アイデンティティの区別すらついていないことを露呈
    • そしてまたうっかり「彼女」と呼ぶ
  • 正真正銘シスジェンダーの主人公を「シスジェンダーらしさが足りない」と評価
    • 主人公から「自分自身がシスなのに、シスがどう見えるかをぼくが理解していないとでも?」と抗議され、「あなたは本物の男に見える」と答える。つまりマイノリティの男性は本物の男に見えないはずだと思っている
  • そもそも「シスジェンダー」という語すら正しく言えない。その程度の知識しかない
    • 知識不足をとがめられ、彼ら(非トランスの人々)は新しい用語を毎週思いつくからついていくのが大変なのだと言い訳する
    • だからラヴァーン・コックスにこの役をやらせようと言ったんだ」と言い出す
    • 「シス男性の役をトランス女性にやらせるんですか」と言われ、「ラヴァーン・コックスの方が知名度が高い」「シス男性になるのなんて簡単」などと言いつのる
  • シスの役者はオーディションを受けさせてもらうだけで大変なんだと説明されても、笑いながら「努力が足りない」と言う
    • それでも主人公からいかにシスの役はステレオタイプばかりで、シスの役者がキャスティングから排除されているかについて熱弁され、ついに彼を雇うと決める。でもそこで「ひとつ質問があるんだけど」と前置きして口にするのは「あなたの性器はどうなってるの?」

これ全部、現実世界でトランスの役者がやられていることを反転させた構造になっています。つまり、「トランスジェンダー」という単語も、その意味するところもよくわかっていないシスジェンダーのクリエイターがトランスキャラが出てくる映画を企画し、本物のトランスの役者を「トランスらしさが足りない」と排除し、そのくせトランスの役者の仕事をシスの役者が奪っているという認識はなく、トランスの経験を侮っていて、トランスの雇用問題を個人の知名度不足や努力不足のせいにし、あげく聞きたがるのは仕事とは関係ない性器の形状のことばかり……という、実際にハリウッドで起こっていることを皮肉る内容になっているわけ。

Netflixオリジナル映画に、男女の立場を逆転させたパラレルワールドを通して現実の性差別を浮き彫りにしてみせる、『軽い男じゃないのよ』というコメディがあります。この動画はそれのシス/トランス版みたいだと思いました。立場をひっくり返してみて失礼なことは、ひっくり返す前もやはり失礼だってことですね。

『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』はシーズン7で終了(ローラ・プレポン談)

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Netflixドラマ『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』のアレックス役のローラ・プレポン(Laura Prepon)が、The Hollywood Reporterのインタビューで、現時点では同ドラマはシーズン7で終了する予定だと話しています。

詳細は以下。(注意:リンク先の記事はシーズン6のネタバレを含みます)

'OITNB': Laura Prepon on Alex and Piper's Future, Season 7 | Hollywood Reporter

上記リンク先で、ローラはインタビュアーからシーズン6でのある出来事が物語の大詰めを早めると思うかと訊かれ、「ええと、大詰めはもうそこまで来ているんですよ。今のところ、シーズン7がこの番組の最終シーズンです。だから大詰めははっきり見えています」("Well, the endgame is there. As of now, season seven is our last season. So, the endgame is clear.")と話しています。番組が終わってしまえばもちろん悲しくなるだろうけれど、OITNBという「奇跡」("lightning in a bottle")に参加できたことを幸運と思わなければならないと彼女は考えているとのこと。ネット配信全盛のこの時代に視聴者を7年も引っ張れるドラマは稀だし、世界で今起こっていることについて同時進行でメッセージを発してきたドラマに加わったことの「すばらしさと前向きさ」("the beauty and positivity")に目を向けたいとローラは言っています。

そういえばOITNBがS7まで作られるという予定が2016年に発表されて以来、それ以上の更新の話って出てませんよね。でも、そもそも現実のパイパー(原作者のパイパー・カーマン)の刑期はたったの15か月だったんだし、このへんがいい落としどころなのかも。人気絶頂の中、あえて話を引き延ばさず圧巻のラストまで駆け抜けた『ブレイキング・バッド』のように、OITNBにもみごと有終の美を飾ってほしいと思います。

