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石壁に百合の花咲く

いちレズビアンによる、LGBTニュース&ガール・オン・ガールのポップカルチャー備忘録

トランプ就任式で歌った歌手、トランスジェンダーの姉の権利を今になって心配(遅いよ!)

LGBTニュース トランスジェンダー ゲイ

Awakening

米国のトランプ大統領就任式に出演した歌手のジャッキー・エヴァンコが2月22日、トランプ政権の「トイレ法」に関する政策への失望を表明しました。ジャッキーの姉はトランス女性なんだそうですが、それでなぜこうなるとわかっていなかったのか謎。

詳細は以下。

Trump’s inauguration singer is upset with him for attacking her trans sister’s rights · PinkNews

まず「トイレ法(bathroom bill)」というのは、トランスジェンダーの人々が性自認通りの公衆トイレ等を使う権利について規定する法律のことです。オバマ政権下では、性差別を禁じた連邦教育法第9編(Title IX)を根拠とし、公立学校はトランスジェンダーの子供たちが性自認通りのトイレを使用することを認めねばならないとするガイドラインが示されていました。しかしトランプ政権は2017年2月22日、このガイドラインを廃止すると公式に発表。ホワイトハウス報道官のショーン・スパイサー(Sean Spicer)氏によると、トランプは「州の権利を固く信じており、このような事柄を連邦レベルで扱うのは最良ではないと考えている」とのことです。早い話が、各州が差別的な「トイレ法」を制定して、トランスジェンダーの子供たちが公立学校でさえ差別されるようになっても連邦政府は介入しないと宣言したってことですよこれは。

話をジャッキー・エヴァンコ(Jackie Evancho)に戻すと、彼女の姉であるジュリエット・エヴァンコ(Juliet Evancho)さんはトランスジェンダー女性であり、まさにこのトイレの問題で学校を相手に法廷で争っているところなのだそうです。で、ジャッキーがホワイトハウスからの発表を受けて2月22日にTwitterでつぶやいたのがこちら。

訳:「トイレの問題を州に決めさせるという大統領の判断に、はっきりと失望しています。#トランスジェンダー #姉妹愛」。

訳「ドナルド・トランプ、あなたの就任式で歌えて光栄でした。わたしと姉に、トランスジェンダーの権利について話をするためにお目にかからせてください」。

言いたいことはわからないでもないのですが、トランプ政権になったらトランスジェンダーの人々の市民権が危機にさらされ得るという懸念の声は前々から上がっていたはず。大統領選直後にはもう、トランスジェンダーの人々の間で、身分証明書のジェンダー変更ラッシュが起こっていたぐらいです。それなのに、今頃になって「失望した」って。気づくの、遅すぎない? いくら彼女がまだ10代だからと言っても。

もうひとつもやもやするのは、トランプがあれだけ移民はレイピストだとか国境に壁を作るとか言い続け、就任後も即移民排斥に乗り出したことはスルーで、身内のトランスジェンダー女性も差別の対象になるとわかったとたん「失望している」と言い出すという態度です。あたかも「有色人種のことはどうでもいいが、白人様の身内まで累が及ぶのは困る」と言ってるも同然じゃないですか、これじゃ。

これとちょっと似ているような気がするのが、最近伝えられたマイロ・ヤノポロス(Milo Yiannopoulos)の「ブライトバート・ニュース(Breitbart News)」辞任のニュースです。これは日本語でも報道されていますので、詳しくは以下をどうぞ。

あれだけ女性や非白人、トランスジェンダーの人々に対する憎悪扇動発言を全米で繰り広げていても「言論の自由」という名目で擁護され続けてきたヤノポロスが、小児性愛是認発言では一発でアウトとなったというのは示唆的だと思います。結局これも「白人様の身内(子供)が被害を受けるのは困る」というだけのことなんじゃないかと。そんなわけで、ジャッキーが失望しようとマイロが辞任しようと、あたしの頭の中では『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』シーズン4の「白人の権利! 白人の権利("White Lives Matter! White Lives Matter!")」というシュプレヒコールの場面しか浮かんでこないんでした。つらい。

軽妙なバレンタインデー・エピソード―ドラマ『スーパーガール』02x13感想

ドラマ 百合/レズビアン

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テンポがよくて見どころたくさん

バレンタインエピソード。前回のあのモタモタ感はどこへやら、テンポがよくてスリルも笑いどころもある、よくまとまった話でした。狂言回しのゲストキャラが醸し出す祝祭感が楽しいし、マギーの殺し文句もウィルの遅い春も、モン=エルの子犬っぷりもいいよ!

