Netflixオリジナルドラマ『Sense8』のクリスマススペシャル*1を見ました。以下、箇条書きでざっくりと感想など。
- S1で話題を呼んだパンセクシュアル描写が、S1よりさらに長い尺を使ってみっちりと描かれていたところに驚愕。肌色面積もかなり多く、こういう表現ができるのはネット配信なればこそだと思いました。
- その一方でレズビアン(ノミとアマニタ)、ゲイ(リトとヘルナンド)、ヘテロ(ウィルとライリー)など、パンセクシュアル以外のセクシュアリティも大切に描かれているところに一安心。
- 特にリトとヘルナンドの絡みのホモエロティックな美しさときたら、「こんなに盛大にファンサービスしちゃっていいのかしら」と思ってしまうほどのレベルでした。
- この分ならシーズン2でも、パンセクシュアルだけがあらまほしき性愛のかたちとして礼賛されたりすることはないのでは。
- クラスターの8人のみならず、名脇役たちの見せ場もたっぷりあるところがうれしかったです。
- 具体的にはアマニタ、ヘルナンド、フェリックスなど。
- リトのお母さんもよかった、『スーパーガール』のイライザ・ダンバースと並んで2016年度ベスト・お母さん・オブ・ジ・イヤー賞をあげたいぐらい。
- クリスマスらしいフェスティヴな場面もすばらしく楽しいんだけど、それだけじゃないところがさすがこの作品。
- ヴォルフガングのいわば「仁義なき戦い・ベルリン篇」も、ゲイだということをアウティングされたリトが見る地獄も、サンの刑務所での戦いも、それだけで映画が一本作れそうなぐらいの重みがあったと思います。
- クラスターのひとりひとりがシビアな戦いの中にあるからこそ、クラスター同士の思いやりや連帯と、「家族」というキーワードがより胸に響きました。
- サンの危機をみんなで救った後にライリーが言う「わたしたち家族だもの」という台詞が、特に印象的でした。
- その少し前に、血の繋がった娘に対してあいかわらず冷淡なノミの両親の話が出ているだけに、余計に。
- 感覚を共有している8人のみならず、サンを思いやる刑務所の女囚たちや、ノミとアマニタを助けるレズビアンたち、そしてヴォルフガングのそばを離れないフェリックス等々もまた大切な「家族」として描かれていたと思います。
- つまるところ、人と人とがつながるために必要なものは血縁でも、ましてや超能力でもないんですよね、このドラマでは。そこがすごく好き。
- メインキャラのストーリーラインでいちばん気に入ったのは、サンの話。
- 東アジアの家父長制と性差別のクソさがあますところなく描かれていて、ますますサンを応援したくなりました。
- ペ・ドゥナがシーズン1の頃より体を作ってきているっぽいところも好印象。シーズン2にも期待大。
- カーラとリトの「今はもう21世紀なのよ!("This is the 21st century, people.")」「どうかしてる!"Get over it"!)」というたたみかけるような叫びや、トレイラーでも使われていたあの曲には、おもわずほろりとさせられました。2016年ほど、世界の逆行や人々の分断ということについて考えさせられた年は、近年ありませんでしたから。
- 危機一髪の場面が山ほどあるのに、終わってみれば主人公たちの問題は何ひとつ解決していないという、ある意味もどかしいドラマではあります。ホリデーシーズンのお祭り回でいきなり話を進めるわけにもいかないでしょうし、これで正解だったんだとは思いますが……ああ早くシーズン2を配信してくれ!!
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*1:スペシャルエピソードでありつつ、シーズン2の第一話でもあります。