罵倒されたらラメで反撃。英国ゲイ男性のつぶやきがヴァイラルに

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通りすがりの車からアンチゲイな言葉で罵られた英国のゲイ男性が、プライド・イベント用に買ってあったグリッター(ラメパウダー)を有効活用したとTwitterで報告。大きな話題を呼び、BBCにも取り上げられています。

詳細は以下。

When glitter goes viral – Nick Hurley – Medium

マンチェスター在住のこの男性、ニック・ハーリー(Nick Hurley)さんは2018年8月3日、仕事帰りに道を歩いていたところ、通りすがりの車から"F****t!"(『ホ〇野郎』の意。強い罵倒語です)と罵られたのだそうです。そこで彼が思い出したのが、8月4日のブライトン・プライドで使うために買ったグリッターをちょうどそのとき持ち合わせていたということ。

で、こうなりました。

訳:

もしある人が、車でぼくの横を通り過ぎるとき窓からぼくに向かって「ホ〇野郎」と叫んでもいいと思っているのなら、その人が信号で車を停めたときに、ぼくがその窓越しにグリッターのボトルを空にしてもいいと思うんだ。

カジュアルなホモフォビアには、超ゲイな結果がついてくるんだよ。

日本時間で2018年8月9日現在、このツイートは2万回以上リツイートされ、16万件近い「いいね」がつけられています。Mediumによると、8月6日までで450万人以上の人がこのツイートを読んだそうです。さすがにこれだけ拡散されると見当違いのリプライも来たようですが、それに対してハーリーさんがつけた補足説明がまた面白いの。

訳:

ぼくのグリッター活動の環境負荷を心配している人もいるようなので、いくつかのポイントを挙げておきたいと思います。

  1. このグリッターは生分解性のものでした。
  2. その男は車(車ですよ!)を運転していました。
  3. あなたがたはぼくの話の肝心な部分を理解していないのだと思います。

この話を知って真っ先に心配するのが環境負荷って、すごい人もいたものですね。斉藤章佳著『男が痴漢になる理由』(イースト・プレス)に、逮捕されて刑に服する痴漢は家族や身近な人に迷惑をかけたことは心配する一方で、被害者の心情はまったく心配しておらず、それどころか被害者の存在そのものを忘れていると書かれていたのをちょっと思い出しました。痴漢は「自分がやっていることは、女性への加害であり許されない行為である」と気づいてしまうと痴漢行為が続けられなくなるため、記憶を都合よく改竄してしまうのだそうです。ひょっとしたら、元ツイートを読んでグリッターによる環境負荷のことばかり気にし始める人も、結局は「ゲイをホモフォビックな語で罵倒することは、ゲイへの加害であり許されない行為である」と気づきたくないのかもしれませんね。

米国郵政公社職員がゲイカップルに罵倒語をぶつけ配達拒否 オハイオ州

USPS United States Postal Service White Delivery Truck 1/43 Scale Mail Truck by Enigmatoys

米国オハイオ州コロンバスのゲイカップルが、米国郵政公社職員の女性職員からアンチゲイな語で罵られ、郵便物をもう配達しないと脅されたとして、争いの一部を記録した動画を公開しました。

詳細は以下。

Gay Couple: US Postal Worker Called Us Homophobic Slur, Said She'd Stop Delivering Our Mail - WATCH - Towleroad Gay News

事件が起こったのは2018年8月7日のこと。動画によると、ゲイ男性のマイケル・カワード(Michael Coward)さんが自宅前の集合ポストのところに米国郵政公社の車が来ているのを見て、自分の家のポストから郵便物を出そうとしたところ、配達作業が全部終わらないうちに郵便物に触れられることを嫌がった郵政公社職員から"f****t"(『ホ〇野郎』の意。強い罵倒語です)と罵られて、そこから言い争いになったんだそうです。

「それから彼女はずっとずっとずっと、わたしと婚約者が白人のホ〇野郎であることに文句を言い続けました」とカワードは言った。

「そう、ただのホ〇野郎じゃないんです」と、婚約者のマイケル・ヴォーンは言った。「白人のホ〇野郎と言ったんです」。

“And then she just kept going on and on and on about me and my fiance being white faggots,” Coward said. “Yeah, not just faggots,” his fiance Michael Vaughn said. “White faggots.”