ほどよいドタバタ感とまとまり感

今回のあらすじは、五次元から現れた素っ頓狂な新キャラ、ミクシズペトリック*1(ピーター・ガディオット)がカーラ(メリッサ・ブノワ)に求婚し、物体を瞬間移動させる特殊能力で大騒ぎを起こすというもの。全体のトーンはディズニーのドタバタコメディーまたは『うる星やつら』風で、バレンタインデーというお祭り騒ぎによく合うにぎやかな話だったと思います。何より肝心なのは、話のつじつまが合っていたこと。前回や前々回みたいに、深刻な状況でキャラが呑気に別の話を始めたりしないの。細かい伏線も、小気味よく回収されてくの。現代の世相に合った話題もさりげなく織り込まれていましたし、アクションにも迫力があり、たぶんここ数話の中でもっともよくまとまっていた回だと思います。

今週のサンバース(アレックスとマギーの百合カップル)

今回のサンバースのプロットは、バレンタインデー嫌いのマギー(フロリアナ・リマ)とこの日をロマンチックに祝いたいアレックス(カイラー・リー)の間で喧嘩が起こり、最終的に仲直りをするというもの。大筋はベタと言えばベタですが、細かい部分がいちいち気が利いていて、最後まで楽しく見ることができました。

マギーの「あんな作り物のホリデーなんて!」というありがちな憎まれ口の陰にある過去は、世界中の多くの古傷持ちのレズビアン視聴者たちの紅涙を絞ったはず。そして、アレックスがたとえ陳腐でも恋人とバレンタインデーを祝いたいと願う理由も同様。結局、レズビアンだとどうしてもティーンエイジャー時代を異性愛規範によって叩き潰されてしまいがちで、その余波がマギーとアレックスとでそれぞれ違う方向に現れていたというだけのことなんですよね。だから最後にマギーが仲直りのために用意したシチュエーションには深く納得させられましたし、そこでの殺し文句の連発にはハートを撃ち抜かれすぎて死ぬかと思いました。ほか、アレックスの挙げるマギーの好きなもの4点など、キャラの新たな側面を積極的に見せていく部分もナイス。

唯一の不満は、サンバースが中心の回だと事前に宣伝されていたわりに、彼女たちの登場シーンが全部で5分にも満たなかったということです。エピソードの口火を切るのもトリを飾るのも結局カーラとモン=エル(クリス・ウッド)のヘテロロマンスでしたし、これではサンバースをダシにしてヘテロセントリックな話の視聴率を吊り上げようとしたようにしか見えません。サンバースの人気(実際、放映日には#Sanvers#HAPPY SANVERS VALENTINEがTwitterでトレンド入りしていたようです)にあやかりたいのはわかりますが、CWはもう少し広報の仕方を考え直した方がいいのでは。

ウィルにようやく春が!!

新キャラの異星人・ライラ(タムジン・マーチャント)が強くて個性豊かでいいなと思ったら、どうやら彼女はウィル(ジェレミー・ジョーダン)の新たな恋の相手になる模様。ウィルのライラへの接し方は、前回(S2E12)描かれたメタロ(フレデリック・シュミット)の排外主義と好対照をなしており、今後このテーマでもウィルの出番が多くなるのではないかと期待しています。ウィルのかっこよさはこういうところで描けばいいと思うんだよね、ガーディアンが誰かを殴ったり蹴ったりするのを手伝わせるんじゃなくて。

モン=エル、ふたたび犬化

ろくな葛藤もないままわざとらしい足踏み状態を延々続けていたカーラとモン=エルの恋が、今回ようやく(本当にようやく!)大きく前進しています。たぶん、バレンタインデー・エピソードでこの展開を描くという決定事項が先にあって、その帳尻合わせのためにこうも長きにわたって2人をモタモタさせてきたのでしょうね。

