石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

2009-01-01から1年間の記事一覧

『オクターヴ(3)』(秋山はる、講談社)感想

元アイドル「雪乃」と売れない作曲家「節子」のラブストーリー、第3巻。読むのが怖くて発売日から数日間逡巡していた1冊です。読んでみた結論としては「ハラハラしたけどなんとかなった」というところなんですが、もうほんと心臓に悪かった……。

『まんがの作り方(2)』(平尾アウリ、徳間書店)感想

新人漫画家「川口」&「森下」の恋愛を描くまったり系百合ラブコメ第2巻。美しく繊細な絵柄で淡々とギャグをかます、という芸風が波に乗っていて、面白かったです。脱力系の笑いの中に、胸を刺す切なさがさりげなく仕込まれていているところもよかった。

『瑠璃色の夢』(森島明子、一迅社)感想

森島明子さんによる、乙女な大人のガチ百合恋愛アソート。独立した短編集としても読めますし、秘めやかに『楽園の条件』や『半熟女子』とリンクしているお話もまた味わい深いです。等身大のキュートな百合話が読みたい方にすごくおすすめ。

『半熟女子(2)』(森島明子、一迅社)感想

駆け出し♀♀カップル、八重とちとせのみずみずしいラブストーリーの第2巻。これが最終巻となります。ふたりのキュートな「半熟」っぷりも、やわらかい絵柄のとろけるようなエロティシズムも、みんなみんなよかった。

『魔法のじゅもん(3)』(あらきかなお、芳文社)感想

魔法少女「ちづ子」「のぶ子」と、マジシャン志望の「ユリネ」の3人によるドタバタコメディ。これが最終巻なのですが、百合漫画としてもパワーダウンしている上に、ネタの古さとストーリーの投げ具合が致命的。1〜2巻とは別作品のようでした。

『カルボナードクラウン(1)』(東雲水生、双葉社)感想

内気な少女「藍子」と、カルボナード王室の王女「ルビィ」の恋物語。単なる友情ものかと思わせておいて、一挙に恋愛チックな見せ場になだれこむ展開にびっくり。キャラ立てがしっかりしているところや、妙な男性嫌悪がないところもよかったです。

『飴色紅茶館歓談(1)』(藤枝雅、一迅社)感想

喫茶店のアルバイト女子高生「琴織さらさ」と、店のオーナー「犬飼芹穂」との心温まる百合ラブストーリー。淡々としているようで、その実きちんと恋愛色を押し出した作品であるところがよかったです。ただし限定版特典のドラマCDは、人を選ぶかも。

百合アンソロジー『つぼみ VOL.3』(芳文社)感想

芳文社の百合アンソロ、Vol.3。吉富昭仁さんの「しまいずむ(その4〜5)」が実にすばらしかったです。さりげない伏線が後になってガーンと効いてくるところが、特に。大石まさるさんによるイラスト&マンガの「つぼみが始まるよ」も楽しかった。

「ダ・ヴィンチ 2009年09月号」第2特集「貴女がいれば、世界は美しい はじめてのGL ガールズ・ラブ」感想

面白かったです。わりかしマイルドなトーンの特集ではありますが、ホモフォビアや妙な固定観念は見受けられないいし、GL(または百合)漫画/小説のガイドブックとしても一迅社の『百合作品ファイル』より役に立つ内容だと思います。

『シュガーはお年頃(3)』(二宮ひかる、少年画報社)感想

周囲から浮いてる女子高生「畑中恵子」と「浅見椿」のバディもの、あるいは熱いラブストーリーの最終巻。ものすごく面白かったです。ゾクリとする展開と、熱い愛情、そして予想外の方向からずしんと響いてくるハッピーエンディングにただただ圧倒されました。

『ゆきの咲くにわ(1)』(たつねこ、一迅社)感想

女性主人公「千尋」と、千尋の押しかけ女房で雪女の「ゆき」のドタバタを描く百合4コマ。千尋に迫り倒すゆきの姿はコミカルで嫌味がないし、ふたりの日常のさりげない仲良し感もよかったです。妖怪譚らしいほのかな怖さも面白く、今後の展開が楽しみ。

『がーるずぽっぷ』(へっぽこくん、JIVE)感想

宇宙人「ミール」と、その居候相手「優依(ゆい)」、そして優依ラブな妹の「千亜希」が織りなすほんわか百合4コマ。淡々としたギャグが面白く、百合ものとしても可愛い作品なのですが、伏線を投げっぱなしにしたままお話が終わってしまうところは残念です。

小説『ヴァーティゴ』(深見真、幻冬舎)感想

ヴァーティゴ (幻狼ファンタジアノベルス)作者: 深見真,沈没出版社/メーカー: 幻冬舎コミックス発売日: 2009/07メディア: 単行本 クリック: 8回この商品を含むブログ (8件) を見る戦闘用サイバネ美女が戦いまくる近未来警察小説(レズビアニズムあり)2030年…

『きもちのかたち 桜井家作品集(上〜下)』(桜井家(北尾タキ+みとうかな)、コスミック出版)感想

同人誌「TACT」で発表された百合漫画を全面改稿し、再編集して改題した作品集。北尾タキさんによる「TAKI PART」が素晴らしすぎて悶絶しまくりました。単なる同性同士による「男と女ごっこ」に陥らず、女性間の恋心をこまやかに描ききった傑作だと思います。

『大島永遠作品集・とわRemix』(大島永遠、一迅社)感想

2004年発行の作品集『とわ缶』のリミックスバージョン。百合ものとして読むには今ひとつ物足りませんが、非百合の収録作が十分面白いので、これはこれで元が取れたかなあと。作者さんのファンなら、買いでしょう。

