石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

レナ・ルーサーにしとけばいいのに―ドラマ『スーパーガール』2x18感想

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ヘテロ(?)って大変ねー……

レナ・ルーサー(ケイティ・マクグラス)の元彼ジャックが登場する回。脚本もケイティ・マクグラスの色気も大変良くて、なぜカーラ(メリッサ・ブノワ)がレナではなくモン=エル(クリス・ウッド)などとつきあっているのかますますわからなくなりました。レナにしとけばいいのに。ヘテロ(なのか、カーラは?)って大変ね。

そうは言っても今回のモン=エルにはあのウザいフラット・ボーイ臭がなく、コメディリリーフとしていい味出してはいるのですが、これまでさんざん描かれてきた自己中心的なボンボン路線の負債を埋め合わせるにはまだ足りない感じ。一応前回(S2E17)のエピソードには「人は変われる」というテーマがあり、変われた例がモン=エルだということにされてはいたのですが、彼の場合は変化したというよりシナリオの都合で行き当たりばったりに人格のスイッチが切り替わっていると言った方が正確だと思います。説得力がないのよ、変化に。

そこへいくとレナ・ルーサーの人物描写はもっと気が利いているように思います。

  • 排外主義の冷酷女にしか見えないエイリアン探知機のエピソード(S2E3)
  • 母リリアンを裏切って異星人を救う姿(S2E8)
  • ルーサー家の決して暖かくはなかった生育環境と、その中で唯一味方になってくれた兄への愛(S2E12)

……などをひとつひとつ積み上げて彼女の人間性を多面的にとらえ、その上で今回、彼女の「善人でありたい」という根源的な苦悩にスポットライトを当てていくという丁寧さがとてもいいと思いました。このS2E18でレナは大きな決断をすることになるのですが、そこでの思い切りの良さもまたすばらしかった。以前レナから花をもらったカーラが、今度はレナに花を贈るという展開も心憎いです。これでお互い花も贈り合ったことになるし、もう恋人同然じゃん。レナにしときなよカーラ。

……でも台詞の上ではひたすら「友達」と強調されているところを見ると、たぶん百合展開はないんだろうなー。あの花も友情の象徴だということになっているのでしょう、少なくともオフィシャルには。

ちなみに今回はアレックス(カイラー・リー)の出番が極端に少なく、サンバース(アレックスとマギーのレズビアンカップル)のロマンスはまったく描かれていません。全体としてはテンポのいいよくまとまった話で、格好いい決め台詞も多かったです(特にレナに)。

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ドラマ『スーパーガール』関連記事

今週の未紹介LGBTニュース(2017年6月18日)

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  • 米ハイスクールのプライド月間のメッセージがペンキで塗りつぶされ、「トランプ」と大書される




レズビアン警官、身を挺してアンチゲイな共和党議員らを銃撃から救う バージニア州事件で

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2017年6月14日に米国バージニア州で共和党議員らが銃撃を受け負傷した事件で、アンチゲイなレイシストのスティーヴ・スカリス(Steve Scalise)議員を黒人レズビアンの警官が身を挺して救っていたとわかりました。

詳細は以下。

Heroic lesbian cop saved anti-LGBT Republican lawmakers during baseball shooting · PinkNews

スカリス議員はかつて同性婚を「不正」、「国家に対する連邦の侵入行為」と呼び、さらには米国で同性婚できないようにする憲法修正案の共同提案者もつとめていた人。白人国粋主義者のヘイトグループが主催した集会でスピーチをしたこともあり、レイシストとしても批判されています。

皮肉なことに、バージニア州銃撃事件の日にこのスカリス議員の警護を担当し、自らもかかとを撃たれながら銃撃戦で犯人を制した警官は、黒人のレズビアンで、しかも女性と結婚しているクリスタル・グライナー(Crystal Griner)さんだったのだそうです。現場に居合わせた議員の話ではこの日、犯人は50発から100発の弾丸を発射していたとのことで、スカリス議員もまた被弾してけがをしています。しかしながら容体は安定しており、回復する見込みだそうで――さて、この議員さん、今後自分が黒人の既婚レズビアンに助けられたことをどう受け止めるんでしょうね?