実は先週から「カーラに惚れられていると気付いたモン=エルが自信満々な俺様キャラになりやがったりしたらどうしよう」とひそかに危惧していたのですが、とりあえず彼は今回もファンの間で「銀河の子犬ちゃん("galaxy puppy")」と呼ばれるあの善良キャラのままでした。その一方で彼がダクサム星にいたころの洒落にならない話とかもチラリと出てきてはいるのですが、これは逆に、昔と違って現在のモン=エルはカーラが孤独の要塞でミクシズペトリックに示したのと同じ価値観を持ち得ていることを示すものだと思います。そんなわけで、これまでの説得力のなさすぎる牛歩展開こそ残念ではあったものの、今回の「帳尻合わせ」自体はそこそこうまく作ってあったと感じました。あとはもう、カーラとモン=エルの2人で宇宙を救うなり何なり、好きにして。

まとめ

ホリデー・エピソードらしいにぎやかな雰囲気の中、久々にほころびのないシナリオが楽しめ、サンバースのラブラブっぷりも(時間は短かったけれど)見られて満足。カーラとモン=エルの冗漫なヘテロロマンスにようやく一区切りついたのもありがたいところ。でも、レズビアン要素で視聴者を釣っておいて男女の恋愛模様を延々見せつけるのはこれきりにしてくださいよCW。同じ異性愛なら、今後はカラメル(カーラとモン=エルのカップルのこと)よりウィルとライラのストーリーラインを掘り下げて欲しいわ。こっちの恋には試練も葛藤もあり、より多くの人にとってrelatableなものになりそうですから。

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*1:綴りは"Mxyzptlk"。カタカナ表記は他の書き方もいろいろありうると思います。

主要ネットワークでトランスがトランス役を演じる快挙。でも、肝心のお話が……―ドラマ『Doubt(原題)』1x01感想

ドラマ トランスジェンダー

Laverne Cox (Transgender Pioneers)

法廷ドラマというよりソープオペラ

本作品は米CBSで2017年2月15日に始まった法廷ドラマ。ラヴァーン・コックスがトランスジェンダーの弁護士役でレギュラー出演しています。米国の主要TVネットワークのドラマで、トランスの主要人物をトランスの役者が演じるのはこれが初。ただ、ドラマ自体の出来が今いちなのが残念。

まず、ラヴァーン演じるところの弁護士、キャメロン・ワースがトランスジェンダー女性であることがはっきり描かれているのは画期的だと思いました。米国のTVドラマでは、トランスジェンダーのキャラクタはケーブルやオンライン配信のドラマよりもさらに少なく、GLAADの調査によれば2016年には3人しかいなかったそうです。また、トランスジェンダーの役をトランスジェンダーの役者が演じることもまだまだ少なく、この状況を改善すべきだという声は高まる一方。ジェフリー・タンバーが『トランスペアレント』でエミー賞を受賞したとき、「ハリウッドはもっとトランスの才能を起用すべきだ、自分がトランス女性を演じた最後のシス男性になればうれしい」(大意)とスピーチで訴えたのがその好例です。そんな中、ラヴァーンが単発出演の殺され役や殺人犯役(このパターンがまた多いのよ……)などではなく、アイヴィーリーグ出の弁護士役でプライムタイムのTVドラマにレギュラー出演したというのはとても意義あることだと思うのですが。

困ったことに、それ以外の部分に見るべきものがほとんどないのよ、このドラマ。

基本的に本筋は、法廷ドラマのふりをしたチープなメロドラマ。出てくる案件は2件とも少しもひねりがなく、主要キャラたちの性格も曖昧模糊としています。冒頭の自転車の場面は主人公・セイディー(キャサリン・ハイグル)の怖い者知らずな性格を表現しようとしたのでしょうが、ケイデンスの低いママチャリ的な漕ぎ方で迫力に欠け、あたかも映画『プレミアム・ラッシュ』の劣化コピーのよう。アシスタントのアイオワ州ネタも、ドラマ『グレイズ・アナトミー』のエイプリルが故郷の農場に戻って豚の世話をしていた場面のインパクトに完全に負けています。主張の違うキャラ2人が立場を交換してロールプレイで会話する場面も、ドラマ『ワンデイ -家族のうた-』の母娘ロールプレイの軽妙さには遠く及びません。また、殺人ミステリの要素にしても、『殺人を無罪にする方法』序盤のような緊迫感はまるでなし。

