石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

トランス女性が男らに襲われけが スペイン・カタルーニャ州

TRANS PEOPLE ARE NOT A THREAT TRANSPHOBIA IS


2022年3月9日、スペイン・カタルーニャ州の路上でトランス女性が5人のグループに襲撃され、けがをして病院に運ばれました。自治体の首長は「憎悪や差別によるいかなる行為も容認できない」とのコメントを発表しています。

詳細は以下。

escandala.com

この事件は同州バルセロナ県ルスピタレート・ダ・リュブラガート(L'Hospitalet de Llobregat)で起こりました。被害者の説明によると、加害グループは彼女のトランスセクシュアルのアイデンティティー(identidad transexual)を理由としてを侮辱のことばを投げかけ、追い詰めて地面に投げ倒し、「オカマ野郎("maricón")」と叫びながら何度も殴ったり顔を蹴ったりしたとのこと。幸い近所の人の通報でカタルーニャ州警察 (Mossos d'Esquadra) が駆けつけ、男らのうち1人を逮捕したんだそうです。被害者は病院に緊急搬送されましたが、その後、後遺症のため医療センター(Centro de Atencion Primaria)で検査を受けねばならなかったとのこと。

この事件についての、ルスピタレート・ダ・リュブラガートのNúria Marín市長のコメントはこちら。

上記ツイートはカタルーニャ語なんで自分には読めないんですが、幸いLa Razón にカステジャーノ訳が乗ってたので、そこからざっくり日本語にしてみました。

「憎悪や差別によるいかなる行動も許すことはできません。わたしたちは、暴力と、人間の安全に対するあらゆる侵害に対してノーを言います」

“No podemos tolerar ningún acto de odio y discriminación. Decimos no a la violencia y a cualquier tipo de atentado contra la integridad de la persona”,

ちなみにカタルーニャでトランスフォビックな暴力事件が起こったのは、これが初めてではまったくありません。殺された人だっているのよ。

www.publico.es

elpais.com

www.eldiario.es

日本にいるとなかなか英語圏発以外のLGBTニュースって入ってこない(し、入ってきても注目されるのは芸能ニュースとかに偏りがち……)けど、こういう事実、もっとたくさんの人に知ってほしいです。本っ当にそこらじゅうに存在するのよトランスへの暴力は。

追記

続報見つけた! ルスピタレート・ダ・リュブラガートの事件の犯人とされる5人のうち、3人まで逮捕されてる! 州警察は、捜査はまだ継続中で、さらなる逮捕もあり得ると言っているそうです。

www.niusdiario.es

新型コロナワクチン接種率 ゲイ・レズビアンはヘテロより高い(米調査)

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米CDCが、新型コロナワクチンの接種率は、異性愛者の成人よりゲイやレズビアンの成人の方が高いとする調査結果を発表しました。なお、ジェンダー・アイデンティティー(トランスジェンダーまたはノンバイナリーであるか、そうでないか)による接種率の有意差はみられなかったとのこと。

詳細は以下。

CDCによる発表はこちら。

www.cdc.gov

この分析のもととなるデータは、米国で2021年の8月29日から10月30日の間に、RDD方式(コンピュータによってランダムに生成された番号に架電する調査方法)で携帯電話に電話して収集されたもの。調査対象は18歳以上で、回答者数は約15万人。性的指向およびジェンダー・アイデンティティーに関する質問に対して、3941人(2.7%)がゲイまたはレズビアン、4395人(3.1.%)がバイセクシュアル、5594人(3.9%)がトランスジェンダーまたはノンバイナリーの自認を持っていると答えたとのこと。

分析の結果、ゲイまたはレズビアンの回答者でCOVID-19ワクチンを最低1回接種した人のパーセンテージは85.4%で、ヘテロセクシュアルまたはストレート(76.3%)より多かったんだそうです。そして、ワクチンの安全性を完全に、または非常に信頼していると回答した人の率は、ヘテロセクシュアル/ストレート男性だと64.1%のところ、ゲイ男性で82.4%、バイセクシュアル男性で76.%*1。また、「ワクチンは自分を守るために非常に/ある程度重要」と答えた人の率でも、ゲイ男性(92.9%)とバイセクシュアル男性(87.6%)は、ヘテロセクシュアル/ストレート男性(77.7%)より高い数値を見せています*2