グライナーさんのヒロイックな行動を受けて、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム(Gavin Newsom)副知事がこんなツイートをしているところも面白かったです。

訳:「合衆国議会警察の、LGBTコミュニティのメンバーが昨日、婚姻の平等に反対する下院議員の命を救いました。あなたは何をしたのですか、サー?」。

これにはちょっと解説が必要かも。ニューサム副知事がツイートに貼っているニュースは、共和党寄りのFOXのコメンテイターが、6月12日にニューヨークでおこなわれたナイトクラブ「パルス」の銃撃事件の追悼式を「極左の銃反対派」の「ラディカルなイデオロギー」などという形容であげつらい、追悼式の出席者の中には銃規制を推進したがっている者がいると不満を述べたというもの。このコメンテイター、チャドウィック・ムーア(Chadwick Moore)氏の意見では、「ほとんどの同性愛者はポリティカルではなく、ポップ音楽と浜辺に行くことしか関心がない」のだそうですよ。そのわずか2日後、銃を持ったレズビアンの警官がFOXニュース好みの(そしてアンチゲイでレイシストの)共和党議員の命を救ったとは、なんという皮肉かというわけ。

ちなみにこのムーア氏もまたゲイなのだそうですが、ニューサム副知事のこのツイートに対しては、切れ味の鈍い負け惜しみのようなツイートしか返せていないようです。何はともあれ、負傷したグライナーさんの一日も早い回復を祈ります。彼女こそヒーロー。

スキットルズがプライド月間中あえて虹色をやめるわけ

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米マース社のブランド・リグレーのカラフルなキャンディ「スキットルズ」が、あえて6月のプライド月間に、いつものレインボーカラーとは違う色のバージョンを売り出すのだそうです。その理由とは。

詳細は以下。

Skittles dumps its rainbow for a very gay reason · PinkNews

通常、スキットルズのパッケージと中身はこんな色合い。食べたことはなくても海外のドラマや映画なので見かけたことはある人は多いのでは。

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それが2017年の6月、こんな限定白黒バージョンが登場するとのこと。

理由は上のツイートに書かれている通り、「プライド月間の間、注目を集めるに値するレインボーはひとつだけ」だから。

この限定バージョンのCMはこちらです。

なお、この限定版が買えるのは英国のスーパーマーケット「テスコ」チェーンだけで、売り上げからテスコのLGBT+チャリティに寄付がおこなわれるとのこと。

興味深い試みですが、ひょっとしたら色の選定にはもう慎重になった方がよかったのかも。というのは、プライド月間に白を基調としたデザインを出すということが、あたかも白人のプライドを祝っているように見えるという理由で、「レイシストだ」と批判している人もいるから。詳しくは以下を。

とりあえず上記リンク先によると、リグレーのスポークスパーソンはこのキャンペーンへの反応は「ほとんどがポジティブな」ものであると述べているそうです。20世紀生まれのあたしなんざ、反射的に「色を白黒にしただけでレイシストなら、昔の白黒写真や白黒テレビも全部レイシストなの?」と思ってしまったのですが、ひょっとしたら生まれたときからスマホでYouTube見てる世代だとまた感覚が違ったりするのでしょうか? ううむ。

クラブ「パルス」の乱射事件一周忌式典にアンチゲイ説教師 警察が逮捕

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2017年6月12日、米フロリダ州オーランドのナイトクラブ「パルス」で、昨年同日起こった無差別乱射事件の一周忌追悼式が開かれました。式典には「ホモは全員地獄で焼かれる」などのアンチゲイな看板を掲げた男があらわれ、警察に逮捕されたそうです。

詳細は以下。

WATCH: Crowds cheer as anti-gay protestor arrested outside Pulse on anniversary of Orlando shooting

ゲイクラブ「パルス」では2016年6月12日、20代の容疑者オマール・マティーンが軍用ライフルと9ミリ拳銃で計49人を射殺し、その後本人も警察に射殺されるという、米現代史上最悪最悪の銃撃事件が起こっています。その犠牲者を偲ぶ今回の式典にさえ、やはりアンチゲイな人々が現れ、「極端に宗教的なことば」を叫びながら以下のようなプラカードを掲げたのだそうです。

「警告する。ホモどもはオカマ同様地獄で焼かれるのだ」

‘Warning: All homos will burn like faggots in hell’

「罪=死」

‘Sin = Death’.