米国のドラマはパイロット(シーズン1第1話)に一番力を注ぐはずなのに、ここまでどこもかしこもつかみが弱くてどうするのかと思いました。米iTunes Storeで第1話が無料だったためいそいそと見たのですが、2話以降を買うかどうか、正直考えあぐねています。

ヘテロ恋愛、牛歩すぎない?―ドラマ『スーパーガール』2x12感想

ドラマ 百合/レズビアン

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モン=エルのストーリーラインが退屈すぎ

レナ・ルーサーが再登場し、カーラと友情を深める回。レナとカーラのやりとりが妙に百合百合しいサブテキスト満載な一方、カーラとモン=エルの恋路は新味のない手法で無理やり引き延ばされています。異性愛ももう少し丁寧に書いてやってよ、ライターさん。

なんでここまで芸もなく引き延ばすの

前回あたりからのカーラ(メリッサ・ブノワ)とモン=エル(クリス・ウッド)のラブロマンス描写の何が退屈って、少年ジャンプもびっくりの長々とした引き延ばしっぷりです。おまえらはシュート1本打つのに30分かかるキャプテン翼か何かか。ふたりがくっつきそうでくっつかない状態を延々と描くことで視聴者の興味を引き留めたいという作り手側の意図はわからないでもないのですが、それにしては「くっつかない」理由に説得力がないところが納得いきません。

一応、恋の障害として、カーラが「すべては手にできない(スーパーヒーロー業と恋愛の両立は無理)」と思っていたという描写もあることはあるんですよ。でも、それってシーズン1前半のカーラがアダム(ブレイク・ジェナー)と別れた時点で悩んでいたことであって、S1E18でジェームズ(メカード・ブルックス)に告白するあたりで乗り越えたはずじゃなかったんですか。第2シーズンでのカーラの恋については、S2E8でS1終盤のとある場面の焼き直しが出てきた時点で「既視感がありすぎる」と思ってはいましたが、ここまで同じことの繰り返しばかりで牛歩戦術をとらなくてもいいのでは。結局、現在のストーリーラインを引っ張っていくだけの新しいアイディアがないってだけのことじゃないの?

オーディー・マーフィーという西部劇俳優はかつて、「四十何本にのぼるまったくおんなじ西部劇に、そのつどちがう馬にまたがって、私は主演した*1」と言ったそうです。このことばをエッセイで紹介した片岡義男氏は「ちがうのは馬だけで、ストーリーもなにも、みんなおなじだったというわけだ*2」と説明しています。この『スーパーガール』のカーラの恋愛も、今のところ「馬」がジェームズからモン=エルに変わっただけで、「ストーリーもなにも、みんなおなじ」であるようにしか見えません。これじゃカーラが気の毒です。仮にも主人公なんだし、もっとアレックス(カイラー・リー)とマギー(フロリアナ・リマ)のローラーコースター恋愛に負けないぐらいのアイディアをつぎこんでやってよ。

それでも今回のエピソードの終わりあたりでは、一瞬だけ「ひょっとしてここから怒涛の急展開か!?」と思わないでもなかったのですが……なんのことはない、その後に出てくるのは、単なるS2E8のシークエンスの使いまわし。しかもあまりにも無理やりすぎて白けました。今後もまだこんなモタモタしたソープオペラごっこが続くようなら、もうカーラとモン=エルのシークエンスだけ全部早送りにして視聴しようと思います。

一方レナとカーラは

ファンガールの間では以前から「ケミストリーがある」と話題になっているレナ(ケイティ・マクグラス)とカーラの関係ですが、今回はドーナツと花という小道具がさらにふたりの仲を盛り上げています。レナの子供の頃からの孤独や、それに付け入って彼女を利用しようとする母リリアン(ブレンダ・ストロング)の酷薄さが、レナがカーラに感じる親愛の情の裏打ちになっているところもよかった。ここまでやっておいてから、フラッシュバックを交えたチェスのシークエンスを配し、結局この友情(?)のゆくえをミステリアスなままにしておくという手腕にも拍手です。カーラとモン=エルのラブロマンスにもこれぐらいしっかりした背景や先の読めなさを仕込んでやればいいのに、なぜそれがができないのか本当に謎。