『この願いが叶うなら』(袴田めら、一迅社)感想

百合の名手袴田めらさんによる切ない短編集。キスやセックスの官能も、胸に刺さる残酷さも、皆よかった。わかりやすい結末が懇切丁寧に提示されなければ納得できない方には不向きな1冊かもしれませんが、あたしはとても楽しく読みました。

『ゆるゆり(1)』(なもり、一迅社)感想

旧茶道部の部室にたむろす「娯楽部」の4人と、娯楽部に絡む生徒会の面々が繰り広げるまったり系ギャグ漫画。脳髄をもみほぐされるようなアホなゆるさがたまらん作品です。百合方面についても、萌えあり妄想あり友情ありでたいへん美味しゅうございました。

『君が僕を〜どうして空は青いの?』(中里十、小学館)感想

君が僕を~どうして空は青いの?~ (ガガガ文庫)作者: 中里十,山田あこ出版社/メーカー: 小学館発売日: 2009/07/17メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 30回この商品を含むブログ (22件) を見る読者を翻弄する変化球百合小説商売繁盛の神様“恵まれさん”をしてい…

『百合心中〜猫目堂ココロ譚』(東雲水生、一迅社)感想

迷った心を救う骨董屋「猫目堂」を軸とする百合短編集。恋の甘さだけでなく、人を恋う心のダークな面もチクリと描いていくところが秀逸。ただし、一部の展開の古さや、不健康な関係をロマンティックに美化してしまう傾向だけはちょっと気になりました。

『マイナスりてらしー』(宮下未紀、一迅社)感想

没落した名家のお嬢様「康光(やすみ)」と、お嬢様を支えるメイド「美晴(みはる)」が織りなす極貧百合コメディ。「テンポの良さ」と「メリハリ」と、「極上のハッピーエンディング」の3要素が揃った、すばらしい百合漫画でした。

『たまとたまと(1)』(ちんじゃおろおす、グリーンアロー出版社)感想

17歳の女子高生「葵」が巫女の「たま」と同居するという、ライトな和風伝奇百合漫画。ホモフォビアはなく、百合部分もほのぼのしていて、楽しく読めました。ただし、お話の流れや画面構成、台詞回しなどにはかなり荒削りな印象も残ります。

『紅! 愛舐女学院』(黒河澪、松文館)感想

「愛舐(えなめる)女学院」(通称エナ女)なる全寮制女子校の生徒達の痴態を描くエロ漫画です。絵こそ綺麗なものの、百合/レズビアンものとしては今ひとつかと。というのは、女性同士の間にエロはあっても愛がなく、そのエロもヘテヘテで下手そうだから。

『雲の路』(すえひろがり、コアマガジン)感想

露出願望のある女子高生「ハナ」と、理解あるクラスメイトたち(男女両方)が、一歩また一歩と集団露出プレイの道を歩んでいくという18禁エロ漫画。濃厚なエロスと爽やか友情ストーリーの取り合わせが面白いし、女同士の性愛描写のきめ細かさもよかった。

『鬼ごっこ(4)』(黒柾志西、一迅社)感想

表紙もクライマックスも百合百合しいっちゃ百合百合しいんですが、肝心のストーリーが消化不良すぎて喜べません。「継ぐ者の意思」設定は一体どこ行っちゃったんですか。キヨの役割も中途半端だし、ヒロイン頼子が最後までヘタレのままだったのもどうかと。

『える・えるシスター(2)』(邪武丸、一迅社)感想

身長179cm(自己申告)の妹「ふたば」を溺愛する姉「一菜」の行き過ぎた姉妹愛を描く百合コメディ、第2巻。相変わらず一菜のほとばしる愛情と欲情が描かれる一方で、異性愛規範色は1巻より薄まっており、ストレスなく読むことができました。

「サンデー・タイムズ」の、サラ・ウォーターズのインタビューが面白い

ミステリマガジン 2009年 05月号 [雑誌]出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2009/03/25メディア: 雑誌購入: 1人 この商品を含むブログ (7件) を見る孫引きになってしまうんですが、「ミステリマガジン」2009年5月号(pp. 170 - 171)に引用されているサラ・ウ…

『PUREまりおねーしょん(1〜3)』(高木信孝、一迅社)感想

アンドロイド少女が人間の女のコに恋する百合ラブコメディ。やたらと甘ったるすぎないところも、それでいて最終的にはラブラブに終わるところも好印象。同性愛嫌悪ならぬアンドロイド嫌悪でお話を引き締めているところも興味深いと思います。おすすめ。

『ももいろスウィーティー(1〜4)』(ももせたまみ、白泉社)感想

三十路の未亡人「春花」とその娘「夏海」、家政婦の「サエコ」、夏海の先生「ヒロコ」の4人を軸に繰り広げられる、ちょっと下ネタ多めの4コマ漫画。ガチ百合恋愛の部分もよかったし、何より生き生きした人間臭いキャラたちが良くて、とても楽しく読めました。

『おとして↓アプリガール(3)』(望月菓子、スクウェア・エニックス)感想

新米教師「黒瀬潤(くろせうるみ)」が人工知能の少女たち「アプリガール」とともに繰り広げる微百合コメディの完結編。意外にもシリアス方面の盛り上がりを見せ、感動的な結末を迎えています。今回はホモフォビックな表現もほぼなく、安心して読めました。

『クイーンズブレイド -Hide&Seek- (3) 』(南崎いく、角川書店)感想

女王の座をかけた戦い「クイーンズブレイド」に出場する女闘士たちのアクションファンタジー、第3巻。1〜2巻と違い、レズビアニズムへの偏見色はずいぶんと薄くなっています。エリナとレイナの姉妹再会シーンも、ひねりがきいていて面白かったです。