セクシュアリティでここまで差がつくものなのかと驚いたけれど、たぶんこの背景には複数の要因があるんでしょうね。ぱっと思いつくだけでも、過去のHIV/AIDS禍から学んだものの大きさの差とか、宗教保守かどうかとか、「新型コロナなんか怖くない、ワクチンを打つのは臆病者」みたいな形での男らしさアピールを重視するかどうかとかが、ヘテロと非ヘテロの間でずいぶん違いそうな気がしますし。今後そのへんまで踏み込んだ調査が進むことを期待しています。

*1:女性だと男性ほど大きな差はないんだけど、それでもレズビアン・バイセクシュアル女性はヘテロ女性よりワクチンへの信頼度が高いです。cf. https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/71/wr/mm7105a3.htm?s_cid=mm7105a3_w#T3_down

*2:これも女性だと男性ほど大きな差はないんだけど、それでもレズビアン・バイセクシュアル女性はヘテロ女性より『ワクチンは自分を守るために重要』と答えた人が多いです。cf. COVID-19 Vaccination Coverage and Vaccine Confidence by Sexual Orientation and Gender Identity — United States, August 29–October 30, 2021 | MMWR

トランス女性にアシッドアタック メキシコ・グアダラハラ

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2021年10月29日、メキシコ・ハリスコ州グアダラハラで道を歩いていたトランス女性がアシッドアタックに遭い、体の60%にやけどを負いました。しかも一軒目の病院で治療拒否され、別の病院を探さねばならなかったとのこと。

詳細は以下。

escandala.com

被害者女性は事件当時、繁華街で友人と歩いていたところを男に引き留められ、少しの時間言葉を交わしたとのこと。男はその後一旦数メートル離れてからまた近づいてきて、腐食性の液体を彼女にかけたんだそうです。

これにより腕、顔、胸、脚などに化学やけどを負った被害者は、キリスト教系の病院、サンティシマ・トリニダード病院(Hospital de La Santísima Trinidad)に駆け込みました。が、同病院は治療を拒否。理由は「身元証明書の不備」だそうな。ちなみにその後別の病院を探して手当てを受けたところ、やけどの深さはⅢ度だったそうです。皮下組織までダメージ行ってるレベルじゃんよ。体の6割にそんなけがをした人の治療を拒否って、いったい。

なお、加害者の詳細は現時点では不明で、ハリスコ州検事局が捜査を開始しているとのこと。

最近は日本でもトランスフォビアが猛威をふるっていて、「トランスの権利を認めればムキムキマッチョの男が女子トイレに入ってきてシス女性が危険」のような真っ赤な嘘を一生懸命喧伝している人が増えましたが、SNSの流言飛語を鵜呑みにする前にニュースや警察の発表ぐらい見てほしいもんだと思います。この事件みたいな「シス(または少なくともシスだと思われる人)」「トランス」加害した事件は山ほど見つかるのに、その逆はほとんどないから。この構造って、ヘテロご一同様が、ヘテロ(または少なくともヘテロを自認していて、ゲイが排除される場所にも入れる人)たちが現実に引き起こしまくっている児童性虐待事件には何十年も見て見ぬふりをしてきた*1一方で、「ゲイは子供を性的に狙っている」というデマ*2は鵜呑みにしてせっせとゲイの権利に反対してきた*3のと同じだから余計に腹立つわ。だれがだれを危険な目に遭わせているのか、事実ベースで現状把握した方がいいよ、何事も。

プライド・フラッグが必要な理由が一目でわかるツイートはこちら

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以下、Twitterでちょっと心温まるツイートを見かけたのでご紹介。