一方今週のサンバース(アレックスとマギーのカップル)は

冒頭のバーの場面で、アレックスがマギーを恋人として皆に紹介するくだりが興味深かったです。恋人は男だろうと思い込んでいた人、女だと知っていたけど言わなかった人等々の中で、モン=エルがしれっとこんなことを言うんですよ。

「それ(女性の恋人が女性だということ)って地球じゃ何か問題になることなの?」

"Is that like a problem here on Earth or..."

で、アレックスから「地球では、レディーがレディーを愛することに誰もが賛成しているわけではない」と説明された後の返事はこう。

「へえ、ダクサム星じゃ、それって多ければ多いほど幸せなことなんだけど」

"Oh, on Daxam it's the more the merrier."

ダクサムはクリプトンの姉妹星で、民主制ではない上に奴隷の使用も認められており、クリプトン星人からはならず者の星だと思われているところです。でも、モン=エルのこの発言からすると、どうやら同性愛についての偏見はないと考えられるわけ。これって巷にはびこる、「ゲイ・ライツを認めている文化圏は『先進的』であり、そうでない文化圏は『遅れている』」のような単純すぎるステレオタイプにさりげなく異を唱える描写なのではないかと思いました。深読みのしすぎかもしれませんけどね。

まとめ

久々のレナ・ルーサーのストーリーラインは緻密で面白かったし、サンバースの登場シーンもよく練られていたと思います。でも、カーラとモン=エルのヘテロ恋愛の牛歩っぷりは退屈のひとこと。「『こちらブルームーン探偵社』でブルース・ウィリスとシビル・シェパードがくっつきそうでくっつかない様子をまるまる5シーズンぐらい見せつけられて鍛えられたあたしはまだ平気」とうちの彼女なんぞは言っていますが、修行の足りない自分にはちょっとつらかったです。

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ドラマ『スーパーガール』関連記事

*1:片岡義男. (1979). 『アップル・タイザーと彼女』. p. 215. 東京: 角川書店.

*2:片岡義男. (1979). 『アップル・タイザーと彼女』. p. 215. 東京: 角川書店.

スペインに同性カップルの信号機登場

LGBTニュース 百合/レズビアン ゲイ

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スペイン南東部の港市サンフェルナンドが、「止まれ」や「進め」の人物を同性カップルのシルエットで表示する歩行者用信号を導入しました。目的は「近隣の人々に、様々なカップルがいて当たり前だと知ってもらうため」。

詳細は以下。

Vídeo: San Fernando de Cádiz instala semáforos con parejas homosexuales | Verne EL PAÍS

まず、この信号機の映像をどうぞ。「止まれ」と「進め」のそれぞれで、手をつないだ同性カップルの姿が表示され、ハートマークも添えられています。

サンフェルナンドでは2017年2月上旬、これらの信号機を計10台、もっとも交通量の多い場所に設置したとのこと。内訳は、男性同士のカップルの信号機5台と女性同士のカップルの信号機5台です。市議会は2月14日を選んで記者会見を開き、これらの信号機は(一時的なものではなく)ずっと設置しておくと発表しています。「われわれは愛の多様性を認識し、目に見えるようにしたいと考えています」と市長は説明したそうです。

街の声を賛否両論とも合わせて紹介しているニュース映像を見つけました。

まず賛成派は「少しも悪いことじゃない」「異性愛以外の、男の子同士や女の子同士のカップルがいてあたりまえだということを示している」てなことを述べているようです。反対派のひとりは「お金の無駄遣いをやめてほしい」と言っていますが、ナレーションでは、これらの信号機で市にコストがかかることはないだろうと説明されています。他の反対意見は「道を歩くのにこれが必要だとは思わない」、「これには賛成しない」など。賛成しないと言った女性は、信号機を見ないで済むよう目を隠しながら歩いています。危ないと思うんだけど。

