石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

中山可穂

『悲歌』(中山可穂、角川書店)感想

『弱法師』に続く、能が素材の短篇集第2弾。女子高生同士の心中事件を追う「隅田川」、妄執の物語「定家」、三角関係もの「蝉丸」の3篇を収録。ドロドロ度は控えめで、特に「隅田川」にはジャネット・ウィンターソンのようなマジカルな美しさがあります。

『弱法師』(中山可穂、文藝春秋)感想

「弱法師」「卒塔婆小町」「浮船」の3篇を収録。能をモチーフとし、性描写なしで「これまで以上のエロスを」追求した(あとがきより)という1冊です。レズビアン・テーマが登場するのは「卒塔婆小町」と「浮船」で、どちらもじんと胸に染みる良作。

『ケッヘル(上・下)』(中山可穂、文藝春秋)感想

主人公女性・木村伽椰の壮絶な恋愛と、謎めいたピアニスト・遠松鍵人の人生が交錯する中、ある残虐な復讐劇が浮かび上がってくるという、読みごたえばっちりの長篇。サスペンスフルな筋立ても、当を得た同性愛描写もともによかったです。

『マラケシュ心中』(中山可穂、講談社)感想

女流歌人とその恩師の妻との、複雑に絡み合う運命を追う恋愛小説。「心中」というテーマを抱えた、残酷で官能的なお話です。華やかな設定の下に重厚な物語が隠れているという、いつもの作風も健在。隙無く組み立てられた結末には、ただため息が出るばかり。

『白い薔薇の淵まで』(中山可穂、集英社)感想

エキセントリックな女性小説家と平凡なOLのずぶずぶな修羅場を、一風変わった切り口で描いた傑作。女同士の関係のリアルな生々しさと、猫というモチーフあるいはメタファーを巧みに生かした構成がすばらしく、圧倒されました。おもしろかった!

『ジゴロ』(中山可穂、集英社)感想

ストリートミュージシャンにして女たらしのレズビアン、カイをめぐる連作短編集。ヘテロやトランスジェンダーのキャラも登場します。キャラそれぞれの淋しさを描き出す一方で、闇の中にあるほのかな光も忘れない、いやむしろその光こそを核とする1冊です。

『サグラダ・ファミリア[聖家族]』(中山可穂、新潮社)感想

レズビアンの孤独なピアニスト響子が、最愛の元恋人の死を経てつかみとったものを描く物語。「ものすごくベタなタイトルと、それに見合ったものすごくベタなオチ」という取り合わせなのに震えるほど感動せずにはいられないという、魔法のような作品です。

『花伽藍』(中山可穂、角川書店)感想

花伽藍 (角川文庫)作者: 中山可穂出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2010/05/25メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 10回この商品を含むブログ (3件) を見る極上のレズビアン小説集なんて贅沢な短編集だ、と思いました。圧倒され…

『サイゴン・タンゴ・カフェ』(中山可穂、角川書店)感想

サイゴン・タンゴ・カフェ (角川文庫)作者: 中山可穂出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2010/01/23メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 8回この商品を含むブログ (12件) を見る表題作が圧巻ですすべての物語にアルゼンチンタンゴ…

『感情教育』(中山可穂、講談社)感想

感情教育 (講談社文庫)作者: 中山可穂出版社/メーカー: 講談社発売日: 2002/05/15メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 18回この商品を含むブログ (31件) を見るずっしり響くボディブローのような小説薄幸な生い立ちのふたりの女性、那智と理緒との恋物語。ず…

『深爪』(中山可穂、新潮社)感想

深爪 (新潮文庫)作者: 中山可穂出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2003/05メディア: 文庫 クリック: 3回この商品を含むブログ (18件) を見る胸に痛いレズビアン小説ずっしり重くて胸に痛いレズビアン小説。重くて痛い話であるからこそ、最後に示される静かな「…