ツイートの文面と、写真に写っている手紙の中身を訳すとこんな感じです。


これは、アーカンソー州パリス在住の母が一か月ずっとプライド・フラッグを飾っていたら、郵便受けに入っていた手紙。

こんにちは、この手紙はちょっと変かもしれませんが、この家の前を毎日通っていて旗に気づきました、それで、この小さい町に少なくともひとりは味方がいるのだとわかってうれしいです。

LGBTQ+の子より

パリスって同州ローガン郡の小さな町で、2021年の人口は3279人らしいです。このお母さんは今後も一年中プライド・フラッグのステッカーを飾っておくつもりだとのこと。なお、彼女の家の玄関ポーチの写真はこちら。

毎年6月に大企業が虹色グッズを売り出したり、有名人がレインボーTシャツ着てネットの中で微笑んでみせたりすることも、そりゃ大事かもしれません。でも、小さな町でクロゼットの中にいる子供にとっては、ご近所の軒先の旗で「ここにアライがいる」と初めて気づけることの方がよっぽど心強いと思うのよ。そういう意味で大事だし、必要なんですよ、この旗は。

サッカー場で旗かかげ反LGBTQ法に抗議 ドイツ(ハンガリー)

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2021年6月23日、サッカーのドイツ対ハンガリー戦の開始直前に、レインボーフラッグをかかげた若者がフィールドを疾走。あっという間に警備員に取り押さえられましたが、多くの人が彼の勇気に拍手を送りました。ハンガリーではこの6月、反LGBTQ法案が可決されたばかりです。

詳細は以下。

escandala.com

ハンガリーの反LGBTQ法についてはだいぶ前から日本でも報道されているので、知っている人も多いかと思います。この法により、同国では同性カップルが養子をとること、合法的に性別を変えること子ども向けの教材などで同性愛や性別変更などを助長するとみなされるものを使うこと未成年が見るようなあらゆるメディアでLGBTQのコンテンツを配信することなどが禁止されると言われています。

EU各国はこの法律を強く批判しています。ドイツのミュンヘン市議会は、同法への抗議のため、サッカー欧州選手権(ユーロ2000)のドイツ対ハンガリー戦がおこなわれるアリアンツ・​アレーナをレインボーカラーにライトアップするよう呼びかけていました。しかしながら欧州サッカー連盟が禁止したため、この計画は頓挫。

で、このライトアップ禁止と、ハンガリーの反LGBTQ法案とに抗議するため、試合開始直前にひとりの若者がフィールドに飛び込んだというわけ。映像は以下をどうぞ。

勇気あるなあ……!! ちなみにEscándalaによると、これはハンガリー国家が流れている間の出来事だったそうです。なおさらその勇気に拍手。あと、Twitterで見かけたこんな意見もよかった。

訳:

ハンガリーのネオナチの横断幕よりLGBTの旗の方を迷惑に思うんなら、あなたはネオナチだよ。

Si te molesta más la bandera LGTB que las pancartas de los neonazis de Hungría, eres neonazi.

虹色クッキーでバックラッシュを受けたパン屋に支持者続々 米テキサス州

Happy Pride Notebook/Journal 150 Lined Pages: Journal, Diary, or Notebook for Office, School, Poetry, Bullet Journals, Etc.

2021年6月3日、プライド月間を祝うクッキーの写真をFacebookに載せた米国テキサス州のパン屋が、大口の注文をキャンセルされるなどのバックラッシュに遭遇。しかし心配ご無用、翌日にはもうこのパン屋を支持する人たちが店に詰めかけ、すべての商品が売り切れたんだそうです。

詳細は以下。

www.cbsnews.com

ことのあらましをざっとまとめると、こんな感じです。

  1. 6月3日、テキサス州ラフキン(Lufkin)のパン屋、コンフェクションズ(Confections)が、プライド月間に虹色のハート形クッキーを販売することをFacebookで告知
  2. その日のうちに同店のFacebookのフォロワーががっくり減り、悪意に満ちたメッセージが届き、翌日納品予定でデコレーションまでできあがっていた大口注文をキャンセルされる
  3. 店のFacebook公式アカウントで「今日はハードだった」と書き、何が起こったか説明
  4. 全米から支援のメッセージが届く。中には、自分がお金を出すから、そのクッキーを地元のLGBTQ団体や子供のためのチャリティに寄付してほしいと申し出た人も
  5. 6月4日、コンフェクションズには長蛇の列ができ、すべての商品(虹色クッキーも)が売り切れに
  6. 売り切れになった後、寄付だけして帰って行った人もいた