警察は抗議者3人のうちひとりを逮捕。群衆からは歓呼の声が上がったとのこと。

この日の式典では、49人の人々が天使の羽根をつけて行進したのですが、

実はこの羽根は犠牲者の葬儀の際、式に押し掛けてくるアンチゲイな人々から犠牲者の家族を守るために使われたのと同じものなのだそうです。あんなにたくさんの人が殺されても、そしてそれから1年経っても、こうやって守らなければならないほどひどい憎悪をぶつけに来る人が後を絶たないことにぞっとさせられます。抗議者ではなくゲイの側が逮捕されていた大昔よりはましだとは言え、やりきれない思いでいっぱい。

コロンビアでゲイ男性3人のポリアモリー婚が認められる

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南米コロンビアで2017年6月12日、ゲイ男性3人のポリアモリー(複数愛)世帯が法的に認められたことが明らかになりました。同国では2016年から同性婚が法制化されていますが、ポリアモリー婚が認められたのはこれが初めてだそうです。

詳細は以下。

同性愛の男性3人が家族に コロンビア、初の「ポリアモリー婚」

上記リンク先を読んで、「他国にも似たような話があったよね?」と自分のブログの過去記事を掘り起こしてみたところ、ブラジルと米国の例が見つかりました。

ただ、このブラジルの3人は結婚ではなくシビルユニオン登録ですし、米国でもやはり結婚ではなく、弁護士に依頼して資産などの権利が均等にできるよう書類手続きを済ませてあるという関係なんですよね。そこからさらに一歩踏み込んだというのが、今回のコロンビアの動きのユニークなところ。

スペイン語で検索してみたところ、この3人のインタビュー映像が見つかりました。

3人のうちひとりが「こうなることは予測していませんでした。リッキー・マーティンがカミングアウトしたときと同じくらい、こんなにも人々から支援されるとは思ってもいなかったんですよ」と言っていて、「たとえにリッキー・マーティンが出てくるあたりがさすがスペイン語圏」と思ってしまいましたよ。どうぞ3人でこれからもお幸せに。

セルビアにオープンリー・レズビアンの首相誕生

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セルビアのオープンリー・レズビアンの政治家、アナ・ブルナビッチ(Ana Brnabic)氏が、2017年6月15日、同国の首相に任命されました。同性愛者であることを公表している人物がバルカン半島で首相の座につくのは、これが初とのこと。

詳細は以下。

セルビア首相に同性愛公表の女性、バルカン諸国初

おおまかないきさつは上記リンク先のAFPの日本語記事を読んでいただくとして、ちょっとだけ補足。AFPで「セルビアは国民の大多数がセルビア正教を信仰しており非常に保守的」と書かれているのはずいぶん優しい表現で、実際には保守的を通り越してこんなことが起こっている国ですよ。

このほか2010年にはベオグラードのゲイ・パレードでアンチゲイな人々が警官隊とゲイ活動家に爆発物を投げつける騒ぎがあり、約100人がけがをしていますし、2014年にはゲイの権利会議に出席した人がガラスの灰皿で頭部を殴られて重傷を負うという事件もありました。そのセルビアで同性愛者の首相が誕生したことに、ちょっとびっくりしています。やっぱりEU加盟交渉の影響もあるのかしら。ILGA-Europeによると今年のベオグラード・プライドのパレードは9月17日に予定されているとのことですが、キリスト教原理主義者や右翼過激派からのバックラッシュが起こらないかと心配です。