信号機の表示に同性カップルを使うという取り組みは他国でいくつか先例があり、オーストリアや英国などの例は日本語圏でも何度か報道されています。

ではスペインではどうかというと、バレンシア州でジェンダー平等のためとして、2016年にスカートをはいた女性像を使った歩行者用信号が設置されたことならあったようです。映像は以下を。

しかしソーシャルメディアをスペイン語でいくらか検索してみた限り、これでさえかなりひどい反発と嘲笑に遭っていたようです。信号の女性像を酒瓶を持って偉そうに立っている図に変えたり、大きな女性が小さな男性の前をさえぎってのし歩く図に改変したりしたコラ画像を作った人までいたみたいですからね。それはほとんど、19~20世紀初頭の英国で女性参政権を求めたサフラジェットたちが受けた揶揄や蔑視とほぼ変わらない世界で、ということはおそらく問題はスペインのカトリシスモやマチスモだけではないのだと思います。サンフェルナンドの同性カップル信号機についても今後さまざまな反発が起こるのでしょうが、逆に、だからこそここで退いてはいけないのでは。サンフェルナンド当局が、最初からこれらの信号はここに残すと言っていることを、頼もしく思いました。

物体Xとエイリアンに失礼だ―ドラマ『スーパーガール』2x11感想

ドラマ 百合/レズビアン

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姉妹愛はいいが本筋がぐだぐだ

メガンを狙うホワイトマーシャンがDEOに侵入する回。アレックスとカーラの姉妹トークこそよかったものの、話の大筋には難がある感じ。古典的なSF設定をふたつも使って薄っぺらな二番煎じをやるぐらいなら、最初からひとつに絞った方がよかったのでは。

古典的SF設定の無駄遣い

今回のメインプロットを簡単に言うと、「『遊星からの物体X』ごっこ&『エイリアン』のノストロモ号爆発カウントダウンごっこ」です。侵入者のホワイトマーシャンが隊員の誰かとすり変わったためDEO本部がまるごとロックダウンされ、互いが疑心暗鬼に陥る中、ホワイトマーシャンをあぶりだす検査が実施されるという流れが前者。そのホワイトマーシャンの策略でDEOの原子炉が爆発しそうになり、カウントダウンのアナウンスが流れる中ウィル(ジェレミー・ジョーダン)が必死に解除作業をするという流れが後者。どちらもSFにはつきものの古典的シチュエーションであり、それらを『スーパーガール』でもやってみたかったというのはわかるんですが……それにしちゃ、掘り下げが甘すぎない?

まず、『遊星からの物体X』シチュエーションの肝は心理劇なのに、その部分を円卓の周りでほんのちょっぴり口論しただけで終わらせてしまう意味がわかりません。一応後の方にもうひとつひねりは用意されているものの、そちらも本家『物体X』に比べれば薄味そのもの。そして爆発阻止シチュエーションに至っては、(1)そもそもDEOはなぜ原子炉をそんなに簡単に爆発させられる状態で使っていたのか、(2)しかも「暴走したら制限時間以内に操作しないと止められない」というアホアホ設計になっているのはなぜなのか、(3)あと数分で街ごと吹っ飛ぶというときにキャラがわざわざ探索の手を止めてのんびり会話し始めるのはなぜなのか、など脚本の穴が多すぎて、緊張感も面白味もダダ下がりになってしまっていたと思います。せめて話を物体X路線かノストロモ号爆発路線のどちらか一方に絞り、キャラたちの言動も整理した方がよかったのでは。

参考までに、『遊星からの物体X』の血液検査の場面をどうぞ。今回の『スーパーガール』は、この緊張感の足元にも近づけていません。

そして、『エイリアン』で主人公が母船の自爆を回避しようとする場面はこちら。今回の『スーパーガール』は、この名シーンへのオマージュにすらなりえていません。

過去の名作とよく似た設定を使うなとは言いません。問題は、それが新味ゼロの小粒な焼き直しで終わってしまっていることです。今回の『スーパーガール』を見ている間、あたしは『glee』シーズン2のオーディションの場面でカート(クリス・コルファー)が"Some People"を歌ったとき、アドバイザーのジェシー(ジョナサン・グロフ)が言ったこの台詞をしきりに思い出していました。

これはブロードウェイの大スターたちが喝采を浴びてきた曲だよ。マーマンやルポーンやバーナデットがね。だから、これを歌うなら後任者としておそろしいほど高い期待にこたえなければならないんだが、きみがそれをみごとにやってのけられたとは思えないな。

You must know that that song was done to great fanfare by such Broadway legends as Merman, LuPone, Bernadette. There are some awfully big heels to fill, and I'm just not quite sure that you nailed it.