こういうことがあるから、ヘイトの被害に遭ったときにはなるべく黙らずにいた方がいいんですよね。黙って耐えているうちにヘイターの気が変わることなんて絶対にないし、このパン屋さんのしたことは正解だったと思います。

トランス女性への性的暴行で警察を糾弾 コロンビア・ソアチャ

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南米コロンビアで、トランス女性が身分証明書番号が女性のものではないことを理由に警察に拘束され、解放と引き換えに性的行為を強要されたとして、トランスのネットワークが公式に非難する声明を発表しています。

詳細は以下。

periodismopublico.com

被害に遭った女性は2021年2月16日の夕方、クンディナマルカ県ソアチャの公園にいたところ、自治体職員や警察官に身元確認を求められました。彼女はLGBTの権利について訓練を受けた人を呼んでほしいと何度も要請しましたが、警察はこれを拒否。そして、彼女の身分証明書番号が女性のものではないという理由で、Centro de Traslado por Protección (CTP)(直訳すると『保護のための移送センター』。警察のWebサイトによると『自分や他人の命を危険にさらし、健全な共存を乱す可能性のある人々を保護するための』施設で、ストリートで喧嘩した人や、薬物またはアルコールで酩酊している人などが警察の判断で送り込まれるんだそうです)に移送してしまいました。

CTPでは制服も着ず、身分証明書も呈示していない警官が「バットのようなもの」で収容者らを服従させており、このトランス女性は「解放してやるかわりに」とオーラルセックスを要求されたとのこと。そして別の場所に連れて行かれて強制的に挿入され、血を流しながらCTPを出たのだそうです。その後病院に行ったところ、話を聞いた医療スタッフが警察に通報したため(何故!?)パニック発作を起こし、ある団体に連絡を取ってなんとか助けてもらったとの由。

同国のトランス女性のネットワーク「Red Comunitaria Trans」は3月17日、この警察の不規則な手続きにともなう性的暴力を糾弾する公式な声明を発表しました。

pulzoによると、クンディナマルカ警察は何が起こったのかについて「真偽を確かめている」としか発表していないとのこと。

自治体職員もクソだし警察もクソだし、ようやく逃げてたどり着いた病院でなぜかまたその警察に連絡を取られてしまうあたりなんて、どんなホラー小説よりも怖いわ。警察で思い出したけど、日本の警察だって褒められたもんではないですよ、ちなみに。詳しくは以下をどうぞ。

www.huffingtonpost.jp

結局のところ、マジョリティーがマジョリティー目線だけで作ったシステムは穴だらけで、「想定されてない」人々への加害し放題ってことなんだろうなー。

パンデミックでセックスワーカー2倍に 市民団体が支援キャンペーン開始 メキシコ・メキシコシティー

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メキシコの市民団体が、メキシコシティのセックスワーカー(シス・トランス両方)を支援するためのキャンペーンを開始しました。同地では新型コロナのパンデミックのためセックスワーカーが約2倍に増えており、その70%がシングルマザーなのだそうです。

詳細は以下。

escandala.com

この団体、「Tejiendo Pueblos, Amigos Remendando Oficios」は2017年の大地震後に貧しい地域の家庭経済を支援するため結成されたグループ。2020年からは、新型コロナのパンデミックで影響を受けた人々のため、市内のさまざまな場所で食糧や衛生用品などを配る活動をしているとのこと。

その「Tejiendo Pueblos」が、メキシコシティのトランスとシスの両方のセックスワーカーたちを支援し続けるため、2021年3月17日から新たなキャンペーンを開始するのだそうです。同国の市民団体「Brigada Callejera de Apoyo a la Mujer “Elisa Martínez”」によれば、同市ではパンデミックによる危機のため自営のセックスワーカーの数が約2倍(7700人→15200人)に増加しており、その70%以上がシングルマザーだとのこと。「Tejiendo Pueblos」は、新しいキャンペーンで小さな寄付(50メキシコペソ)の大波を起こし、これらの人々に食べ物を届け続けたいと考えているのだそうです。

