石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

小説

ドラマ『スーパーガール』の余波、続報。この番組がきっかけで、8歳のレズビアンのために編まれたブックリストをどうぞ

ドラマ『スーパーガール』のおかげで親にカムアウトできた13歳少女の話を先日紹介しました。実はこれ、前例があったんです。同番組を見て自分はレズビアンだと気づいた8歳児のために、Autostraddleがお薦め本リストを作ってあげてたんでした。

大人向けよりよっぽど良質―小説"Ghostbusters Movie Novelization"(※リブート版『ゴーストバスターズ』の子供向けノベライゼーション、Stacia Deutsch著、Simon Spotlight)感想(ネタバレあり)

リブート版映画『ゴーストバスターズ(2016年)』の子供向けノベライゼーション。新GBたちの魅力が存分に味わえる快作で、先日紹介した大人向けノベライゼーションよりよっぽど上等。ポイントは、簡にして要を得た文体と、場面転換のうまさ。

もはや別物、読む価値なし―小説"Ghostbusters"(※リブート版『ゴーストバスターズ』の大人向けノベライゼーション、Nancy Holder著、Tor Books)感想(ネタバレあり)

本書はリブート版映画『ゴーストバスターズ(2016年)』の大人向けノベライゼーション。名台詞や名場面を無残なまでに削って、辛気臭い地の文で水増ししたという代物で、キャラの魅力も話のテーマもぼやけてしまっています。読む価値なし。

小説『黄昏の彼女たち』(サラ・ウォーターズ[著]、中村有季[訳]、東京創元社)感想

1922年の英国を舞台とするミステリ。レズビアン小説であり、不倫小説であり、犯罪ドラマでもあります。強烈なサスペンスや扇情的なまでの官能描写はさすがですが、オチはやや拍子抜けでした。狙ってこうしたんだろうな、とは思うんですが。

レズビアンキャラ登場のスター・ウォーズ小説『ロード・オブ・シス』、邦訳発売

「『スター・ウォーズ』にシリーズ初のレズビアンキャラ登場 - 石壁に百合の花咲く」の続報。この小説の邦訳が、2015年11月30日、上下巻で発売されます。日本語版タイトルは『ロード・オブ・シス』。

映画『キャロル』が新ポスターと新クリップ公開 原作邦訳も予約開始

ケイト・ブランシェット(Cate Blanchett)とルーニー・マーラ(Rooney Mara)が女性同士のカップルを演じる映画『キャロル』が、新しいポスターと、映画内の一場面を公開しました。新ポスターはこちら。ケイト様の視線、「目で殺す」(糸屋の娘的な意味で)…

人気の児童書最新刊がブックフェアから排除 理由は「ゲイのキャラがいるから」

米ミシガン州のある小学校が、ブックフェア(本の展示販売会)の棚には児童向け小説『スーパーヒーロー・パンツマン』(原題"Captain Underpants")シリーズ最新刊を置かないと決定しました。理由は、「登場人物のひとりがゲイだから」。

『スター・ウォーズ』にシリーズ初のレズビアンキャラ登場

2015年4月28日発売予定のスター・ウォーズ小説、"Lords of the Sith"に、『スター・ウォーズ』正史初のレズビアンキャラが登場するそうです。

『色が変わるゲイなドレスに激しく突かれて』:例のドレスが登場するゲイエロ小説登場

世界中で話題になった「見る人によって色が変わって見えるドレス」をネタにしたゲイ・エロティカ小説が発売されました。「人間とゲイなドレスとの熱烈な行為(アナル、フェラチオ、中出し等)」が登場する話だとのこと。日本のAmazonで購入可。

『あたしの彼女』(森奈津子、徳間書店)感想

オナニー、SM、レズビアニズムが乱れ咲く、『先輩と私』系エロティック小説。百合オンリーの内容ではなく、美少年をいたぶる形の男女エロも登場するのですが、それも豊かな官能の一環として抵抗なく楽しめました。ギャグも名言頻発で実によかった。

『シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱』(高殿円、早川書房)感想

ホームズとワトソンを女性化した微百合パスティーシェ。舞台は現代の英国。大変楽しく読みましたが、妙に描写が日本っぽいところと、賢いはずのホームズとワトソンに頭の悪い女子高生的な部分があるところが玉に瑕。同性愛/両性愛についての偏見も日本的。

『あやつられた魂』(ステラ・ダフィ[著]、柿沼瑛子[訳]、新潮社)感想

レズビアン探偵サズ・マーティン・シリーズ第2弾。カリスマ精神療法家マックスを調べるサズが、ある復讐の全貌を暴きます。パターナリズムとカルト的洗脳のグロテスクさが描かれる中で、サズと新たな恋人・モリーとのやりとりが一服の清涼剤になっています。

『カレンダー・ガール』(ステラ・ダフィ[著]、柿沼瑛子[訳]、新潮社)感想

ロンドンのレズビアン探偵、サズ・マーティン・シリーズ第1作。失踪人を追うサズの物語と、傷心のレズビアン、マギーの物語が交互に綴られ、やがて1つの真相が見えてくるというクールでスタイリッシュな小説。ミステリとしても悲恋物語としても楽しめます。

『かっこ悪くていいじゃない』(森奈津子、祥伝社文庫)感想

両性愛者女性・美里を主人公とする、性愛描写多めの恋愛小説。Hシーンはほぼ男性相手で、ペニスへの愛情やこだわりの描写も多いため、レズビアンには正直ピンと来ない部分も。しかし美里の啖呵や、彼女が表題作の境地にたどりつく結末にはスカッとしました。

『王妃に別れをつげて』(シャンタル・トマ[著]、飛幡祐規[訳]、白水社)感想

マリー・アントワネットの朗読係だった女性・アガートの視点で、フランス革命下のヴェルサイユを振り返る歴史小説。「美」の王国たる宮殿内を舞台に、アガートから王妃への思慕と、王妃とポリニャック公爵夫人の同性愛とも噂される関係が描かれます。

『ヴァレンシア・ストリート』(ミシェル・ティー[著]、西山敦子[訳]、太田出版)感想

詩人ミシェル・ティーによる自伝的小説。90年代前半のサンフランシスコのクレイジーなダイク・シーンを綴ったもので、クレイジーすぎてついていけない部分も正直ありました。元々朗読用に書かれた作品なので、音声で聞いた方が楽しめたのかもしれません。

『捜査官ケイト 過去からの挨拶』(ローリー・キング[著]/布施由紀子[訳]、集英社)感想

ケイト・マーティネリ・シリーズ第5弾。作者のもう1つの人気シリーズ<シャーロック・ホームズの愛弟子>とのクロスオーバー作品で、マトリョーシカ的な構造の中、同性愛テーマがこれまで以上に力強く、かつ幅広く描かれます。

『捜査官ケイト 夜勤』(ローリー・キング[著]/布施由紀子[訳]、集英社)感想

ケイト・マーティネリ・シリーズ第4弾。DV男やレイプ犯への復讐と、インドの花嫁焼殺事件を背景に、カーリー女神のイメージに託した「愛と怒りの共存」という主題が描かれます。巧みなユーモアや、レズビアンカップルのリアルさ、苦みのある結末がナイス。

『捜査官ケイト 消えた子』(ローリー・キング[著]/布施由紀子[訳]、集英社)感想

ケイト・マーティネリ・シリーズ第3弾。リーとの別居で荒れ荒れのケイトが、12歳の友人ジュールズの頼みで始めた人捜しをきっかけに、絶望的な状況に追い込まれます。凝った構成と深い感情・心理描写が光る1冊で、レズビアンの扱いもリアル。

『捜査官ケイト 愚か者の町』(ローリー・キング[著]/森沢麻里[訳]、集英社)感想

ケイト・マーティネリ・シリーズ第2弾。ホームレス殺しを追うケイトが、引用句でしか喋らない謎めいた容疑者を相手に悪戦苦闘します。聖愚者たる「フール」やその運動について多くのページが割かれる一方、謎解きやサスペンスの要素は少なめです。