郵政公社職員はこの罵倒語を10回以上使ったのみならず、カワードさんらの郵便受けからふたりの名前を取り去ってしまい、もう郵便物は受け取れないと言ったとのこと。

これに対し米国郵政公社は、8月7日の夜、「このような行動がもし事実であるならば、それは郵政公社の価値観にそぐわず、またその価値観を代表してもいないもので、許容することはできません」とする声明を発表しているそうです。

ちなみにオハイオ州コロンバスって、過去にこういうことがあった場所ですね。

何でもスマホなどで記録して証拠を残しておくことと、泣き寝入りしないことが大切だと思います。

焼き殺されたゲイカップルの追悼プレートが汚される 仏パリ

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パリのモントルグイユ(Montorgueil)通りの敷石には、18世紀に同性愛者であるために焼き殺されたカップルを追悼する記念プレートがはめ込まれています。そのプレートが塗料で汚され、チラシで覆われているのが発見されました。

詳細は以下。

Vandals deface plaque to executed French gay couple


写真はこちら。

汚される前と後との比較写真はこちら。

このプレートは、1750年に同性愛行為の罪で逮捕されてパリ郊外で火刑にされた、20代の靴直し職人Bruno Lenoir氏と、40代の従者Jean Diot氏を追悼するもの。フランスが同性愛を非犯罪化したのは1791年で、このふたりは同国でゲイだという理由で死刑に処せられた最後のカップルなのだそうです。

今回プレートに貼り付けられたチラシの文面を直訳すると「子供を作るためには、わたしは男(人間)で、ゲイじゃない」という不思議な内容となるのですが、これについてはTowleroadのコメント欄の以下の指摘が興味深かったです。

この文章(("Pour faire un enfant: je suis un homme et pas un gay")はどう見ても流暢なフランス語じゃない。わたしはむしろ、「子供を作るためには男が必要だ、ゲイではなくて」のようなことが書いてあるんじゃないかと思っていた。ここに書かれているような、(『子供を作るためには、わたしは男でゲイじゃない』)という文ではなくて。

The text ("Pour faire un enfant: je suis un homme et pas un gay") certainly doesn't suggest fluent French. I'd have expected something more like "To make a baby, it takes a man, not a gay" ("Pour fair en enfant, il faut un homme pas un gay") rather than what was written ("To make a baby, I am a man and not a gay.")

ということはフランス語が第一言語でない人か、第一言語であっても標準的な文章を書くのが苦手な人の犯行なのかしら。

ちなみに2018年5月にも、この記念プレートに供えてあった花が燃やされるという事件が起こっているのだそうです。でもまあ驚かないわ、1998年の反パックス運動のとき、同国にどれだけひどいヘイトスピーチが満ちあふれ、ホモフォビックな暴力が起こったか知ってるから。以下、『〈同性愛嫌悪(ホモフォビア)〉を知る事典 』(ルイ=ジョルジュ・タン編、明石書店)から引用しますが、2018年の日本でも大変好まれているこんな意見が大真面目に主張されてたんですよ。

  • 「社会を構成する構成員の再生を行うのに不適切な同性愛は、本質的に社会にとって致命的な行いである」(ジャン=リュック・オベール[フランスの法律家、パリ第一大学名誉教授]、1997年12月17日)
  • 「同性愛は社会の退廃、病気である。マイノリティを考慮に入れることはできない」(保守系大衆紙『フランス・ソワール』の法律解説)
  • 「私は大声で叫ぼう。同性愛者でありながら幸せになることはできないと断言してもよい」(セバスティアン『ゲイになるな、不幸になるぞ』(1998))

それでも反パックス派は敗れて(1999年にパックス法が成立し、2013年には同性婚およびゲイによる養子縁組を認める法律が成立)、今があるわけです。今さらこの程度の古典的な憎悪扇動に怯むと思ったら大間違い、拳を突き上げて「ふざけんな」って言い続けるのみだわ。