寄付はMoneypoolでおこなわれており、リンクは以下の通り(メキシコの携帯電話番号がないと登録できないため、日本からの送金は難しそうですが)。

www.moneypool.mx

報道によればメキシコのCovid-19による死亡率は世界第4位だし、それでいて政府の支援は全然足りてないとあちこちで指摘されています(今回のメキシコシティもそうだし、トルーカでも言われてました)。事態の収束まで、当分こういう市民ベースのキャンペーンが必要になるんだろうなあ、全然よそごとじゃないけど。

「クリスチャンの命も大切だ」:反LGBT+のキリスト教徒らがゲイ・コンサートを妨害 オーストラリア・シドニー

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2021年2月22日、シドニーで開催されたゲイ・コンサートに、「クリスチャンの命も大切だ("Christian Lives Matter")」なる反LGBT+運動の活動家らが乗り込み、妨害を試みたそうです。オーストラリアのクリスチャンって別に命の危険にさらされてないと思いますけど、差別をやめたら死ぬ人たちなのかしら。

詳細は以下。

www.pinknews.co.uk

このコンサートは厳密には「カオスでクィアなバラエティー・ショー( “chaotic queer variety show” )」といい、シドニー市が1か月にわたって屋外の公共広場で実施する「サンセット・ピアッツァ(Sunset Piazza)」コンサートの一環として開かれていたものだそうです。そこに、「クリスチャンの命も大切だ」なる運動の活動家らが現れ、「抗議」のために旗を振り回したり、調子はずれの賛美歌でコンサートの歌をかき消そうとしたりしたとのこと。

抗議活動の主催者、Charlie Bakhos氏は、このバラエティー・ショーは「カトリック教会およびキリスト教全般に対する嘲弄」であるとして、同性愛者を人殺しやドラッグディーラーになぞらえる発言をしているそうです。いやだからなんでそこで主客転倒してんの。「カトリック教会およびキリスト教全般『が』ゲイ『を』長年嘲ったり殺したりし続けている」というのが事実でしょ。なんでそこを都合よくひっくり返してんのよ。まるで自ら地下鉄にサリンを撒いておきながら「オウムは米軍に毒ガス攻撃されている」と被害者ぶっていたオウム真理教みたいだな。あと、"Black Lives Matter"から運動名を盗んで"Christian Lives Matter"と名乗り出す図々しさは、白人至上主義御用達の"Blue Lives Matter"運動にそっくり。それから、ゲイ・プライドを見て「抑圧されているのは異性愛者だ」と言い出し、「ストレート・プライド」なるヘイトデモをおっぱじめる異性愛者たちにもそっくり。本当にもう、殺す側ってやることが同じでうんざり。

「新型コロナワクチンを打つとゲイやトランスになる」:原理主義者らデマ流す

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イラン、イスラエル、米国の原理主義者が、新型コロナワクチンは人をゲイやトランスに「変える」という陰謀論をソーシャルメディアで流していると報じられています。さんざん宗教戦争を繰り広げてきた三大宗教が、ゲイ/トランス叩きのときだけは一致団結するのねえ。

詳細は以下。

elclosetlgbt.com

上記によると、まず、イスラム教シーア派の上級宗教指導者Abbas Tabrizian氏は、20万人以上のフォロワーを持つメッセージングアプリ「Telegram」で、「新型コロナのワクチンを接種した人には近づいてはいけない。彼らはホモセクシュアルに変えられてしまっているから」と発言したのだそうです。一方、超正統派ユダヤ教のラビDaniel Asor氏も、同ワクチンは同性愛を引き起こすとして、ユダヤ人は打たないようにと主張しているとのこと。そして米国の超保守派も、新型コロナワクチンには子供をゲイやトランスに変える遺伝子が含まれているというデマをTelegramで流しているとの由。