『捜査官ケイト』(ローリー・キング[著]/森沢麻里[訳]、集英社)感想

サンフランシスコ市警のレズビアン捜査官、ケイト・マーティネリ・シリーズ第1作。1994年度エドガー賞受賞作。連続女児殺害事件と、それに繋がる過去の謎が解き明かされる中、控えめながらも手応えあるレズビアン・テーマが描かれます。

『リゾートタウンの殺人』(サンドラ・スコペトーネ[著]/安藤由紀子[訳]、扶桑社)感想

レズビアン探偵ローレン・ローラノシリーズ第5弾。休暇でロングアイランドを訪れたローレンが、連続殺人事件に巻き込まれます。「同性カップルの中年の危機」という前巻以来のテーマがきめ細かく追われる一方、プロットはやや弱く、悪役の掘り下げも浅め。

『潔い死を』(サンドラ・スコペトーネ[著]/安藤由紀子[訳]、扶桑社)感想

レズビアン探偵ローレン・ローラノシリーズ第4弾。昔襲われたレイプ犯に再び付け狙われるわ、キップとの関係にもヒビが入るわで、公私ともにローレン大ピンチの巻。あっと驚く結末も秀逸で、ミステリとしても恋愛小説としても最後まで気の抜けない傑作です。

『愛しの失踪人』(サンドラ・スコペトーネ[著]/安藤由紀子[訳]、扶桑社)感想

レズビアン探偵ローレン・ローラノシリーズ第3弾。38年前に消えた女性を追うローレンが、複雑な家族関係と暗い秘密を探り当てます。ミステリとしては掟破りな部分もありますが、レズビアン要素やNYの情景の鮮やかさ・的確さは圧倒的です。

『あなたの知らない私』(サンドラ・スコペトーネ[著]/安藤由紀子[訳]、扶桑社)感想

レズビアン探偵ローレン・ローラノシリーズ第2弾。親友メガンの射殺事件を追う主人公が気づいてしまったつらい事実と、その中のささやかな救いが描かれます。謎解きには一部疑問も残るものの、巧みな人物造形やユーモアの魅力は相変わらず健在。

『悲歌』(中山可穂、角川書店)感想

『弱法師』に続く、能が素材の短篇集第2弾。女子高生同士の心中事件を追う「隅田川」、妄執の物語「定家」、三角関係もの「蝉丸」の3篇を収録。ドロドロ度は控えめで、特に「隅田川」にはジャネット・ウィンターソンのようなマジカルな美しさがあります。

『弱法師』(中山可穂、文藝春秋)感想

「弱法師」「卒塔婆小町」「浮船」の3篇を収録。能をモチーフとし、性描写なしで「これまで以上のエロスを」追求した(あとがきより)という1冊です。レズビアン・テーマが登場するのは「卒塔婆小町」と「浮船」で、どちらもじんと胸に染みる良作。

『ケッヘル(上・下)』(中山可穂、文藝春秋)感想

主人公女性・木村伽椰の壮絶な恋愛と、謎めいたピアニスト・遠松鍵人の人生が交錯する中、ある残虐な復讐劇が浮かび上がってくるという、読みごたえばっちりの長篇。サスペンスフルな筋立ても、当を得た同性愛描写もともによかったです。

『マラケシュ心中』(中山可穂、講談社)感想

女流歌人とその恩師の妻との、複雑に絡み合う運命を追う恋愛小説。「心中」というテーマを抱えた、残酷で官能的なお話です。華やかな設定の下に重厚な物語が隠れているという、いつもの作風も健在。隙無く組み立てられた結末には、ただため息が出るばかり。

『白い薔薇の淵まで』(中山可穂、集英社)感想

エキセントリックな女性小説家と平凡なOLのずぶずぶな修羅場を、一風変わった切り口で描いた傑作。女同士の関係のリアルな生々しさと、猫というモチーフあるいはメタファーを巧みに生かした構成がすばらしく、圧倒されました。おもしろかった!