先人の偉業をなぞろうとすれば、先人と比較されることは必定。そこで「おそろしいほど高い期待」にこたえられるだけの力量がないのなら、何か新しい工夫を加えるなり、最初から違う土俵で勝負するなりした方がいいと思うんですよねー……。

今週のダンバース姉妹

アレックス(カイラー・リー)がカーラ(メリッサ・ブノワ)に恋のアドバイスをする場面がほほえましくて心なごみました。アレックスのカミングアウト&マギーへの告白エピソードが、単発のできごととして処理されるのではなく、その後の彼女の考え方にもこんなかたちで生かされているというのが面白いです。カーラの「地球の誕生日」(地球にやってきた記念日)をあのアレックスが忘れていたという展開にはだいぶ無理がある気もしましたが、前述の「古典的SF設定の無駄遣い」問題にくらべればまだ見逃せる範疇だと思います。

今週のサンバース

サンバース(アレックスとマギーのレズビアンカップル)は今週も安定した仲良しっぷりを見せています。よしよし、あなたたちはこのままでいてね。

まとめ

もともと女性同士のラブロマンス以外の部分で時に大味さが目立つ(ヘテロロマンスが超行き当たりばったりだとか、科学技術がご都合主義的だとか)シリーズではあったものの、今回ほどその弱点がさらけ出された回もなかったような気がします。シーズン3の製作は既に決定しているとは言え、生き馬の目を抜く米国ドラマ界でこんな雑な話づくりをしていて生き残れるのか、とても心配。姉妹愛とサンバースの愛だけでいつまでも話を引っ張れるとも思えませんし、既存の名作の二番煎じはやめて、もっとこの番組ならではのSFドラマを見せつけてほしいと思います。

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ドラマ『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』シーズン5配信開始日をNeflixが発表

LGBTニュース ドラマ 百合/レズビアン トランスジェンダー

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Netflixが2017年2月8日、オリジナルドラマ『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』シーズン5の配信開始日が2017年6月9日であることを公表しました。YouTubeではトレイラーも公開されています。

詳細は以下。

'Orange Is the New Black' Season 5 Release Date, First Look | Hollywood Reporter

トレイラーはこちら。

みなさん緊張感あるおももちだし、ダヤちゃんは相変わらず銃を構えてるし、NetflixがYouTube動画に添えたキャプションは「何もかも変わってしまう」("Things will never be the same.")だしで、いろいろ気になるトレイラーですね。

なおHollywood Reporterによると、トレイラーには出てこないソフィア(ラヴァーン・コックス)はちゃんとシーズン5に登場するそうです。それからテイスティ役のダニエル・ブルックスによれば、シーズン5の計13エピソードは、リッチフィールドで連続3日のあいだに起こったことを描いているとのこと。

「とても細かいところまで描き込んだ、とても強烈な話になります。だから心の準備をしておいた方がいいですよ」と、ブルックスはこのシーズンについて付け加えた。「ポップコーンやティッシュを用意してね」

"It will be very detailed, very intense, and you better get ready," Brooks added of the season. "Get your popcorn, your tissues."

ああますます気になる。ダヤは引き金を引くのか? ソウソウは大丈夫? スザンヌはサイキ(日本語訳だとなんだっけ。精神病棟?)送りになるのか? 逆に、ローリーはサイキから戻ってくるのか? そもそも暴動はどうなるんだろう、ピスカテラは解雇されるのか、それともまだあのクソ看守どもの指揮をとるのか? シーズンが進むごとに気の毒になってくるヒーリーの明日はどっちだ? ……ここはやっぱり、おやつとティッシュペーパーを用意して本気でビンジウォッチングに備えるしかなさそうです。楽しみ。