ちなみに2020年に英国とウェールズで採取されたデータでは、宗教グループごとの比較で新型コロナウイルスによる死亡率がもっとも多かったのはユダヤ教徒、第2位がイスラム教徒という結果が出ています。キリスト教徒の死亡率はこの2者ほどではないけれど、それでも無宗教者より高い割合で亡くなっていた模様。

コロナ禍に乗じてゲイ叩き・トランス叩きに打ち興じるヒマがあったら、自分の頭の蠅を追うべきなんじゃないですか、この人たち。

クィアなYAグラフィックノベル"The Witch Boy"(原題)がNetflixアニメ映画に

The Witch Boy

クィアなグラフィックノベル"The Witch Boy"が、Netflixでアニメ映画化されるそうです。魔法や変身があたりまえの世界を舞台にジェンダー二元論への異議申し立てをする物語で、監督は"Adam and Dog"のミンキュ・リー(Minkyu Lee)です。

詳細は以下。

www.pride.com

このお話の主人公は、13歳の少年アスター(Aster)。彼の住む世界では成長とともに女の子は魔法使いに、男の子はシェイプシフター(自分の姿を変える能力の持ち主)になることになっています。しかしアスターはまだ変身能力が現れておらず、魔法に夢中。家族はアスターが伝統通りシェイプシフターになるものと信じて疑わないのですが、そのうちある大きな危機が起こって……というところまで、Amazonの試し読みで読むことができます。

Netflixはこの作品を、ミュージカルアニメにするとのこと。なおコンセプトアートはこちらです。

米国のAmazonでこの本をサーチすると、「この商品を買った人はこんな商品も買っています」のところに"The Prince and the Dressmaker"(感想)や"Princess Princess Ever After"(感想)が出てきます。このあたりのグラフィックノベルと購買層がかぶっているのなら、かなり期待できるのでは。まだ正式な公開日は発表されていないそうですが、配信開始したら見てみたいし、それまでに原作買って読むかも。

コロンビアで今年2件目のトランス殺人事件 ボゴタ

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2021年1月28日、南米コロンビアの非営利団体Red Comunitaria Transが、同国ボゴタでトランスジェンダー女性のベロニカ・ソラノ(Verónica Solano)さんが体の数か所を刺された遺体となって発見されたと発表しました。

詳細は以下。

www.infobae.com

同国では2020年に32人ものトランスの人々が殺害され、2021年に入ってからも、1月4日にトランス女性のサマンサさんがトリマ県でバイクに乗った男らに襲撃されて亡くなったばかりでした。このたびベロニカ・ソラノさんが遺体で発見されたことで、同国の今年のトランス殺人事件は早くも2件に。

Red Comunitaria Transが上の方に貼ったInstagramポストに添えたこのコメントは、同団体が、このような事件が起こるたび繰り返し言っていることです。

わたしたちトランスの人びとは生きていたいのです……単に『生き延びる』だけではなしに

Las personas trans queremos vivir... no solo sobrevivir

イラストブック『LGBT+ペディア』のクラウドファンディング始まる

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メキシコのゲイ男性2人が、LGBT+コミュニティについて知るためのイラストブック『LGBT+ペディア』を出版するため、Kickstarterでクラウドファンディングを開始しています。

Kickstarterのページと、『LGBT+ペディア』の表紙画像は以下をどうぞ。

“LGBT+pedia” un libro de Somo Somo by Somo Somo — Kickstarter

そして、本の中身はこんな感じ。

このゲイ男性のチャバ(Chava)さんとディエゴ(Diego)さんは、人々にありのままの自分でいていい、好きな人を好きでいていいと伝えるために作ったブランド「Somo Somo」でTシャツなどを販売している人。そのSomo Somoが、LGBT+コミュニティについての基礎知識をイラストつきでわかりやすく説明する本として企画したのが、この『LGBT+ペディア』です。ページ数は76ページで、電子書籍は英語とスペイン語、紙の本はスペイン語での出版が予定されています。Kickstarterでプレッジ(支援)すると、金額に応じて壁紙・ステッカー・ポストカード・ピン・靴下・紙の本・電子書籍等々の特典がもらえるとのこと。

これ、スペイン語版の電子書籍が手に入るならぜひ読みたいんだけど、紙の本がもらえるプレッジが1780円なのに対し、電子書籍がもらえるのは4678円なのでちょっと悩んでます。とりあえず本が出ないと元も子もないから、どれかの形で支援はしたいんだけど。ここは頑張って紙の本で読むべきか?

バイデン大統領、性的指向やジェンダー・アイデンティティーによる差別の防止・撲滅を求める大統領令を発表(就任直後に)

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米国で2021年1月20日(現地時間)に第46代大統領に就任したジョー・バイデンが、同日夜、連邦各機関の長に性的指向やジェンダー・アイデンティティーによる差別の防止と撲滅を求める大統領令を発表しました。第45第大統領とはえらい違いだな。

詳細は以下。

www.nbcnews.com

www.whitehouse.gov

米国では1964年公民権法のタイトル・セブン(第7章)により、「人種、肌の色、宗教、性、国籍("race, color, religion, sex, or national origin")」を理由とする雇用拒否や解雇は違法とされています。そして、LGBTQの人々が同法によって保護されるかどうかは、性的指向やジェンダー・アイデンティティーに基づく差別がタイトル・セブンで言うところの性差別に含まれるかどうかにかかっています。

最高裁は2020年6月15日、タイトル・セブンは性的指向やジェンダー・アイデンティティーによる差別をも禁じているとする判断を示しました(にもかかわらず、トランプ政権は『1964年公民権法はLGBTQ差別を禁じていない』と言い張って『養子あっせん機関や医療プログラムはLGBTQピープルを排除してもよい』という新ルールを打ち出したりしてたんですけどね)。バイデンは1月20日の大統領令で「すべての人は、ジェンダー・アイデンティティーや性的指向に関係なく、法の下で平等に扱われるべきである」と述べ、上記最高裁判決に言及した上で、連邦各機関の長らに差別禁止のためすみやかな措置をとるよう求めています。

ちなみに第45第大統領が就任直後に何をしたかというと、これですからね。

www.ishiyuri.com

大統領の交代ひとつでこうもあからさまに違うものかと思って、今茫然としています。

バイデン博士、LGBTQのための保健センターを訪問 米ワシントンDC

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46代米大統領ジョー・バイデンの妻ジル・バイデンが、ファーストレディーとなった3日目に、LGBTQ & HIV/AIDSのケアを専門とする保健センターを訪問したそうです。メラニアってこういうことしてたっけ……?

www.pinknews.co.uk

バイデン博士が訪問したのはワシントンDCにある「ホイットマン=ウォーカー・ヘルス(Whitman-Walker Health)」というところ。AIDS流行に応えて1978年に設立され、以来ずっとLGBTQコミュニティーに医療・法律サービスを提供してきた保健センターです。

訪問のようすはこちら。

前FLOTUSがこういうことをしていた記憶がないので、今"Melania Trump lgbtq"とかのキーワードでGoogle検索してみたところ、出てきたのは全然方向性の違うニュースばかりでした。

まず、メラニアが、トランプがアンチゲイだという批判に対抗するため、トランプがいかにゲイの味方であるかを説明するビデオを作って公開したというニュース。言ってることが矛盾しまくっているため、Advocateに激しく突っ込まれています。

www.advocate.com

次に、メラニアが2020年のプライド月間にホワイトハウスを虹色にライトアップしたがり、ホワイトハウスのチーフスタッフに阻止されたというニュース。

www.washingtonblade.com

このライトアップ計画については、HRCが「今さら遅いわ。トランプとペンスのペアはプライド月間どころか、この4年間LGBTQピープルを医療ケアとかシェルターとかから締め出す政策をやり続けてきたのに」(要約)と真っ向から批判してますね。

www.hrc.org

上記以外にメラニア・トランプがLGBTQ関係で何かしたというニュースはまったく見つけられませんでした。これから4年間、こんなところでもさまざまな違いを目にし続けることになるのだろうと思います。